「このろくでもない世界で」未来も見えず居場所も無い。そんなヨンギュが頼ったのは自分に似た人でした | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「このろくでもない世界で」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

とある地方の暴力がはびこる町。貧しい家庭で育った18歳のヨンギュは、継父からの暴力に耐える日々を過ごしていた。ある日、ヨンギュは妹のハヤンを守るために暴力沙汰を起こして高校を停学になり、示談金を請求されてしまう。生き抜く術を持たないヨンギュは、地元の犯罪組織のリーダーであるチゴンを頼り、彼のもとで働くことに。しかし、組織の非情な掟に背いてしまい…。

というお話です。

 

 

継父のDVに怯える18歳のヨンギュは、義理の妹ハヤンを守るために男子生徒を石で殴ってしまう。暴力沙汰を起こしたため、高校を停学、その上、示談金を求められてしまう。義父に知られたらまた暴力を振るわれてしまうため、示談金は自分で用意するしかない。

行き止まりの現実に苦しむ彼の夢は、いつの日かオランダへ移住すること。その願いも空しく、バイト先で借金を頼むも断られ、誰も頼る人がいない。そんな時、たまたま出会った地元の犯罪組織のリーダー、チゴンに気に入られ、示談金を工面してもらう。



 

示談金を払い暴力沙汰は収まったが、ヨンギュは学校に行かず、バイトに明け暮れていたのだが父親の暴力が酷くなり、顔に酷い傷を負ってしまう。あまりの酷い傷にバイトを首になり、お金に困つたヨンギュは、チゴンの元を訪れる。

雇って欲しいと頼み、最初は断られるが顔の傷を見て雇ってもらえる。仕事は”盗み”。バイクを盗難して売り払うのだ。チゴンの上のボスの言う事は絶対。従うしかない。組織の非情なやり方に耐えられず、つい相手の温情を与えたヨンギュは掟に逆らったということで制裁を受けることになり…。後は、映画を観てくださいね。


 

韓国の新人監督キム・チャンフンの作品で、カンヌ国際映画祭に出品された作品です。義父にDVを受け、学校でも上手く行かず、生きる場所が無いヨンギュが、チゴンという犯罪グループのリーダーに気に入られたことからこの物語は始まります。チゴンは、組織の中堅という感じかな。上のボスがいて、下に何人か部下がいるんです。

 

ヨンギュは母が再婚して義父と義妹が出来るんですが、この義父が酷いDV男で、自分の娘は大切にしているのに、ヨンギュには酷い暴力を振るうんです。ヨンギュの身体は痣だらけで、家に義父が帰ってくるとびくびくしている状態なんです。義妹がいるとかばってくれるので良いのですが、母親は見てみないふりをしていて酷いと思いました。

 

 

そんな家庭なのでヨンギュの居場所はなく、オランダに移住したいと思ってお金を貯めているんです。オランダは貧困差が無く平等だという噂を聞いたからなんです。まぁ、どこに行っても同じだと思うけどね。料理屋でバイトをしていて、出前を持って行ったり店の配膳をしたりという仕事をしてお金を稼いでいるんです。

 

ある日、暴力沙汰で示談金を払わなければいけなくなったヨンギュが困っている時に、横で話を聞いていたチゴンがお金を工面してくれるんです。チゴンも辛い子供時代があったようで、ヨンギュの境遇を見ていて自分と重ね合わせたのだと思いました。この後、ヨンギュもちゃっかりしているなぁと思ったんだけど、チゴンを頼って仕事を貰うんです。

 

父親の暴力のせいで左顔面に酷い傷が出来てしまったヨンギュ。それこそブラックジャックのようで、料理屋では怖がられてしまったんです。酷い義父ですよね。でも暴力を止めようとしない母親がダメだと思いました。はっきり言って警察沙汰にすべき暴力だと思うけど何で言わないの?酷かったです。

 

 

チゴンの組織の仕事は盗難です。バイクを盗んで売り払ってました。映画の中で、店のオバちゃんが毎週バイクを盗まれるとグチをこぼしている場面がありました。毎週って、一度盗まれたら対処しないんだろうか。警察と繋がっているので検挙されないようで、盗まれる方が悪いという考え方なのかなと思いました。さすが韓国って感じですよね。

 

この犯罪組織、ボスは大きなことをしている人みたいで、地域の選挙にも手を出していて、取り込んだ候補者を受からすために敵対する候補者を潰すような仕事もしていました。開発がどーのと言っていたけど、どの国でも同じような利権争いがあるんですね。まぁ、どうなるのかはお楽しみに。

 

 

ヨンギュはチゴンに可愛がられていて、彼の部下に嫉妬されていたけど、今度はボスが若いヨンギュを使いたいを言い出すんです。若いから自分の言うとおりに成長させられると思ったようですが、チゴンは危ないと思っているように見えました。チゴンは自分がボスの下で言いなりにならなければ殺されるという状況で働いているので、ヨンギュまでそうなるのは可哀そうだと思ったのだと思います。

 

優しいヨンギュを助けたいと思っているチゴン。彼を弟のように思っていたのだと思います。そして自分が置かれている境遇と同じにはしたくないと思っていたんじゃないかな。だから凄くヨンギュを助けるのですが、それが部下から良く思われず、裏切りにあったのだろうと思いました。贔屓すると必ずそのひずみは出てきますからね。贔屓はしちゃダメですよ。

 

 

どんどん犯罪に巻き込まれていくヨンギュと、彼を守りたいと思うチゴン。そしてヨンギュを使って利益を上げていこうとするボス、日頃のうっぷんをヨンギュに暴力を振るうことで晴らしている義父、息子を守らない母親。チゴン以外は酷い奴ばっかでしょ。こんな人物たちがわちゃわちゃして、暴力が連続していくんです。結構、ハードな場面なども多くて、痛そうで観ていられないというような場面もありました。まぁ、韓国ノワールですからね。反対にこれが無くちゃノワールじゃないです。

 

ヨンギュの人生がどう転んでいくのか、面白いですよ。ヨンギュを演じているホン・サビンさん、そんなにイケメンではないんだけど表情が豊かで凄いのよ。興奮していてハッと我に返るとか、そんな場面が上手いなぁと感じました。チゴンを演じるソン・ジュンギさんが上手いからつられたのかな。良い映画でした。

 

 

私はこの映画、お薦めしたいと思います。本当にろくでもない世界だと思うような展開で面白かったです。ソン・ジュンギさんが素敵だったなぁ。韓国ノワールの典型なので、残酷な場面が続いたり、精神的に追い詰められる場面が続くので、それに耐えてくださいね。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「このろくでもない世界で」