【イタリア映画祭2024】
「美しい夏」
(6作目)
を観てきました。
ストーリーは、
1938年のイタリア・トリノ。兄のセヴェリーノと一緒に働くために田舎からこの街に出て来た若いジーニア。田舎では良い仕事は無く、兄は大学に行くための学費を稼ぎながら勉強をしていた。ジーニアは運よく洋服工房に採用され、お針子として働いていた。
ある夏の日、ジーニアと兄セヴェリーノは若い友人たちと水辺で遊ぶために集まっていた。沢山の友人たちが集まり、食事をしたり、水に入ったりして楽しんでいた。ジーニアは、その時に印象的だった美しい女性アメリアと街で再会する。お互いに惹かれ合った二人は、どんどん仲良くなっていった。
二人は若者の集まるパーティに参加し、ジーニアはそこで画家のグイドに出会う。アメリアは彼ら画家のモデルとして働いており、ヌードになることもしばしば。彼女には当たり前だが、ジーニアにしてみれば初めて知ることばかり。
恋愛も初めてのジーニアはグイドの要求にどう答えて良いのか解らず戸惑いを隠せない。彼に惹かれどんどん自分を見失っていくジーニアは、今まで真面目に仕事をしていたのだが疎かになっていく。その上、アメリカから衝撃の事実を聞かされ慌てるジーニア。若さゆえの迷いや間違いを周りは許容してくれず、途方に暮れたジーニアが選択した道は…。
後は、映画を観てくださいね。
この映画、本当に美しい映画でした。ストーリーはひと夏の経験で成長した女性のお話です。とにかく細部にこだわっていて、背景も美しいし、衣装も素敵で、撮影している建物もこだわっていて、これは何度も観たくなる映画だなと思いました。
雰囲気で言うと「レディ・バード」や「ブルックリン」に似ているかしら。内容は全く違うけど、若い女性が今まで見たことが無い世界に足を踏み入れて、苦しい思いや苦い経験、社会との関わり、そして自分の未来を見つめて前に進み始めるというお話で、とても良い作品でした。
ジーニアはトリノに来てからほとんど仕事しかしておらず、兄にくっついて遊びに行くくらいしかなかったんです。そして水遊びでアメリアという女性とちょっと挨拶をしたくらいなんだけど、凄く美しい女性で印象に残っていたんです。すると街でばったりアメリアに逢い、アメリアの方も覚えていたようで、仲良くなるんです。二人とも美しくて、とっても絵になるんですよ。
二人で一緒に遊ぶようになり、アメリアの知り合いのパーティーに行くようになります。そこに若い画家たちが集まっているんです。アメリアは昔、ジーニアと同じようにお針子をしていたらしいのですが、画家のモデルとして働く方が大金を貰えるので今はモデルをしているんです。
画家のモデルと聞き、ちょっと引いてしまうジーニア。そりゃそうですよ。だって、田舎では異性と付き合うことさえなかったのに、アメリアは付き合ってもいない画家の前でヌードになってモデルをするんですから、ジーニアには驚くようなことだったと思います。
画家の若者たちは楽しくて紳士的で、アメリアも一緒なのでジーニアも勇気を出して一緒に飲んだり騒いだりするようになります。その中でジーニアはグイドという画家と恋に落ちて、彼とデートをしたり、彼の家に行ったりするようになります。グイドの方はどれくらい本気だったのかは解りませんが、ジーニアは本気だったと思います。
ジーニアはアメリアの事も好きで、グイドの事も好き、どちらも好きなんだけど、アメリアとグイドが仲良くしているのを見ると、何故かもやもやして嫉妬してしまいます。でも、今まで恋をしたことが無かったジーニアですから、その気持ちをどう処理してよいのか解らず、頭がパニック状態になってしまいます。
一杯な状態なので仕事もおろそかになり、遅刻が増えて、とうとう解雇されてしまいます。お針子としてデザイナーとして才能があると認められ始めた時だったのに、全て壊してしまうんです。兄も心配し、アメリアたちと遊びまわるのは辞めた方が良いと助言するのですが、いっぱいいっぱいになっているジーニアは聞く耳を持ちません。
そんなジーニアが冷静になり自分を取り戻すことが出来るのかは、映画を観て欲しいです。うーん、良い展開でした。ジーニアはどちらかというと、グイドよりもアメリアが好きなんだと思うんですよね。だからアメリアを取られたくなくて嫉妬したんじゃないかなと私は思いました。だって、アメリアは本当に魅力的な女性なんですもん。でも、実はアメリアには重大な秘密があり、それによって、二人の関係も変わっていきます。
衣装が素敵でした。ジーニアの仕事場のユニフォームが可愛くて好きでした。紺のワンピースで襟が白くて大きくて素敵でした。ジーニアとアメリアの私服も良かったです。そしてジーニアの職場の建物や住んでいるアパート、画家のアトリエ、パーティーの会場など、建物にもこだわっていました。建築屋の私はジーニアの職場の建物が気になったなぁ。
良い映画でしたよぉ。これは単館系映画が好きな女性に好まれそうな作品でした。細かい部分も話題になりそうで、ぜひ日本公開して欲しいなと思った作品です。
私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。これは皆さんに観て欲しい。こだわりの作品を楽しんで欲しいです。日本公開されたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「美しい夏」