【イタリア映画祭】「そう言ったでしょ」世界終末の熱波の中で人々は自分と向き合い決断していく。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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【イタリア映画祭2024】

 

「そう言ったでしょ」

 

(5作目)

を観てきました。

 

ストーリーは、

異例の熱波に見舞われる1月のローマ。ジアンナは家にたまたま来た男を連れ込み、セックスを楽しんでいた。ベッドトークでポルノスターのプーパと友人で自分もその昔はポルノスターをしていたと話す。実はジアンナはプーパに夫を取られて精神的に追い詰められ、プーパへのストーカー行為で制限命令を受けていた。

ジアンナの娘ミラはそんな母親が負担となり過食症を起こしていた。それでも母親のストーカー行為を止めるべく何度も電話で話をしている。それでも会いに行くのだけはごめんだった。

カテリーナはアルコール依存症の為に息子と離れて暮らしている。元夫から息子への接近禁止命令が出されてしまったのだ。依存症の克服をするため教区で行われる集会などに通っているのだが上手く行かない。

その教区の神父ビルは、実は自分にも麻薬依存症があり、克服出来ずに苦しんでいた。正しい教えを説きながら自分は壊れている。そんな時、アメリカから妹のフランが母親の遺骨をもってやってくる。二人にとってトラウマとなる過去が蘇り、ビル神父は…。

熱波の中、それぞれの思いが交差し狂って行く。蒸気で白く煙る世界はどうなってしまっているのか。これは熱波のせいなのか、それとも…。後は、映画を観てくださいね。


 

1月なのに熱波に見舞われて夏のようなローマ。地球温暖化はここまで来たのかという感じのローマが描かれていて、このままだと本当にこんな冬が来てしまうのかと恐ろしくなりました。というか、どう見ても1月に見えないんです。だって道路の上に陽炎が見えるほどなんですよ。あり得ないでしょ。

 

そんなローマに住む人々のお話でした。最初は元ポルノスターのジアンナ。彼女は、今も人気のプーパと一緒に仕事をしていたことがあります。彼女は今もネットなどで人気になっており、たまたま知り合ったプーパの仕事関係者に、今も綺麗なのかとか魅力的なのかとか嫉妬心剥き出しの質問をします。

 

実はジアンナは夫をプーパに取られたという過去があり、嫉妬からストーカー行為をして接近禁止命令が出ていたんです。元々めちゃくちゃな人だったように見えましたが、プーパとの浮気事件があってからジアンナはもっと不安定になったようで、娘のミラは気が気ではありません。

 


 

ミラは裕福な老人の介護の仕事をしていて、我儘な人ではあるけど満足しています。その家で出会った配達の青年と恋に落ちて、これから上手く行くかもというところで、この熱波に襲われます。母親から電話がかかってくるし、介護をしている老人には熱波はキツいだろうし、さてどうなるんでしょうか。

 

温暖化で世界が終わりに近づいている今、ジアンナはプーパに会いに行きます。考えているだけではなく決着を付けなければと思ったのだと思います。でもジアンナの決着の付け方は何の解決にもなっていないなと思いました。何事も熱波のせいとしてしまうのは間違っているんじゃないかな。

 

次にカテリーナという若い女性のお話です。彼女はアルコール依存症になり息子への接近禁止命令が出ています。でも、息子の誕生日ということで特別に会いに行けることになりますが、逢ってしまったら離れたくなくて息子を連れだしてしまいます。

 

 

カテリーナは自分本位で、子供を大切に思っていると言いながら自分が一番なんですよ。だからアルコール依存症になってしまう。色々な依存症があって病気だからというけど、何でも病気って言ってしまえば許されることじゃないんです。病気なら治せばよいでしょ。でも治らないのは自分のせいでしょ。

 

病気だからって逃げて、子供は可愛いから逢いたいって、そんな理屈通らないです。意思が弱いとか、心が弱いとか、逃げることばかり言うけど、必死で耐えて意思を強くして、心を強くしてきた人だって沢山いるんです。人が出来たことが出来ないなら、その人と同じ願いは叶わないですよね。当たり前のことです。どうしても子供に逢いたければ、それだけの努力が必要なんです。

 

そして最後に神父のビル。人々に教えを説いて導く人なんだけど、元麻薬依存症で今も苦しんでいるんです。今は麻薬はやっていませんが、麻薬依存症って完全に治ることは無いんでしょ。苦しそうでした。そこへ、母親の遺骨をもっやはりて妹フランがやって来るというお話です。ビルとフランは母親の問題で苦しんできて亡くなって解放されたと思ったのですが、色々と思いが蘇ってきて、ここで向き合わなければと考えるんです。

 

 

誰もが親と上手く行くとは限らず、とことん合わなくて、別れたら死ぬまで会わない親子もいると思います。人間ですから合わないこともありますもんね。仕方ないと思います。でも、合わないことは自分が悪いんじゃないですよ。これはお互いの事ですから、人間同士が合わなければ親子でも兄弟でも、それは決別するしかありません。私はそれは悪い事じゃないと思っています。どんな関係も最後は人間と人間ですからね。まぁ、最後くらいは弔ってあげるとか、それくらいはやってあげても良いのかなとおもいますけどね。

 

いくつもの人間関係が描かれ、温暖化で季節外れの熱波の日にそれぞれが自分に向き合うというお話でした。世界が狂っているから反対に自分が狂えなくなり、自分の今の姿に向き合うことになったという感じかしら。

 

群像劇なのですが、私、あまり群像劇が得意ではなく、この映画も面白いとは思ったのですが、ちょっと難しかったです。何で?と思う部分もあり、まぁ、これだけ熱くなったら、みんな狂っちゃうんだろうなと思うことにしました。

 

 

私はこの映画、お薦めしたいと思います。有名俳優さんが勢ぞろいしておりまして、それぞれのお話は心に問題を抱える人々を描写していて、心に響く部分がありました。良いんだけど、ちょっとまとまりがぼや~んとしていたかな。熱波のローマだから仕方ないのかも。日本公開はどうかなぁ~。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「そう言ったでしょ」