【イタリア映画祭】「グローリア!」この時代の音楽の才能ある女性が埋もれてしまうのは残念です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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【イタリア映画祭2024】

 

「グローリア!」

(2作目)

を観てきました。

 

ストーリーは、

1800年、ヴェネチア近郊の孤児院。無口で孤独なテレーザはメイドとして働いていた。音楽の才能を持つ彼女だったが、孤児院では邪魔者扱いされており、いつも隠れて粗末な打楽器などで音楽を楽しんでいた。


 

新しい教皇ピウス7世は、ヴェネツィアのコンクラーベから選ばれ意欲的に動き始めていた。ヴェネト州の全ての教会を順に訪問し、音楽会に参加していたのだ。この孤児院を持つ教会も例外ではなく、もうすぐ教皇がいらっしゃるという噂が聞こえてきていた。

 

教会の牧師であり合唱団長は、新曲を作曲しなければと奮闘していたが、まったく新しい曲が考え出せない。教会の楽団は女性だけで構成されており、音楽の才能のある女性が沢山いた。ルチアは第一バイオリン奏者だったが作曲も出来、団長よりもよっぽど素晴らしい音楽を作っていた。

 

ちょうどその頃、ピアノも発明され、教会に運ばれてくる。才能のある女性たちと楽器が揃い、団長だけが必要ない状態になってしまう。しかし教皇が見にくるのは団長の作曲した音楽であり、敬虔な信者たちの集まる教会を見に来るのだ。彼女たちは教会のクラシック音楽ではなく、自分たちの音楽を奏でるために、どんな作戦を立てたのだろうか。

後は、映画を観てくださいね。


 

この時代、教会音楽が主流で、あまり一般の人々が素朴に楽しむ音楽が無かったように見えました。教会の礼拝時に歌を聴くということでしか歌を聴くという習慣が無かったのかしら。日本だと昔から子守歌や農村の労働の歌などで楽しむという習慣があったように思いますが、海外はどうだったのかな。

 

教会の礼拝時に、ここでは楽団を持っており、コーラスと楽器でコンサートばりに音楽を奏でるんです。この時代、こんなに教会って裕福だったんですね。パトロンのような方がいらしたので、その方が援助してたからなのかな。神父は文句が言えないようでしたから、色々な力関係があったのでしょう。

 

教会に楽団があるほどなので、ローマ教皇が聞きに来たんでしょうね。新しい教皇になり、名前を知らしめたかった、力を誇示したかったということがあるのかもしれません。

 

そんな教会&孤児院には類まれな才能が集まっていて、言葉が話せない(と思われている)メイドのテレーザは、子供たちと一緒に簡易的な打楽器などを使って音楽を奏でていました。そして、楽団の第1バイオリニストは、素晴らしい作曲の才能を持っていました。

 

楽器をやる方って、ご自分で作曲をする方も多いようですが、この時代の女性ですから、今のように自由に勉強をするとか、楽器だって自分のモノではないでしょうから、女性で作曲が出来るなんて珍しかったんじゃないかな。大体、楽譜が読めるのが珍しいでしょ。文字さえ誰でも書ける時代じゃなかったんですから。

 

 

そんな凄い楽団なのに、何故か団長の神父は才能が無くて、指揮を振っているように見えて、まったくカッコだけだったりしているようでした。昔は自分で教会音楽を作曲して披露をしていたようなのですが、ある時から作曲も出来なくなり、昔の曲ばかりをやっていると言っていました。

 

教皇がやってくることになり、新しい曲を作らなければならないのですが、神父は全く曲が書けずに苦しんでいます。そこでルチアが私の曲を使ってくださいというんですが、女の書いた曲なんてという感じで断ります。その嫌がらせではないと思うけど、教会にあったピアノを神父が廃棄してしまいます。ピアノは新しく開発された楽器で悪魔の楽器と呼ばれていたので、楽団員やテレーザが楽しく使っているのを見て捨てたんじゃないかな。

 

だからテレーザやルチアたちがピアノを取り返す条件で、ある提案を神父にするんです。こういう時代だから、女性を認めず、女の音楽なんてというのも解るけど、この時代にも音楽の才能がある女性が多くいたようでした。

 

内容がいっぱいで面白い映画でしたが、要はこの男性社会の時代でも、女性が作っている音楽があったのだということを描いている映画でした。沢山の音楽があったようですが、現存するモノは少ないそうです。そして、映画の中にピアノが出てきますが、実際は、まだこの時代にこの形のピアノは無いそうです。そこはフィクションだそうです。

 

とても楽しくて面白い映画でした。どんな苦境の中でも音楽を忘れず、それを糧にして前に進んでいく女性の姿が描かれていました。楽しい映画でした。

 

 

私はこの映画、お薦めしたいと思います。面白いのですが、内容が細かく一杯あるので、全てを把握してつなげていくのが少し大変でした。テレーザの話、ルチアの話、神父の話、楽団員の話、とどれも重要で、話が飛ぶとどこと時系列が一緒なのかなと少し戸惑いました。初監督作品ですからね。でも面白かったです。日本公開はまだ決まっていませんが、公開されたら、ぜひ観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「グローリア!」