【イタリア映画祭】「まだ明日がある」女性の権利が確立されていなかった時代の苦しい現実です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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【イタリア映画祭2024】

 

「まだ明日がある」

 

(1作目)を観てきました。

 

ストーリーは、

1946年5月、ローマ。第二次世界大戦の敗戦により荒廃し、連合国軍部隊によって占領されていた。そして6月2日と3日には制度住民投票と制憲議会選挙が差し迫っていた。この時代、男の権力は絶対であり女は夫のモノとして扱われていた。完全な性差別があり、男が女の上に立つのは当たり前と思われていたのだ。



 

デリアは夫イヴァーノの妻として夫の言う通りに行動させられている。長女は女というだけで学校に行かせてもらえず、下の長男次男は学校に通っていた。いつもバカだのと言われ、何かあれば酷い暴力を受けるのが当たり前だった。

ある日、長女マルセラが店を経営する家庭の息子ジュリオと恋に落ち、結婚したいと言います。デリアの家は貧しいので、娘の幸せをとても喜び、二人は婚約をします。

マルセラは母親が父親に口答えせず、ただ殴られて悪態をつかれる生活を送っていることに、このままで良いのかと問いますが、デリアは行くところが無いと言い黙ってしまいます。しかし彼女も一人で色々と考えていたんです。

ある手紙が彼女の元に届いてから、彼女はずっとその日が来るのを待っており、自分の足で立ち上がる勇気を持ち始めていました。そして…。後は、映画を観てくださいね。


 

この映画、観ていてムカつきました。良い映画だからこそなのですが、映画で描かれている時代は男尊女卑が激しい時代で、戦後の混乱の時代です。人々は皆、どこか負けたという敗北感と不安を持っているように見えました。

 

その時代、女性は男の所有物という考え方が強い時代で、妻は夫のモノなのだから、文句をいうものではない。夫のいうことに従うのが当たり前の時代でした。そしてこの主人公の女性デリアの夫は平気で暴力をふるうような男でした。ムカつくでしょ。

 

観ていてイライラしてしまいました。何で反撃しないんだよ!って思っても、この時代はそれが当たり前だったから仕方ないと思うしかないんだけど、それでも許せなくて必死で我慢しました。

 

主人公のデリアは結婚して子供を3人産んでいるのですが、長女・長男・次男となっていて、長女は学校に行きたくても行かせて貰えないんです。女だから。下の息子たちは学校に通っています。男の子だから。はぁ?何様なんだよ。いくらその時代は当たり前って言ったって、貧困なのは夫の稼ぎが少ないからでしょ。お前の稼ぎが少ないのが原因なのに、いつも妻に暴力をふるい、いくつもアルバイトを掛け持ちさせ、家事も全てやらせるってどういうことよ。ぜってー許さない!と思いました。

 

デリアはそれが当たり前という教育を受けてきたからなのか、我慢をするだけで、夫に文句を言いません、いや、言えません。出ていけばよいのに、行くところが無いと言って出ていかないんです。いくつものアルバイトを掛け持ちして、栄養注射を打つような仕事もしていたから、看護師かなにかの免許を持っているんじゃないの?それなら自分だけで仕事をして自立出来るでしょ。

 

まぁ、街中の人々が全て男尊女卑だったから、大した給料じゃないのかもしれないけど、それでも暴力をずっと我慢しているような生活は辞めた方が良いですよ。そんな時に、ある手紙がデリラに届くんです。最初は、その手紙を見て諦めたように丸めて捨てるのですが、思い返して拾うんです。その手紙とは何なのでしょうか。

 

 

それが、この映画の大切な部分で、この時代、この手紙を手に入れて、それを勇気にしてがんばっていた女性がいるということが描かれているんです。最後の方で手紙の謎が明かされた時、あーそういうことかと、とても納得しました。大変な時代だったんだなと思いました。でも、この大変なことを何度も乗り越えて、男尊女卑が当たり前という世界を変えてきたんですよね。

 

なんか泣きたくなるほど誇らしい気持ちがして、嬉しくなりました。こんな女性たちがいてくれたから、今の私たちがそれを受け継ぎ、もっと良い社会にしていこうとしているんです。いやぁ、カッコ良かったなぁ。この嬉しさは、きっと、戦ってきた女性には伝わるんじゃないかな。ただ、何もせずに流されて生きてきた人には、あまりこの感動は伝わらないかもしれません。

 

男性にはイタイ映画かもしれませんね。でも男性だってこの気持ち解ると思うなぁ。好きで女性に暴力ふるっている男性なんていないでしょ。お互いに認識が間違っていたということを、この映画を観ると確認出来ると思うんです。相手を尊重するということは、人間にとって、一番大切な事ですからね。

 

モノクロ映像で描かれる映画で、時々、ミュージカル仕立てになったりして、ちょっと楽しんでいる映画です。ただ、嫌な部分だけを描くのではなく、辛い時代でも楽しいこともあったんだよってことも描いていたのかもしれません。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。最初、観始めた時はムカついてイライラして、どうなっちゃうんだろうと思いましたが、こんなに誇らしい気持ちになるとは。嬉しかったです。日本公開はまだ決まっていないようですが、もし、公開が決まったら、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「まだ明日がある」