「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」若松監督が何人もの若手映画人を育てたのが解ります。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「青春ジャック
止められるか、俺たちを2」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

熱くなることがカッコ悪いと思われるようになった1980年代。ビデオの普及によって人々の映画館離れが進む中、若松孝二はそんな時代に逆行するように名古屋にミニシアター「シネマスコーレ」を立ち上げる。支配人に抜てきされたのは、ビデオカメラのセールスマンをしていた木全純治で、持ち前の明るさで経済的危機を乗り越えていく。

というお話です。

 

 

1980年代。時代も人も変わった。シラケ世代と言われ、熱くなることがカッコ悪いと思われていた時代。ビデオが普及し始め、映画館から人々の足が遠のき始めた時代。それに逆行するように、若松孝二は名古屋にミニシアターを作る。

 

その名はシネマスコーレ。ラテン語で「映画の学校」。支配人に抜擢されたのは、結婚を機に東京の文芸坐を辞め、「これからはビデオの時代」と地元名古屋でビデオカメラのセールスマンをやっていた木全純治だった。木全は若松に振り回されながらも、持ち前の明るさで経済的危機を乗り越えていく。

 

 

そこに吸い寄せられる若者たち。まだ女性監督のほとんどいなかった時代。金本法子は「自分には撮りたいものなんか何もない」と言いながら、映画から離れられない。田舎の映画青年だった井上淳一もまた映画監督になりたい一心で若松プロの門を叩く。

 

己れの才能のなさを嫌でも自覚させられる日々。それでも、映画を諦め切れない。救いは、木全が度々口にする「これから、これから」という言葉。 今がダメでも次がある。涙だけじゃない。そこには笑いがある。絶望だけじゃない。希望がある。この映画は僕の、私の物語であると同時に、あなたの物語でもある。これはあなたの青春の物語だ。後は、映画を観てくださいね。

 

 

あの若松プロダクションの映画の第二弾が公開され、すぐにでも観に行きたかったんだけど都合がつかず、やっと観てきました。今回は若松監督が以前よりも年を取っていて、足立さんが指名手配されている時みたいでした。

 

内容としては名古屋にシネマスコーレという映画館を作って、映画を監督しながら、この映画館も経営するということで、支配人に木全を抜擢して始めるんです。私、この映画を観て、初めてシネマスコーレが若松監督が作った映画館だったことをしりました。シネマスコーレという名前は聞いたことがありましたが、どこにあって、どんな映画をやっている映画館なのかは知らなかったんです。驚きました。

 

シネマスコーレは名画座として古い映画ばかりを流していたのですが、人が入らないので、ピンク映画を上映するようになります。若松監督は、もともとピンク映画の監督さんなので、そんなに抵抗はなかったみたいです。ポルノ映画って、昔は小さな映画館で上映していましたよね。3本立てくらいで、エッチなポスターが貼ってあって、子供の私はそのポスターの近くを通るのも怖くて遠回りして歩いていた記憶があります。

 

 

ポルノを上映して何とか盛り返してきたシネマスコーレ。そこへ大学受験を控えた井上という青年が訪ねてきます。そして若松監督に弟子にしてくださいと頼み込むんです。この時の会話が面白いんですよ。”弟子にしてやるけど給料は払わない。だから大学に受かって東京に来たら親の金で生活が出来るだろうから、そしたら自分の弟子として働いても良い。”っていうんです。間違ってない現実なんだろうけど、どこかおかしいよね。

 

この映画は、内容が3つくらいに分かれている感じでした。最初はシネマスコーレの立ち上げがメインで、次に井上という青年が映画の世界に入っていく経過がメインになり、最後は井上やシネマスコーレのバイトの子たちが好きな映画の世界を続けていきたいという考えを新たにするというお話だったように思います。

 

若松監督を演じていた井浦さん、何となく雰囲気は似せていたようでした。私、その昔に若松監督の”キャタピラー”の試写に参加させていただきまして、その時に、「小さい映画も映画館で上映して沢山の人に観て欲しいので、僕の映画はどれも1000円で観れるようにしたいんだ」とおっしゃっていて、この映画は僕の考えに賛同してくれる映画館でのみ上映する予定なんだよと話してくださいました。

 

 

その時に大手の映画会社に隷属しないという強い意志が見えて、素晴らしい監督なんだなって思いました。話し方はとても優しくて、パンフレットにサインをしてくださる時も”楽しめた?”と声をかけてくださいました。その後も何度かお見かけしたのですが、大監督なので声をかけるなんて出来ませんし、お元気そうだなって安心していたんです。そしたら、千年の愉楽の前だったかな。事故で亡くなられて、あまりに突然の事だったので、唖然としてしまいました。

 

若松監督のような骨のある監督はいなくなりましたよね。大手映画会社に反発して、自分の映画の値段は自分で決めるというようなことが言える監督は、今はいませんからね。もっと映画って民主的なモノで、みんなが観たいと言ったらそこら辺の広場でシーツでもぶら下げて上映しちゃうというような、そんな自由なことが出来たら、沢山の映画人が生まれるような気がするんですけどね。

 

 

だって、イマドキ、iPhoneでも映画は撮影出来るのだから、すぐにでも出来そうよね。ま、そうなると個別でiPhoneの動画で観ればよいといわれてしまうかもしれないけど、映画っていうのは、沢山の人と同じ場所で、大きなスクリーンを目の前にして観るのが良いんです。周りの反応を感じながら、一体になって楽しむというのが映画館の醍醐味じゃないのかな。動画は動画で楽しいけど、映画とは違うのよ。

 

この映画を観ていて、とても懐かしい気持ちがしました。若松監督は古い映画人の監督だから、意味不明なことを平気で正しいんだと言い切って突き進むというような、そんな人でした。その時代はそれで素晴らしい映画が撮れたんですよね。パワハラやセクハラなんていくらでもあったけど、そこに愛情が見えたので、挫折を繰り返しながらでも付いていけたのだと思います。

 

うーん、良い映画だったなぁ。ドラマ”ふてほど”ではないけど、不適切なことばかりがまかり通っている世界なのに、若松監督のあのキャラクターだから許されたというような感じが良く描かれていたと思います。シネマスコーレは今も続いていますし、どこかから監督が見守っていてくれるのかもしれません。

 

 

私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。日本の映画人って、こんなに映画が好きで映画を作っていたんだなという映画愛がまんべんなく散りばめられていて、映画が好きな方が観ると、愛おしい気持ちで一杯になると思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」