「ビニールハウス」一度踏み外した階段はどこまでも転がり落ちてしまい、全てが泡と消えてしまう。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ビニールハウス」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

貧困のためビニールハウスに暮らすムンジョンは、少年院にいる息子と再び新居で暮らすことを夢見ていた。資金を稼ぐため、盲目の老人テガンと、その妻で認知症を患うファオクの訪問介護士として働いている。ある日、ファオクが風呂場で突然暴れ、後頭部を打ちつけ亡くなってしまう。ムンジョンは認知症の自身の母親をファオクの身代わりに据えて誤魔化し、息子と一緒に暮らす未来を守ろうとするが。

というお話です。

 

 

ビニールハウスに暮らすムンジョンは、少年院に入っている息子と再び一緒に暮らすことを夢見ていた。ムンジョンは夫と離婚し、精神的な問題で息子を親族の家に預けさせられていたのだ。今は仕事も安定し、息子を引き取れる状態にあった。

 

引っ越し資金を稼ぐために盲目の老人テガンと、その妻で重い認知症を患うファオクの訪問介護士として働いている。テガンはしっかりしていて優しいのだが初期の認知症と診断され、これからのことを不安に思い始めている。ファオクは認知症の為に誰かが殺しに来ると思っているらしく、ムンジョンに対しても敵だと思っているようだった。

 

 

そんなある日、風呂場で突然暴れ出したファオクが、ムンジョンとの揉み合いの最中に床に後頭部を打ちつけ、そのまま息絶えてしまう。ムンジョンは息子との未来を守るため、病院に入っていた認知症の自分の母親を連れて来て、ファオクの身代わりに据える。しばらくは良かったが、テガンがファオクではないんじゃないかと疑い始める。

 

テガンは友人を呼びファオクかどうかを確認して貰うのだが、そんなに会った事もない人だし、彼の妻以外に誰がいるのだという思い込みから、ファオクだと言ってしまう。テガンは自分が認知症の為に解らなくなっているのだと思い、絶望的になります。

 

 

一方、ムンジョンも絶望の中で咄嗟に下したこの入れ替わりの決断は、さらなる取り返しのつかない悲劇を招き寄せることになってしまう。そして…。後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、ゾッとする内容でした。ホラー映画じゃないんだけど、ホラーになっちゃってるよねぇ。だって、出てくる人がみんな怖いんですもん。人間ってこんなに怖いかなぁと思うほどでした。ビニールハウスというのは、パラサイトで話題になった半地下と同じで、貧困層が農業用のビニールハウスを住宅として住んでしまうらしく、社会問題になっているそうです。ま、テントみたいなもんだから、ちょっと野宿するくらいなら良いけどね。

 

 

ムンジョンは疲れた顔をしているけど美しい女性です。貧困のためにビニールハウスに住んでおり、今は精神障害を負っていますが病院に行く費用が無く、ボランティアが開催しているコニュニティに参加して精神の安定をさせようとしています。

 

老夫婦の介護の仕事をしていて、息子が少年院から出てきたら一緒に住めるようにとお金を貯めています。老夫婦の夫テガンは、とても良くしてくれて、息子と住むことを話すとお給料以外にもボーナスをくれたりして、とても良い関係なのですが、妻のファオクは認知症が酷くなり、暴れたり暴言を吐いたりと酷いんです。その世話もムンジョンが嫌がらずにやっているのでテガンは融通してくれているのだと思います。

 

 

そんな関係が段々と崩れ始めます。まずテガンが認知症の初期と診断されてしまい、このままでは夫婦共に認知症で何もわからなくなってしまいます。テガンが悩み始めたころ、妻のファオクがお風呂で暴れて頭を打って亡くなってしまいます。これすぐに救急車を呼んで治療すれば、助かったんじゃないかと思うのですが、呼べない理由が出来ちゃうんですよねぇ。

 

そして死体を隠して、ムンジョンの実母をファオクの変わりに家に住まわせて、介護をするんです。うーん、ここら辺も、どう考えても誰かが気が付きそうなんだけど、何故か誰も気が付かないんですよ。ムンジョンにしてみれば、自分の母親の面倒も見れるし、母の入院費も浮くし、生活費も母親の分だけは浮きますよね。

 

 

ま、そんなに上手く行くわけがないんだけど、とりあえずは成功してしまうんです。でも、その日からずっと嘘をつき続けなければならず、いつバレてしまうかわからない綱渡りの状態。精神的に追い詰められていくムンジョン。この辺りは、ムンジョン役のキム・ソヒョンさんが素晴らしい演技でした。狂気と紙一重の状態は、凄かったです。

 

事態はどんどん悪い方向へ向かってしまい、衝撃的なラストにぶち当たります。もちろん、ネタバレは出来ないから書けませんが、一つ踏み外すとどこまでも落ちていくというのが、本当によく描かれていました。マジでゾ~っとしました。怖かったです。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。ホラー映画ではないんですが、人間の怖さが良く描かれているので、ヒューマンホラーと呼んで良いかなと思います。この映画の怖いのは、本人は良くなるようにと思ってやっているのに、全て裏目に出て悪い方に転がっていくというのが凄いです。そこまでするかっていうほど、不幸に落ちていく主人公を堪能してください。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ビニールハウス」