【横浜フランス映画祭2024】「けもの」人間が全てAIに任せてしまった世界は恐ろしいです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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横浜フランス映画祭2024

 

「けもの」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

人工知能が生活を取りまく近未来、人間の感情は脅威とみなされる。感情を取り除くため、ガブリエルは過去に戻り、DNAを浄化することに。そこで、かつて心から愛したルイと再会する。しかし、ガブリエルは、悲劇が起こる予感と恐怖に襲われる。

というお話です。

 

 

時は2044年:人間が日常的に感情を「消し去る」時代。感情が無ければ諍いも起きず安定した社会を持続出来るとし、人工知能がストイックな社会のあらゆる側面をコントロールしています。

 

ガブリエルは感情を取り除く前のプログラムとして、DNAの浄化を望みます。前世の恋愛などによって引き起こされた痛みを取り除き、完全に安定した人間となるためです。

 

ガブリエルは、精神のみ過去に飛ぶシステムにより過去に遡ります。ベル・エポック時代のパリでガブリエルは会社経営者の夫の下でピアニストとして生活をしています。そこへルイというイギリス人男性が現れ、冷たい夫から彼女を口説き落とします。次に21世紀初頭のロサンゼルスでは、ルイは暴力的な「報復」を行おうとするアメリカ人として現れます。

 

何度ルイと出会っても何故かガブリエルは不幸な結末を迎えてしまい、DNAを浄化することが出来ません。なぜルイとは悲劇的な運命を繰り返すことになってしまうのか。こんなにも愛しているのにと考えるガブリエル。そして現代に戻ってみると…。後は、映画を観てくださいね。

 

 

レア・セドゥ主演のSF作品です。うーん、ちょっと難しかったかな。色々な解釈があると思うけど、今回は私の解釈を書いていきますね。まず、感情を排除した社会というのがポイントだと思います。ほとんどAIが社会を取り仕切ってくれていて、人間はただ生きているだけ。そんな世界は面白くないだろうなと思うけど、そういう選択をしてしまった人類がいた世界ですね。

 

感情が無いというけど、レトロなクラブで楽しそうに踊っていたり、飲んでいたりする場面があるので、まったく感情を排除してしまったわけではないのかもしれません。ただ、ガブリエルという主人公は、自分から感情を取り除きに病院らしきところに行っているので、個人の選択で感情を取り除いたり、持ったままにしたりは出来るのかなと思いました。

 

 

ガブリエルは過去からのDNAの関係でいつも不安が消えない生活を送っていて、それが嫌で感情を消す選択をしたのだと思います。そして、まず過去に遡り、不安を抱いた最初の時代に行ったのだと思います。そして、その世界でルイという青年と上手く行けば良かったんだと思うけど、不幸に見舞われてしまいます。

 

きっとこれ、過去に戻ると言っても、自分のDNAの記憶の中に戻るだけだから、自分がこうしようと思えば過去を変えることが出来るのだと思います。だけど、どうしても帰ることが出来ないんです。不幸に終わってしまうので、次にルイと出会う時代に行くんだけど、やっぱりダメなんですよね。

 

占い師らしき人に、夢では彼と交われるが現実では交われないと言われ、何でなのかしらと悩むのですが、ここがポイントかな。私の見解なので、実際に監督が描いている解釈とは違うかもしれませんが、私はルイはガブリエルの分身だと思っているんです。

 

 

ガブリエルの中にいる彼女の感情の部分の象徴で、ルイと上手く行ってしまえば幸せになって、DNAは浄化されてしまうので、感情を簡単に消すことが出来るようになってしまいます。それを阻止するために、どうしてもルイとガブリエルは上手く行かないようにDNAで組まれているのだと思いました。ガブリエルのDNAは感情を消すなと訴えているんです。

 

人間に感情が無くなってしまったら、ロボットと同じになってしまいます。人間という種が必要ないということになるんです。それはダメですよね。いくらAIがなんでもやってくれるようになっても、人間は感情で動くからこそ人間なんです。動物なんです。

 

映画の中でも、ガブリエルに付き添っているAIロボットがいるのですが、このロボット、ガブリエルと一緒にいることで段々と感情が芽生えてきてしまい、途中でメンテナンスに出されるんです。それでもやっぱり感情のようなものが芽生えてくるというような雰囲気を醸し出していました。

 

 

カエルや亀とだって、意思の疎通が出来るんです。AIに感情が芽生えてもおかしくないですよね。生きる者に感情が必要です。それを消し去る未来など選択してはいけません。そんなことを訴える映画だったんじゃないかな。液体の入ったカプセルに浸かって、過去に戻る機械は日本の漫画でもありました。

 

たしかヒュー・ジャックマンの「レミニセンス」も同じような感じでしたよね。日本の漫画は「ノリ・メ・タンゲレ」という道原かつみさんのコミックです。過去の時代の遺伝子情報が近い人間に精神を飛ばして乗っ取り、間違った過去を正すという作品でした。最初は、この漫画と同じように、過去の時代に生きた自分に精神を飛ばして操るのかと思ったのですが、自分のDNAの浄化なので、わざわざ本当の過去に行く必要はないですよね。

 

 

という訳で、自分のDNA浄化が出来ないこととなり、それは感情を捨ててはいけないという自分内部から出てくる警鐘だったというお話ではないかと思いました。もし、間違っていたらごめんなさい。これは私の解釈なので、私はこれで納得しました。

 

私の解釈でOKならば、面白い映画だなと思います。感情はたしかに「危険=けもの」なのかもしれませんが、危険な部分だけではなく、人へのやさしさ、寛容、許し、守り、助け、などなど、沢山の大切な部分も秘めています。それは感情があるからこその思いであり、人間の愛も感情から生まれるものなのだと思います。それが無くなったら、もう人間、いや生物ではないでしょ。機械になるのなら、この地球に生物は必要ないですよね。それって、意味があるの?そんなことを思う映画でした。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。良い映画だと思うのですが、ちょっと難解ですね。人それぞれ、考え方が違うので解釈も違うとは思いますが、ちょっと難しいと思いました。私は自分の考え方で満足して、この映画を好きになりましたが、賛否があると思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「けもの」