「先生の白い嘘」訴えている内容は素晴らしいのですが描写がどうしても受け付け難いです。辛いです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「先生の白い嘘」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

高校教師の原美鈴は、女であることの不平等さを感じながらも、そのことから目を背けて生きている。ある日、親友の渕野美奈子から、早藤雅巳と婚約したことを告げられるが、早藤こそ美鈴に女であることの不平等さの意識を植え付けた張本人だった。そんなある日、担当クラスの男子生徒・新妻祐希から性の悩みを打ち明けられ、思わず本音を漏らしてしまう。新妻はそんな美鈴にひかれていくが。

というお話です。

 

 

高校教師の原美鈴は、教卓の高みから生徒達を見下ろし観察することで、密かに自尊心を満たしながら、女であることの不平等さから目を背けていた。女であるというだけで、男を惹きつけ欲情させてしまう。女が悪いのだと思い込んでしまった美鈴はそこで思考を停止してしまったのだ。

ある日、美鈴は親友の渕野美奈子から早藤雅巳と婚約したと告げられる。実は、この早藤こそ、美鈴に女であることの不平等さの意識を植え付けた張本人だった。早藤を忌み嫌いながらも、快楽に溺れ、早藤の呼び出しに応じてしまう美鈴。抗えない自分を嫌悪し、鬱症状が出て、味覚も無くなり始めていた。



 

そんなある日、担当クラスの男子生徒・新妻祐希から衝撃的な性の悩みを打ち明けられてしまう。あまりの驚きに、思わず美鈴は本音を漏らしてしまう。新妻は自分に対して本音をさらけ出した美鈴に魅かれていき、美鈴もまた、新妻の言葉に心動かされていく。

そして、歪んだ愛憎渦巻く人間模様は思いもよらぬ狂気の世界へと向かっていく。その先で美鈴が見る景色とは。後は、映画を観てくださいね。

 

 

昨日、インティマシー・コーディネーターの問題で書かせていただき、今日、その問題の映画を観てまいりました。内容は確かに衝撃作と言って良いと思いますが、当たり前の事を描いていますよね。それを誰も今まで正直に描いてくれなかっただけ。この原作漫画は素晴らしいと思います。

 

映画から帰ってきてから、原作がウェブである程度まで読めると知り、最初の方を読んでみました。驚いたことに、原作漫画そのままを映像化していました。読んでみれば解りますが、これなら脚本家も映画監督もいらないんじゃないかと思うほど、漫画のコマ割りはそのまま映像で使われているし、、脚本もほとんどそのままでした。そのままで内容を端折っているので、美鈴先生の気持ちの掘り下げが浅いです。

 

 

主人公の美鈴先生は、数年前に早藤という男性に親友の家でレイプされ、それ以降、彼の強い言葉に支配されて逃げることが出来ません。通常の精神状態なら警察に行くとか、相手に立ち向かうとか、誰かに相談が出来るのだろうけど、それまで性体験が無く自尊心が強い女性は、まさか自分がレイプされるなんてと思い恥ずかしくて誰にも言えないんです。自分側に非があるように考えてしまい、言えないんです。

 

レイプは被害者側に一切非はありません。非があると考えてしまうのは、これまでの男性上位の考え方を刷り込まれてきた影響なんです。今でも女性の服装が悪いとか言うバカな人間がいますよね。男性がいうならバカだなで済みますが、女性までもが言うので驚きます。古い考え方が頭から抜けないんでしょう。いいですか、レイプは犯罪です。被害者に非はありません。あ、今回は女性が被害者ですが、男性が被害者の場合もありますからね。

 

 

美鈴先生はずっと早藤にレイプされ続けるので、酷い描写が多かったです。うーん、これでインティマシー・コーディネーターを入れなかったんだと驚きました。性描写の場面が多いんです。AVではないので、局部を撮影するとか、胸が出る場面はありませんでしたが、これはやっぱりICを入れて欲しかった。

 

だって、SEX場面を入れる必要はないですよね。声だけでも良かったし、始まりの部分だけでも良かったと思うんです。レイプシーンではなくても、早藤の婚約者とのSEXシーンもありまして、うーん、あまり観たくなかった。これだけ暴力的な言葉をかけられてのSEXシーンは、やっぱりヒューマンドラマとしてどうなんだろう。観ているこちらが気持ち悪くなりました。

 

 

もちろん、原作漫画には近い雰囲気の言葉があるんですよ。でもね、漫画なら良いけど映像で人間が演じているのは、やはりリアル感がありグロテスクに見えます。俳優さんたちもよくやってくださったと思います。我慢してくださったんだろうなぁ。主演の奈緒さんだけでなく、相手役の風間さんや三吉さんも、これ精神的に辛かったんじゃないかな。これはダメですよ。さすがに可愛そうです。

 

良かったなと思ったのは、美鈴の親友で早坂の婚約者である美奈子を三吉さんが演じているので、漫画原作の美奈子よりもサッパリ見えるんです。自分の悪い部分もさらけ出して美鈴と和解する部分は、彼女だからこそ美鈴も納得したし、子供を産む母親としての覚悟も見えて、三吉さんだからこその演出だったのかなと思います。

 

 

うーん、内容としては訴えていることはしごく全うで、原作漫画が素晴らしいのは解りましたが、これを実写映画化するべきだったのか。それもこれだけ性描写があるにも関わらずにインティマシー・コーディネーターをつけなかったというのは、いつまでも言われ続けるんじゃないかと思います。現場で働く人間の尊厳を守るためには必要なシステムなのですから。それにどんなに良い原作でも、実写化すべき作品なのかというのは、売れる売れないの問題じゃなく考えるべきなんじゃないかと思います。

 

女性は今でも冷遇されているという脅迫観念に囚われ、前に進めなくなるということは実際にあることだと思うし、女だから、男だからという言葉は今も使われます。いつになったら女性は男性に対して対等な位置に立てるんでしょうね。昭和生まれが子供たちに刷り込んだ”男女”という概念が消えないと、難しいのかもしれません。

 

今でも”男は働いて女は主婦”だと考えている人間がいるんですから驚きます。それが男だけならまだしも、女もそう思っている人がいることにビックリです。いつまでも男に従うのが女という考え方を捨てられないんでしょうね。女性の方が能力があるのだから、子供が産みたければ産んで、男性に育てて貰えばよいんですよ。タツノオトシゴと一緒です。

 

 

私はこの映画、お薦めしたいと思います。問題は多いですが、内容は良いと思います。これは今まで女性が叫びたかったことの代弁だと思いました。気持ちを話したくても話せない、表せないという女性の叫びなんです。もっと気を付けて造ってくださっていたら、素晴らしい作品になったと思うんですけどね。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「先生の白い噓」