「メイ・ディセンバー ゆれる真実」
を観てきました。Fan’s Voiceさんの独占最速試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
20年前、当時36歳の女性グレイシーは23歳年下の13歳の少年ジョーと恋に落ち、2人の関係は大きなスキャンダルとなる。グレイシーは未成年と関係をもったことで罪に問われ服役し、獄中でジョーとの間にできた子どもを出産。出所後に晴れて2人は結婚。それから20年。そんな2人を題材に映画が製作されることになり、グレイシー役を演じる女優エリザベスが役作りのリサーチのため彼らを訪ねてくる。
というお話です。
俳優のエリザベス・ベリーは新作映画の役のリサーチのため、ジョージア州サバンナに到着する。エリザベスが演じるのは、ある事件を起こした女性グレイシー。1992年、36歳の時に息子ジョージの同級生で13歳の韓国系米国人ジョー・ヨーとバイト先のペットショップで性行為をしているところを捕まったのだ。
未成年虐待として逮捕されたグレイシーは服役中にジョーの子供を出産。出所後、グレイシーと成人したジョーは結婚し、23年後の現在は大学に通う娘と高校卒業を控えた双子の息子と娘、3人の子供がいる。
エリザベスはグレイシーの家を訪ね、2人のリサーチを始める。そして2人が出会ったバイト先のペットショップや、グレイシーの最初の夫であるトムを訪ね、彼女の弁護士とも話をすると、それぞれ違うイメージのグレイシーを描いていて一貫性が無かった。
グレイシーの家を訪ねて何度もリサーチをするエリザベスは、グレイシーの破壊的な性格とは違い、ジョーの純粋さに気づく。ジョーは子供たちが大人になり、自分とグレイシーだけの生活になることに不安を抱いているようだった。
段々とグレイシーに似ていくエリザベス。グレイシーにメイクの手解きを受け、より2人の容姿は似ていくのだが、一緒に居ればいるほど、エリザベスはグレイシーが解らなくなっていく。双子の卒業式を迎え、お祝いに参加するエリザベスは、これを最後に映画の撮影に向かうのだが。後は、映画を観てくださいね。
この映画は、”メイ・ディセンバー事件”という実際にあったお話を題材に、フィクションで書かれたお話です。”メイ・ディセンバー”の意味は、”年の離れたカップル”という意味だそうです。この実際の事件は、ケイト・ブランシェット主演で「あるスキャンダルの覚え書き」という映画で詳しく描かれていますが、教師だった女性が12歳の少年と性的関係を結び、児童虐待として懲役7年の実刑判決を受けました。出所後に2人は結婚し、その後、離婚したそうです。
そんな事件をヒントに作られた映画です。サスペンスっぽく感じる部分があると思えば、大きなメロドラマの音楽がかかってみたりして、ちょっと面白いバランスの映画でした。アメリカの批評だと、何故かブラックコメディと書かれているのですが、日本ではサスペンスドラマとして紹介されています。
時々あれ?と思うようなバランスの悪い部分が見えて、それがワザとなのか失敗しちゃっているのかよく解らないんです。最初の大げさな音楽がかかるところで、映画祭などでは笑いが起きていたそうです。日本で言えば急に”火曜サスペンス”のオープニング”ジャジャジャーン”が鳴ったような感じなのかなと思いました。そりゃ、笑うよね。
内容に入りますが、これやっぱり児童虐待だと思うんです。フランス映画の「コンセント」を観れば解ると思いますが、どんなに同意があったと言っても13歳です。それは同意じゃなくて洗脳です。このグレイシーとジョーで言えば、子供も生まれたのだから責任を取りなさいと言われて同意をしたんじゃないかな。
ジョーは子供のころから親に色々と任されて、責任感の強い子だったと言っていたし、親に愛されなかった分、グレイシーに親の面影を重ねたんじゃないかと思うんです。グレイシーが”ジョーが誘惑した”という場面があるのですが、13歳の子が理解して誘惑なんてしてる訳が無いでしょ。アンタは大人なんだから、それくらい理解しなさいよと思いました。
グレイシーは性格が破綻しており、笑っていたと思うといきなり泣いていたり、気分でコロコロ変わるように見えました。エリザベスにも親しそうに話していたと思うと、裏に行って悪口を言っているんです。まぁ、よくある事だけど嫌な人だなと思いました。そういう人物だから、児童虐待してもそれは愛なのだと言い張れるんじゃないかな。私なら申し訳なくて恥ずかしくて、二度とその子には会えないと思うけど。
そんなグレイシーを理解して演じようとするエリザベスは、何となくグレイシーの狂気的な部分に気が付くんだけど、理解出来たと思うとまた変わっていくグレイシーの様子に振り回されているように見えました。何度リサーチをして、話を聞いても、理解したと思うとスルッとかわされていた感じに見えたかな。それくらい複雑で、彼女の精神の振れ幅は大きかったように思います。
人間って怖いですね。このグレイシーは、何があっても絶対に自分が悪いとは考えないようでした。ジョーに対しての言葉にも驚きましたもん。誰が考えても、36歳と13歳なら、どちらが主導権を握ってどちらの責任になるかは解っていますよね。あり得ないと思いました。
ネタバレになるから嘘の内容は詳しくは書けませんが、最後にグレイシーがエリザベスに、元夫との息子ジョージがあなたに嘘を言ったからというんです。ジョージの言う事が本当に嘘なのか、グレイシーが真実を隠しているのか、何故そんな嘘をつく必要があったのか不思議でした。それにどうしてグレイシーがジョージが嘘の話をエリザベスにしたことを知っていたのか。
結局、何の解決もしませんでしたが、私はジョージの言う事は真実だったんじゃないかと思いました。グレイシーという人間は、何があっても自分に都合良く考えて、それは愛だったのだとかそういう風に考えるので彼女は傷つかないんです。だから彼女は最強(最狂)なのだと、最後の最後で思いました。自分を守るために強くなるのは良いけど、その強さで傷つく周りの人もいるんだと知って欲しい。
どんなに綺麗ごとで愛だの恋だの言ったって、それは児童虐待です。一度の過ちで心を入れ替えて離れるならまだしも、出所して結婚するほど相手の心を束縛していたのかと思うと鬼畜だなと思いました。子供にも意思はあるけど、決定するほどの経験はありません。同意があったなんて偉そうに言うなっつーの。子供を傷つけるなんて以ての外です。私は騙されません。児童虐待は許しません。この映画を観て、強く思いました。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。私は音楽では笑えなかったけど、人間の怖さにゾッとして笑いました。いやぁ、怖いです。本当に子供の人権を大切にして欲しいと思いました。子供だけは傷つけないで欲しい。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「メイ・ディセンバー ゆれる真実」