【横浜フランス映画祭2024】「愛する時」戦後のフランスで困難に立ち向う女性の姿を描いています。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

横浜フランス映画祭2024 オープニング作品

 

「愛する時」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

1947年、ウェイトレスで小さな息子がいるマドレーヌは、ノルマンディーの海岸で、裕福なインテリ学生フランソワに出会う。彼らは、運命のように、一目で惹かれ合うようになるが、時が経つにつれ、マドレーヌの過去とフランソワの秘密がゆっくりと明らかになっていく

というお話です。

 

 

第二次世界大戦後ドイツから解放されたフランスでは、戦争中にドイツ兵と関係を持った女性たちの髪を剃るなど、酷い屈辱を与えて憎しみを発散させていました。そんな時代にマドレーヌはドイツ兵と恋に落ち、子供を産みましたが周りから祝福されることはなく、一人、ブルターニュにひっそりと移り住みました。

 

マドレーヌは小さな男の子を育てながら、ブルターニュのレストランでウェイトレスとして働いていました。ある日、浜辺で息子を遊ばせていると、突然息子が走り出し水に入ろうとします。マドレーヌは慌てて追いますが追いつきません。そんな時、ある男性が息子を止めて助けてくれました。

 

 

彼はフランソワと言い、学生で丘の上の屋敷にバカンスに来ていました。彼は子供の頃にポリオに罹患して左足を引きずっています。その日からマドレーヌとフランソワは惹かれあい、会うようになります。お互いに秘密を抱えていたが、気持ちは抑えられず結婚することに。

 

順風満帆とはいかないが、何とか結婚生活は幸せに続いていており、マドレーヌの息子と二人の間に生まれた娘もどんどん成長していく。このまま、幸せな生活が続いていくと思われたのだが…。後は、映画を観てくださいね。

 

 

フランス映画祭のオープニング作品は、結構、衝撃的な作品でした。最初に流れてくる映像は、第二次世界大戦後のリアルなフランスの映像で古いアーカイブから持ってきたのだと思いますが、本当にドイツ兵と関係を持ったり、ドイツ兵相手に売春をしていた女性たちを広場などに引きずり出し、衣服などを破ったり、髪を剃ったりして、酷い辱めを与えているものでした。

 

主人公のマドレーヌもその一人で、髪を剃られて辱めを受け、必死で逃げて隠れるのですが、妊娠してお腹が大きくなっているという描写から始まりました。そして、画面が変わり、マドレーヌがブルターニュでウェイトレスをしていて、小さな息子を育てているんです。

 

 

最初の描写があまりにも衝撃的で驚きました。こんなことが実際にあったんですね。マドレーヌは息子がドイツ人との子供というのを隠して、知っている人がいない場所に移り住んで暮らしています。子供に罪はないけど、ドイツ兵との子供だと知られたら、まだまだ戦争の爪痕が残っているフランスでは普通には暮らせなかったと思います。

 

そんな場所でフランソワというお金持ちの学生に出会います。良い家のお坊ちゃまらしいんだけど、足が悪くて戦争に行かずに勉強をしていたらしいんです。二人は恋に落ち結婚することになるんだけど、フランソワの仕事が上手くいかず、マドレーヌとフランソワはダンスバーで働くことになるんです。ここら辺は、とっても明るくて楽しそうで、それぞれに色々な問題があるにしても、楽しく生活が出来ているなら良いんじゃないかなと思える内容でした。

 

 

マドレーヌは息子がドイツ兵との子供だということをフランソワには話していますが、息子にも周りにも言っておらず、父親は戦争で亡くなったとだけ話しているんです。そして実はフランソワにもある秘密があるのですが、それは誰にも話していません。それだけはこの時代、どうしても話すことが出来ない秘密でした。そんな秘密を抱えた二人なのですが、お互いに深く探ることはせずにその部分もすべて許容しての愛だったのだと思います。

 

段々と子供も大きくなりそれなりに考えもしっかりしてきて、息子が自分の父親は誰なのだと知りたがります。息子としては当たり前ですよね。だって、フランソワは途中から出来た父親だし、本当のお父さんがいるはずなんですから知りたいのは当たり前です。でも戦後20年近く経ってしまい、相手の名前は憶えていても、生死も解らず、マドレーヌは困ってしまいます。でも息子も成長して、誤魔化すことは無理になってしまいます。マドレーヌがどうしたかは映画で確認してくださいね。

 

 

戦争に翻弄された一人の女性の人生をたどりながら、戦争によって変わってしまう人々を描いていました。沢山の人が戦争で運命を狂わせられるのだから、やっぱり戦争はやってはいけないんです。それが解っていながら、今もまだ戦争をしている地域があるということが信じられません。すぐにても思い直して欲しいです。誰も幸せにならないのですから、やる意味が無いのになんでやるんでしょうね。そんなことを考えさせてくれる映画でした。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。良い映画でした。既に配給が決まっているので日本公開すると思います。まだ時期は判りませんけどね。主演のアナイス・ドゥムースティエさんの表情豊かなマドレームも良かったですが、ヴァンサン・ラコストさんのフランソワも素敵でした。公開されたら、ぜひ観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「愛する時」