【イタリア映画祭】「あなたのために生まれてきた」子供が幸せになるなら独身でもゲイでも育てさせて。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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【イタリア映画祭2024】

 

「あなたのために生まれてきた」

 

(10作目)

を観てきました。

 

ストーリーは、

同性愛者のルカ・トラパネーゼは、かつては神父を目指したが、今は障害者施設でソーシャルワーカーとして働いている。養子を迎えて自分の家庭を築くことを夢見るルカは、養子縁組の申請をしたのだが、恋人のロレンツォの理解は得られない。

 

病院で子供が生まれた。しかし生んだ女性は引き取りを拒み出ていってしまう。残った女児はダウン症。ナポリ裁判所は、その午前6時に生まれたためにアルバ(夜明け)と名付けられた女児の里親を探すことに。

 

 

1983年に制定されたイタリアの養子縁組に関する法律では、原則として同性のカップルや独身者に養子縁組を認めていなかった。法律は「普通の」家庭を求めていると担当判事のリヴィア・ジャンフェリーチは言うが、「普通の」家庭は誰もダウン症のアルバを引き取ろうとはしない。

 

ルカを支援するテレーザ・ラニエーリ弁護士は、引き取り手が見つからないならルカを考えて欲しいと判事に話すが担当判事は”普通の家庭”でないから除外としてしまう。それならと法律の抜け穴を見つけ、長期休暇の間だけルカが一時的な里親になれるような仕組みを使い、アルバを夏休みの間だけルカが預かれるようにする。

 

夏の間だけだがルカはアルバを可愛がり、教育もしてアルバとの絆と実績を重ねていく。そして、ルカとテレーザの熱意が判事の心を動かし、司法の厚い壁が崩れる時が訪れる。後は、映画を観てくださいね。


 

これは日本でも問題になっている養子縁組制度のお話です。イタリアでは同性カップルや独身には養子縁組を認めておらず、日本も同じように養子縁組のハードルは高くて、同性カップルはダメ、高齢はダメなど、沢山の問題があるようです。普通の家庭というけど、男女のカップルだからって普通とは限らないですよね。DVがあったりモラハラ夫だったり、普通という定義がとても危うくなっている現代です。

 

そんな時代にこの映画は実話を元に描かれています。同性愛者のルカは、敬虔なカトリック教徒で神父になろうと学校まで行ったけど結局神父にはならず、障害者支援施設で働いています。友達と一緒にルカが創設した施設のようでした。なので障害者の扱いは慣れているんです。

 

 

ルカは養子縁組出来るなら、障害児でもダウン症でも何でも、許されるなら引き取りたいと申し込みをしているんです。でも判事は書類の全部の項目にチェックが入っているので、逆に怪しいと思ったようなんです。ルカは自分で障害者の世話や介護をしているので、どんな子供であっても同じように育てられるという自信があったのかなと思いました。でも行政はそれを逆手に考えて、適当に何でも子供なら良いと考えているのではないかと疑うんです。

 

まぁ、行政がそれくらい慎重になるのは解るんです。子供を血の繋がりの無い人間が面倒をみるのですから、念には念を入れてという気持ちになりますよ。変態ロリコン野郎もいることだし、そう簡単には判断が出来ないので、少しでもそういう悪い面が見えた人は却下するのは理解出来るんです。難しいですよね、ルカは純粋に子供を育てたいと思っているけど、それを伝える術がないんです。ゲイというだけで一線を引かれている上に、子供への愛を示せと言われても難しいよなぁ。

 

 

ルカのパートナーのロレンツォは、子供は欲しいけど、自分と血の繋がりが無い子供を育てるのは無理だというんです。だからロレンツォは代理母を頼んで子供を作るとか、それなら子供が欲しいようでしたが、養子を貰うのは嫌だったようなんです。意見が食い違い、結局、ルカとロレンツォは別れてしまうんです。これ、男女のカップルでも同じですよね。子供が出来なければ養子を貰うか代理母を頼むか、選択肢はあるけど難しいところです。

 

そしてルカは、弁護士のテレーザに協力を頼み、ゲイでも独身者でも養子縁組が出来るという事例を作るんです。ただ、ルカは上手くアルバを引き取ることが出来ましたが、やはり今でも同性愛者や独身者で養子を貰うのはハードルが高いようです。父母が揃っていなきゃ養子は貰えないなんて言ってたら、シングルマザーをバカにしているように思わないのかな。母親だけではまともな親になれないと言っているようなものでしょ。失礼ですよね。

 

 

アルバはダウン症として生まれ、母親には直ぐに捨てられてしまうんです。産んだらすぐに要りませんと行って病院を出ていくという母親に驚きました。イタリアはキリスト教圏なので、法律で中絶を禁止されてはいないけど、聖書で堕胎は罪となっているからどんな事情があっても産む人が多いのでしょう。でもそんな無責任に捨てるなら、中絶した方が良いように思うのは私だけなのかしら。子供がかわいそうだなと思うんです。必ず生れ落ちる方が幸せとは限りませんからね。

 

ルカはアルバを、まず夏休みだけ引き取って世話が出来るという措置を裁判所から受けます。夏のバカンスの間、病院には人がいなくなり、面倒を見てくれる人がほとんどいないので、その間だけ面倒を見るという制度があるようなんです。

 

 

一緒に空気の良い自然の中の家を借りて過ごすことにするんですが、家族がそれを聞きつけて助けに来るんです。家族のやさしさに泣きそうになりました。子供を育てたいと言っても経験が無いので、オムツ代えとかミルクの温度とか、色々と細かいことがわかりませんよね。一人では苦戦していたんです。いい家族だったなぁ。こんな家族がいたらアルバも幸せだろうな。

 

最後のエンドロール中に、実際にルカのモデルになった男性と障害児の養子が出てきて、もう幼稚園くらいに成長していました。幸せそうに見えました。男性一人だって子供を育てることは出来るんです。ルカは周りの協力もあり、とても順調そうに見えました。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。多様性といわれる現代に、養子縁組は男女の夫婦で若くなければいけないなんていうルールを今も押し付けているのはおかしいと考えるべきです。これだけ貧困も広がってきている時代に、若い夫婦が養子なんて貰えるはずがない。ある程度裕福な年配の方に頼むとか、考えていくべきなんじゃないかな。古いルールより、子供の幸せを第一に考えるべきなんです。とても考えさせられる映画でした。日本公開は決まっていませんが、これはぜひ沢山の人に観て欲しい作品だと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「あなたのために生まれてきた」