「かくしごと」子供を守るために隠すことが必要なら周りも考えてあげて欲しい。法律が全てじゃない。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「かくしごと」

 

を観てきました。Fan’s Voiceさんの独占最速試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

絵本作家の千紗子は、絶縁状態となっていた父・孝蔵が認知症を発症したため、仕方なく故郷へ戻って介護をすることに。ある日、彼女は事故で記憶を失った少年を助ける。その少年の身体に虐待の痕跡を見つけた千紗子は少年を守るため、自分が母だと嘘をついて一緒に暮らし始める。

というお話です。

 

 

絵本作家の千紗子は、長年絶縁状態にあった父・孝蔵が認知症を発症したため、渋々田舎に戻ることになる。家に帰ってみると、父は千紗子のことが認識出来ない。ふざけているのかと思ったが、本当に解らないようだった。他人のような父親との同居に辟易する日々を送ることになった千紗子。毎日、喧嘩ばかりだ。

 

そんなある日、夜に車を走らせていると、目の前に人が倒れてくる。驚いて車から降りた千紗子と友人の久江は、意識の無い少年を助けることに。千紗子の家に少年を連れ帰り、雨でびしょぬれになった服を着替えさせると、身体中に虐待の痕を見つける。これは問題だと思いながら、次の朝目覚めた少年に名前を聞くと、それまでの記憶を失くしているようだった。

 

 

橋から川に向かってバンジージャンプをした少年が行方不明とニュースで報道されている。高い場所を怖がる少年が自分からやる訳も無く、これも虐待だと気づいた千紗子は少年を守るため、自分が母親だと少年に嘘をつき、一緒に暮らし始めるのだった。自分の絵本の主人公の拓未という名前をつけ、次第に心を通わせ、新しい家族のかたちを育んでいく三人。しかし、その幸せな生活は長くは続かなかった。後は、映画を観てくださいね。

 

衝撃的な内容の映画でした。うーん、唸ってしまうような展開で、何が正しくて何が間違っているのか、人間はどこまで壊れていってしまうのか、色々と考えてしまいました。

 

 

まず、千紗子は父親と絶縁状態でした。彼女は昔から父親が苦手で上手く行っていなかったんです。父親の孝蔵はとても真面目な人間でいつも自分のいうことは正しいと考える人間です。千紗子は暴力を振るわれてはいませんでしたが、精神的な虐待を受けていたのだと思いました。それこそモラハラだと思います。彼女のことをいつも否定するので、千紗子は父親が苦手になり、ある決定的なことがあって8年間ほど絶縁状態だったんです。

 

しかし、母親が亡くなり一人で暮らしていて認知症を発症したようで、千紗子は呼び戻されました。孝蔵の介護認定を受けて施設にいれたら、すぐに東京に帰るつもりだったんです。そんな時に虐待を受けていたらしい少年を拾います。拾うというのがピッタリのように道路に倒れていたんです。車に少しぶつかったようで、頭を打って記憶を失くしたのかもしれず、家に連れて帰ります。なんで警察に通報しなかったかは、映画を観てくださいね。

 

 

そして少年の虐待の痕を見つけるんです。いつも思うんだけど、義父が虐待するなら自分の子じゃないから理解出来なくはないですが、一緒に母親も虐待するってどういうことなんだろう。男に依存して生きる女って最悪だというのが解らないのかな。男と一緒に自分の子を虐待って、人間として終わっているので人間辞めた方がよいですよ。

 

母性が無いという女性もいなくはないと思うので、全ての女性に子供を愛せとは言いません。でもね、愛せないなら産んじゃダメですよ。自分が愛されなかったから子供を愛せないというなら、産まないこと。それでも生まれてしまったら、国が保護して里親に任せるようにしないと、これからも子供の虐待は減りません。日本も欧州や米国のように、子供を守るための制度をもっとしっかり作らないとダメでしょ。子育て支援よりも子供保護制度の方をしっかりしないと、生まれてもすぐに殺されてしまいます。

 

 

この映画でも、千紗子が虐待の痕を見つけるんだけど、助ける手立てが無いのよね。警察に届けたらすぐに親元に連れていかれてしまうし、児童相談所に連絡しても様子を見ましょうと言って、最終的には親に帰されるでしょ。緊急事態になっているという感覚が無いんですよね。身体に解るほどの痣があるなら、もうそれは緊急保護の状態でしょ。

 

だから千紗子は自分が育てることにしちゃうんです。嘘をついてまでも、子供を守ろうと動くんです。見てしまったら、ほおっておけませんよね。助けたいと思いますもん。だってバンジージャンプですよ。義父が少年の足に縄をまいて橋から落としたんだと思うんです。信じられない行動でしょ。あり得ないですよ。

 

 

千紗子は自分が親との関係で苦しんだので、この少年は助けたいと思ったんだと思います。でも少年の目の前で、認知症の父親を怒ったりしてしまい、自分も同じように虐待のようなことをしてはいけないと、何度も心に言い聞かせていたんじゃないかな。だから、段々と父親にも優しくなっていきます。

 

そんな3人の関係のバランスがとても良くなっていき、1つの家族になった頃にまたも問題が起きるのですが、それは映画を観てください。父親の認知症は進んでいくし、拓未は自分の本当の子供ではないし、やっぱりそう簡単に上手く行くわけがないんです。嘘で塗り固めたしあわせは、長続きはしないんです。

 

 

こんな風に虐待されている子供を見つけたら、どうしたらよいんでしょう。警察も児相も役に立たず、法律でも親を罰することが出来ないのなら、子供はどうやって自分の幸せを見つけたらよいんでしょうか。家出をしても親のところに連れ戻されてしまうし、昔の駆け込み寺のような、子供駆け込み寺があったら良いのにね。

 

洗脳されたやらなんやらありますが、何人もの大人がバラバラに判断して子供の処遇を決めるって駄目なのかしら。裁判員制度が出来ているんだから、子供支援判定員とかって制度を決めて、子供をどうすべきか順番に判定する制度があったらよいですね。子供の立場で考えられる人になって欲しいな。

 

認知症は大変そうでした。私もそろそろ親の介護を考えなくてはいけなくなると思うので、映画を観ながら考えてしまいました。脳がしっかりしていて身体が動かないなら、介護士さんを頼んだりすれば良いけど、認知症になっても身体が丈夫だと徘徊したり大変ですよね。私、親が認知症になってしまったら、徘徊する前に、身体にGPSを埋め込んで貰おうかな。だって何も持たないで出てしまうから徘徊なんでしょ。怖いと思いました。

 

 

この映画、凄く考えさせられる映画でした。子供を助けたいなぁ。何とか虐待する親から引き離せないのかしら。血の繋がりが無くても心が繋げられる里親に出会えたら、その方が幸せですよね。国も考えて欲しいです。

 

主演の杏さんは必死で子供を守りたいという強い母親でした。そしてその父・孝蔵役の奥田さん、本当に認知症のリサーチをされて演じたそうです。素晴らしかったです。拓未役の中須さん、上手い子でした。最近の子役は本当に凄いです。他、佐津川さんや酒向さんも良かったです。義父役の安藤さん、優しいパパを演じたと思ったら極悪な義父まで、なんでも出来る方ですね。うーん、素敵でした。

 

 

私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。これは誰もが直面する親の介護を考えさせる部分と、虐待されている子供を見つけてしまってどう行動するのが良いのかを考えさせる、良い作品でした。子供ってバカじゃないんですよね。凄く考えているんです。それを大人も解ってあげて欲しいなと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「かくしごと」