「コットンテール」妻を亡くした男が遺言通りにイギリスまで散骨しに行くというロードムービーです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「コットンテール」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

兼三郎は妻・明子の葬式でしばらく疎遠となっていた一人息子の慧(トシ)とその家族に会う。葬式の後、寺の住職に呼ばれ兼三郎と彗で会いに行くと、明子からの遺言書が渡される。住職は生前に託されていたらしい。そこには、明子の遺骨をイギリスのウィンダミア湖に散骨して欲しいと書かれていた。兼三郎は明子の遺言通り、遺骨をイギリスに散骨しに行こうとするのだが。
というお話です。

 

 

60代の作家、大島兼三郎の最愛の妻、明子が、闘病生活の末に息を引き取った。埋めようのない喪失感に打ちひしがれた兼三郎は、生きる気力も無くなり、目覚めてもぼんやりしていたが、息子の彗がやってきて”葬式だから”と兼三郎を立ち上がらせる。

明子の葬式を済ませ、火葬場に行く前に御住職に呼ばれ行ってみると、明子からの遺言書が渡される。生前元気な頃に御住職に渡していたようだ。読んでみるとそこには”自分の遺骨をイギリスのウィンダミア湖に散骨して欲しい。”と書かれていた。



 

明子は子供の頃に父親の仕事の関係でイギリスに行ったことがあり、ウィンダミア湖の周りででウサギを追って遊んだらしい。兼三郎や家族と行きたかったが、とうとう行くことが出来なかったので遺骨をまいて欲しいというのだった。

兼三郎は遺言を叶えるために、長らく疎遠だった息子の慧とその妻さつき、4歳の孫エミとともにイギリスへ旅立つ。しかし互いにわだかまりを抱えた兼三郎と慧は事あるごとに衝突してしまう。単身ロンドンから湖水地方に向かった兼三郎は、その途中で道標を失ってしまい、現地の人々に助けてもらい、何とかヴィンダミア湖へ行きつく。そして…。後は、映画を観てくださいね。

 

 

リリーさん主演の日英合作映画を観てきました。妻を亡くした作家の兼三郎は、妻の遺言通り彼女の遺骨をイギリスのウィンダミア湖にまくために旅に出るというお話です。ロードムービーという感じかしら。簡単に書くと、明るくて幸せな時間を描いている映画かなと思うかもしれませんが、結構ハードな内容で驚きました。

 

ネタバレは出来ないので書けませんが、妻の明子が病気になり、その看病というか介護を長い間リリーさんが続けているという、とてもハードな内容の映画でした。最初は、なぜ妻が無くなったのか全く分からないように始まるのですが、段々と闘病生活が描かれていき、亡くなるまでに酷く苦しんだのだということが解ってきます。

 

 

兼三郎が妻・明子の介護をすべてしていて、息子にはその姿を見せていなかったのですが、やはり酷くなってくると隠しきれずに、介護の辛い現場を息子が見てしまうんです。兼三郎は息子に苦労はさせたくなかったし、息子には息子の家族が出来ているので、彼らの手を煩わせたくないと思っていたんです。でも、介護ってそんな簡単なことじゃないから、やっぱりヘルパーさんなどに頼まないと難しいと思いました。

 

 

息子の彗は、昔から父親との折り合いが悪く、兼三郎も息子との関係が難しかったと描かれていました。でも、これ、すごく解るなぁと思ったのですが、両親との関係性って難しいですよね。一番近くにいてくれる両親だからこそ色々な感情が混ざり合い、ウザいと思ってしまったりする。深く思えば思うほど、どうしても心配でウザがられるような注意をしてしまったりするもんなんです。

 

この映画では、夫婦の関係性と父息子の関係性を深く描いていて、思い当たるような部分が沢山ありました。ネタバレになるのであまり書けませんが、この微妙な距離感は万国共通でどの国でも一緒なのかな。監督やスタッフが日本人ではないけれど、家族に対して思うことは同じなんだなと思いました。

 

 

兼三郎役のリリーさん、あのぼんやりした感じで妻を失った悲しみを表現していて、本当に寂しいんだなと伝わってきました。そして妻を助けてあげられなかったことに対して、すごく自分を責めているんです。それが痛いほど伝わってきました。精一杯助けようとしたけど、病気は無理です。治せません。こればっかりは、どんなにもがいても仕方のないことです。リリーさんが演じると、本当に辛そうで苦しくなりました。

 

亡くなった妻・明子を演じていたのが木村多江さんで、やっぱり上手いなぁと思いました。病気になってから弱っていく姿がすごかったです。そして息子役の錦戸さん、いい表情をする役者さんになってきましたね。年を取って良くなってきたような気がします。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。とても良い映画なんだけど、主人公の兼三郎の行動が強引すぎて我儘頑固ジジイと思っちゃいました。でもそれが実は自分を責めていて妻に謝りたいと思っての行動なんだろうなとわかってくると、また奥深く感じられることが出来たというような映画でした。少し邦画とは違う雰囲気で良かったです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「コットンテール」