「三日月とネコ」
を観てきました。
ストーリーは、
40代の書店員・戸馳灯、30代の精神科医・三角鹿乃子、20代のアパレルショップ店員・波多浦仁。熊本地震をきっかけに出会った彼らは、年齢も職業もそれぞれ異なるが愛猫ミカヅキを囲んで仲良く共同生活を送っている。いつも一緒に食卓を囲み、寄り添ってきた3人の生活は、灯が編集者の長浜一生と出会ったことで次第に変化していく。
というお話です。
熊本地震に遭い、急いでマンションの外に避難した灯。マンションの前には住民が避難しており、そこで猫を連れて避難していた鹿乃子と出会う。灯も猫を連れていたので何となく気が合ったのだ。そこへ20代のアパレルショップ店員の仁が”一緒にいいですか”と混ざり、余震が続く夜を何とか過ごせたのだった。
それがきっかけとなり、3人は共同生活をしようという話で盛り上がる。書店員の灯、精神科医師の鹿乃子、アパレルショップ店員の仁。それぞれ年齢も職業も境遇も違う3人だが、共通しているのはみんなネコが好きなこと。
「普通ではない生活」をしている今の暮らしが一番好きという灯、「ふたりといる今が一番マトモ」だという仁、他人と暮らすことに抵抗があったものの「今とても安定している」と思っている鹿乃子、3人とネコとの共同生活は大いに癒され、それぞれの心の拠り所となっていた。
ある日、灯が連れてきた猫が高齢の為に無くなり、鹿乃子の連れてきた猫だけになり、ちょっと寂しくなる。そんな時、灯の勤めている書店で作家の網田先生のサイン会が開かれることとなり、彼女の編集担当の長浜が気になり始める。仁は、それまで付き合っていた彼氏と別れ、今度はつぐみという女性に恋をしてしまう。そして鹿乃子も思うところがあり…。後は、映画を観てくださいね。
何というのかな、ほっこりして、こんな風に暮らせたらどんなに楽しいだろうと思ってしまうような映画でした。観たのは1か月くらい前だったのですが、どんどん新しい映画が出てきてしまい、随分と感想が遅くなってしまいました。良い映画なんですけどね。
熊本地震で知り合った3人。外に避難していて知り合うんです。余震が続くので、一人で家の中にいるのは怖いですよね。だから、外でみんなで寄り添っていたんです。そんな共通の恐怖を味わったので仲良くなります。そして共同生活をするほどになるんです。
いやぁ、同じマンションなんだから一緒に住まなくてもと思ったけど、鹿乃子の部屋は広いようで、3人で暮らしても問題が無いほどだったんです。ビックリでしょ。それぞれに自由に生きる人々で、灯は44歳で独身、本が好きで何となく結婚もせずにこの年になってしまったという女性です。
そして鹿乃子はどちらかというと異性よりも同性の方が好きなようで、一人で生きていくタイプ。仁は男性も好きだけど女性も好き。自分が好きと思った人が好きになるタイプですかね。最初は彼氏がいたけど、その内、女性が好きになって必死でアタックするも撃沈。相手の女性が恋愛というものに興味を持てない人のようなんです。でも、恋愛というのではなく、仁を好きになってくれそうに見えました。
今は、色々な人がいて正解が無いので、良いことだけど難しいと思っています。話をしていても”普通は”という事が無いので、何を基準に話したらよいのか解りません。不用意に何か言ってしまって傷つけてしまったらどうしようと思い、ドキドキしちゃいます。だから、とりあえず気にしないで緩い話をしておいて、何となく解ってきたら合わせるという感じかな。
もう、傷つけてしまったら”ごめんなさい”というしかないですよね。だって理解の範疇を越えてしまうんだもの。一人が経験出来る出来事は限られていて、それ以上の事は人に教えて貰うしかないんですから。素直に教えて貰えることはありがたいと思って、お話を聞くようにしています。
この3人の人物を観ていると、それぞれにこだわりがあって、自分と違う事を言われても、出来るだけ気にしないようにしているように見えました。そういうのって、人と暮らすのに必要なことですよね。少し鈍感になるくらいの方が、上手く行くんだろうなと思いました。
灯が女子高生に”オバサン”と呼ばれてショックを受けるという場面から始まるのですが、おばさんって言葉、好きになった方が良いですよ。オバちゃんの方が良いかな。オバちゃんって呼ばれる方が、なんか親しみがあって良いじゃないですか。私なんて30歳になった頃から自分でオバちゃんって言ってましたもん。可愛いオバちゃん、可愛いおばあちゃんになって行きたいでしょ。ポジティブに考えることが、人生を楽しくさせることだと思います。
この3人の共同生活、灯が長浜さんと惹かれ合ったことで、ちょっと崩れていきます。でもね、驚くような展開になるので楽しみにしてください。そうなのよ、好きだからって別に、いつもベタベタ一緒にいることなんてないんです。一定の距離を保った関係も大切な事ですよ。私なんて、結婚しても距離保ってますもんね。いつも一緒にいたら疲れちゃう。仕事もしているし、好きな事もあるから、時間が合わないんです。そんな生活スタイルも良いですよ。
この映画を観ていると、自分の好きな事をしていても良いんだと思わせてくれるような気がして、幸せになりました。はっきり言って、何か大きな出来事が起こることもないし、生活を淡々と描いていく映画なのですが、それでも少しづつ3人ともが成長していき、本当に自分に必要なモノを見つけていくんです。それが素敵でした。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。きっと賛否あると思うけど、私、こういう押し付けてこない映画って好きなんです。もちろんアクションやサスペンスも好きなんだけど、自分の脳に自然に浸透してくるような内容の映画って、気持ちが落ち着くんです。私は好きでした。まだ上映しているかなぁ。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「三日月とネコ」