「ナイトスイム」
を観てきました。
ストーリーは、
難病に侵され早期引退を余儀なくされた元メジャーリーガーのレイ・ウォーラー。現役復帰を目指す彼は自身の理学療法も兼ねて郊外のプール付き物件を中古で購入。妻と娘と息子、新たな生活を満喫する一家だったが、裏庭にあるプライベートプールは、なぜか15年も未使用のままだった。そのプールには得体のしれない怪異が潜んでおり、一家を恐怖の底へと引きずり込んでいく。
というお話です。
元メジャーリーガーのレイ・ウォーラーは若くして難病に侵され、早期引退に追い込まれていた。色々な病院に行き診察を受けると硬化症と言われ、病気の進行を遅らせることは出来ても完治することは難しいと言う。そんな診断の中、水泳をすることがリハビリになると言われる。
病気のため、暮らしやすい新しい家を探していたレイと家族は、障がい者用の家を回っていたが、レイが道沿いの”売り家”の看板を見つける。不思議と惹きつけけられたのだが、プール付きの家なのでリハビリにも良いと考えたのだった。不動産屋に内見をさせてもらい、家族も気に入ったので、賃貸にしようかと思っていたのだが、思い切って購入することに。
幸せな生活が始まり、レイもプールでのリハビリにより、随分と身体が楽になっていく。妻のイブはこの家のプールが長年使われていなかったことに不安を抱き、不動産屋に尋ねると、以前に棲んでいたアジア系の家族の女の子がプールで亡くなったらしいということを聞き、不安が大きくなっていく。
娘のイジーと息子のエリオットも、夜にプールでおかしなことが起こったり、イジーは彼氏とプールで遊んでいた時に恐ろしい目にあったことがあり、プールには何かあると思い始める。しかしレイだけは、プールに入ると昔の身体に戻っていくような感覚があり喜んでいた。
そんな中、プールでパーティーを開くことになり、ご近所や関係者を呼んで楽しんでいるとある事件が起こってしまう。それを皮切りに、一家を逃れる事の出来ない恐怖の奥底へ引き摺り込んでいく。後は、映画を観てくださいね。
この映画、よくある洋画のホラーとは違う気がしました。洋画だとキリスト教が浸透しているので、大体が悪魔との戦いになっていくでしょ。でも、この映画は違うんです。敵は悪魔ではないんですよ。考え方としてはアジア系の信仰に近いんです。
アジアの国って聖書やコーランを大切にするのではなく、その地の神や言い伝えを大切にしますよね。どちらかというと、この映画に影響を与えてくるのはそちらの方なんです。あまり書いてしまうとネタバレになっちゃうので書けませんが、そこら辺の洋画ホラーとは一味違うんです。
メジャーリーガーだった夫のレイは、難病になり野球を止めなければならなくなり、凄く悲しがっているんです。まだ30代半ばで、まだまだこれからというところで引退となってしまったので、何とかして病気を克服し復帰をしたいと思っているんです。
しかし難病なので回復は望めないと言われ、絶望の中、明るい顔をして家族と新しい家を探しているんです。そんな時にふと目に留まったのが、プール付きの家なんです。実はいわくつきの家なのですが、強い願いを抱いている人を引き付ける家らしく、レイの目に留まったんです。
その家には大きなプールがあり、リハビリには水泳が良いと言われていたレイはこの家が良いと思ったのでした。そして、もちろん家族もプール付きの大きな家なので大喜びです。きっと値段も思っていたよりも手ごろだったんじゃないかな。
家に住み始めると、何故かレイの病気は段々と回復していきます。それまで杖を使って歩いていたのに、杖なしでも歩けるようになっていきます。プールでのリハビリのおかげだと喜ぶのですが、家族はプールに不穏な空気を感じてプールを恐れるようになっていきます。
プールの排水溝から声が聞こえたり、黒い水が出てきたり、ライトが点滅したり、不思議なことが沢山起こるんです。そしてイブが調べていくと、昔、女の子が亡くなったことが解るんです。その上、ここのプールでは歴史的に何人も亡くなったり、失踪したりしているようで、恐ろしいことが解っていくんです。
では、何故このプールで人が死ぬのか。それを調べるために、イブは以前に棲んでいたアジア系の家族を訪ねていくと、恐ろしいことが解るんです。うーん、結構、怖かったなぁ。これ、日本の昔話とか、東南アジアの言い伝えなどでありそうな話なんですよ。
その昔、日本の小さな村って何か願い事があると生贄を神に捧げて、そのおかげで雨が降ったり、誰かの病気が治ったりということがあったでしょ。それはその地の神をあがめていて、願いを叶えて欲しいと強く願っていたからなのだと思うんです。そんな考え方が、この地にも残っていたのかなと思わせるような展開でした。
なので、日本の昔話とかアジアンホラーを知っている人には理解出来るけど、洋画のホラーしか観ていないと、イマイチ、ピンとこない内容だと思いました。キリスト教のような一神教ではなく、どの地域にもどんな物にも神は居るという多神教の違いが解らないと、なんで??ということになるんです。言い伝えや伝説の類と思って観ないといけないと思います。
なので悪い悪魔が悪い事を人間にやっているのではなく、願いを叶えて欲しいために人間が神に祈っているから、その願いの見返りとして生贄が必要になってくるんです。それこそ等価交換ですかね。キリスト教のように願いがあるなら祈れば何でも叶えられるのではなく、神に願いがあるのならその対価を支払わなくてはいけないということなんです。
日本人の私からすればとても真っ当な展開なんだけど、多神教の基本を知らないと怖さや面白さが解らないかもしれません。いやぁ、怖いと思いました。相手が神だから、悪魔祓いとかは効かないんだと思うんです。止めようがないというか、願っちゃったら終わりみたいな感じでしょ。対処のしようがないのよね。怖いっしょ。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。洋画でこの展開は今まで無いと思うので珍しいです。でも洋画ホラーを思って観に行くと理解が難しいかもしれません。怖さの原因が解らずに終わってしまうということもあるかもです。出来れば頭を切り替えて、アジアホラーを考えながら観てください。その方がしっくりくると思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ナイトスイム」