【イタリア映画祭】「ルボ」遊牧民種族を根絶しようと国が動くなんて酷い差別ですよね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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【イタリア映画祭2024】

 

「ルボ」

 

(12作目)

を観てきました。

 

ストーリーは、

大道芸人のルボ・モーザーは、スイスの遊牧民イェニシェの一人として生まれた。家族で大道芸などで商売をして生活をしていた。1939年、第二次世界大戦が始まり、移動中に憲兵に止められる。許可証を見せるとルポの書類を見て、徴兵されているという。その場で拘束されスイス軍へと連れていかれてしまう。

 

スイス軍に徴兵されたルボは、ドイツ軍の侵攻を食い止めるため、国境地帯へと送り込まれる。家族たちはルボが居なくなり仕事も出来ず呆然としていると、そこへ憲兵隊が現れ3人の子供を連れ去り、抵抗した妻を殺したというのだ。スイス政府はストリートチルドレンと見なされる子供を保護し再教育をさせるという名のもとに遊牧民などの子供を連れ去っているらしい。

 

 

ルボは怒りに震えるが、軍を抜けることも出来ない。その場は我慢し、機会を狙っていた。子供たちを探し出し、取り戻すために金が必要だと考えたルボは、バーで知り合った宝石の密輸業者ブルーノ・ライターが仕事をしてくれる人物を探しているという話に乗り、彼の仕事を引き受ける。

 

ライターはある財産を運び出す仕事をルボに頼むのだが、ルボはライターを殺害し、彼になりすまして、その財産を使って子供を探し始める。チューリッヒの上流社会にもぐりこみ、裕福なギャラリー経営者のエルザや銀行家の妻クララを誘惑する一方で、子供たちの行方を記した記録に近づこうとする。しかし…。

後は、映画を観てくださいね。


 

この映画は3時間と上映時間が長い映画でした。じっくりとルボの半生を描き、第二次世界大戦時に紛れてスイス政府が人権を無視した政策を取り決め、断行していたというお話です。

 

ルボはイェニッシュという遊牧民で、ロマ族とティシン族に次いでヨーロッパでは3番目に多い一族です。この時代、遊牧民は軽蔑されていてイェニッシュは白ジプシーなどと呼ばれていました。スイス政府は彼らの種が続いていくのを良しとせず、彼らの子供たちを集めて養護施設などに集め、再教育を施して養子に出すということをしていたようです。ユダヤ人迫害の影で、他の国も自分たちに邪魔な民族をつぶしていたんです。

 

 

ルボは、自分の子供を連れていかれ妻を殺されて、直ぐにでも軍を抜けたかったと思うけど、抜けたらすぐに殺されてしまうので、仕方なく機会を待っていたんです。そして、オーストリア人のライターと出会い、彼を殺して入れ替わるんです。酷い事だけど、子供を探すために軍を抜けるにはそれしかなかったんです。

 

そして貿易商としてスイスを移動しながら子供たちの行方を探していくんです。簡単には探せないから、お金持ちの振りをして養護施設などに寄付をしたいと言いながら、裕福な人々と仲良くなり、施設を運営している政府機関の人や関係者に近づいていくんです。

 

でもね、どんなに探しても見つからないんですよ。何故なら凄い数の子供たちが連れてこられていて、どの施設にいるのかなどのリストも見せて貰えないので手掛かりが無いんです。どんなに探し回っても行方が解らず、それでも諦められない。ルボの苦しみが伝わってきました。

 

 

子供探しをしながらも、探す資金と人脈を作らなければならず、ライターという人物として商売をしていくのですが、上手いんです。ルボは見た目も良いので、上流階級の奥様たちに人気で、浮名を流しながら情報を集めていくんです。そちらも面白かったですよ。

 

そんな暮らしの中で好きな女性が出来たりして、でも子供探しは止められないしと悩みながらも流されて生きていきます。戦後も長い間探し続けるルボの姿が描かれていくのですが、第二次世界大戦後のスイスとかオーストリアの様子って、あまり描かれることが無いので少し驚きました。戦後でも優雅な生活を送っているんです。やはり戦勝国は違いますね。

 

 

ユダヤ人迫害の影に隠れて、酷い遊牧民への迫害が起きていたことが描かれていて、考えさせられました。日本には遊牧民がいないので、どうして彼らがそんなに迫害されるのか解りませんが、定位置を持たない民族は怖かったのかもしれません。一般的な考え方からすると理解が難しかったのだと思います。

 

フランツ・ロゴフスキさんがとても良かったです。最初は明るい顔の家族のパパという感じなのに、悲劇が起きて、どんどん暗くなっていく姿が何とも言えずに悲しかったです。こんな風に悲しんだ人々が沢山いたんだろうと考えると考えさせられました。

 

 

私はこの映画、お薦めしたいと思います。とても良い内容の映画なのですが3時間は長いなぁ。まぁ、話がどんどん進んでいくので眠くはならないのですが、ルボの凄い半生を観ていると体力を消耗しました。共感してしまうので疲れるんです。それでも良い映画でした。私は好きなのですが、日本公開してくれるかしら。せめて配信はして欲しいなぁ。もし機会があったら、ぜひ、観てみてください。

ぜひ、楽しんでくださいね。カメ

 

 

「ルポ」