「Π パイ」数字に取りつかれた男は神に近づきすぎて羽が折れて地上に叩きつけられました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「Π パイ」

 

を観てきました。Fan’s Voiceさんの、独占最速試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

マンハッタンのチャイナタウン。並外れたIQと数学能力を持つ男マックス・コーエンは、宗教真理からウォール街の株価予測まで、世界はすべて数式で説明できると信じていた。自作のPCで数字の法則を夢中になって探し続ける彼だったが、ついに核心に触れそうになると謎の組織から狙われるようになり、彼の脳内には異常な変化が起こり始める。

というお話です。

 

 

常人離れした知能指数(IQ)を持つが日常生活には順応できない男、マックス・コーエン。子供の頃母親に太陽を見ないようにと言われていたが、ある日太陽を見てしまい、その日から酷い頭痛に悩まされるようになった。

今は自作のスーパーコンピュータを用いて日々株式市場の予測を行い、必ず法則があるはずだと研究を重ねていた。彼の考えでは「世界に存在する事象のすべてはそれぞれ一つの数式で理解できる」ということらしい。



 

数学について考えながらバーで飲んでいると、隣の客が話しかけてきた。レニーといい数学者でありユダヤ教徒らしい。彼はヘブライ語と数字の関係性を見出しモーセ五書に関する研究を進めているという。レニーと出会ったことによってさらに研究に没頭するようになったマックスは、頭痛が酷くなり幻覚まで見るようになっていく。

そんなある日コンピュータが216桁の数字の塊を吐き出した。吐き出したと思ったら、PCはダウンしてしまう。怒りに任せ、マックスは巨大な数字が書かれたを紙を公園に捨ててしまう。

216桁のその数字には、かつて円周率 (π) を研究していたマックスの師ソルも辿り着いていた。彼はその日を境に216桁の数字が持つ不可思議な魔力に取り付かれていく。後は映画を観てくださいね。

 

 

この映画、1999年7月に公開された映画のデジタルリマスターとして上映されることになりました。もう四半世紀前の作品なのに、私は初見で凄く面白いと感じました。25年も前は単館系映画などは観ていなかったので、この映画のことは全く知りませんでした。こんなに面白い作品があったんですね。

 

あのダーレン・アロノフスキー監督のデビュー作だそうです。デビュー作からこんなに飛ばしていたんですね。ビックリしました。アフタートークで森さんと立田さんがお話してくださったのですが、塚本監督の”鉄男”に似ているんです。私もあのモノクロで男が機械的なモノに呑まれていく感じが、とっても似ていると思いました。話としては、オッペンハイマーにも通じるところがあるらしく、3月にオッペンハイマーも公開されるので比べてみたいと思います。

 

 

マックスは数学者で、どんな事象も数字によって証明が出来ると思っているんです。偶然などなくてすべては確率で計算が出来ると思っているので、株価がいくらになるか予想をして自分の予想通りに動けば仮説が正しいと証明出来るというんです。

 

彼の恩師であるソルは今は引退して数学はやっていないが、かつて「Π」について研究をしていて、216桁の数字を導き出した後、すべてをやめてしまったらしいんです。この216桁の数字が謎を秘めているようで、この数字は神の領域にはいるためのヒントらしいんです。でも神の領域つてなに??という感じでしょ。ソルはマックスにやりすぎるとイカロスのようになると注意を促しますが、彼は全く聞く耳を持ちませんでした。

 

 

証券会社が狙っていたのは株価の予測に使えるからのようなのですが、それってお金儲けのためじゃないですか。そしてユダヤ教徒たちも神の国に入るといいながら、それって自分たちの欲ですよね。ここで思ったのですが、私はこの216桁の数字、煩悩の数108の2倍でしょ。マックスが住んでいるのはチャイナタウンでアジア系の女の子が懐いているんです。ということは仏教から来た数字なのかなと思いました。

 

そしてもう一つ、206の平方根は6√6なんです。これって、6の6乗に6をかけるということだから、これ、666じゃないのかなと思いました。聖書でいう悪魔の数字ですよね。そんな数字を探っていくと、私まで数字で狂ってしまいそう。数学って怖いですよね。

 

 

そんな数学に取りつかれたマックスがどうなっていくのか。私は数学は突き詰めないほうが良いと思うんですけどね。あの東野圭吾さんの「ガリレオシリーズ」でも湯川教授が狂ったように数字をどこにでも書き始めますが、数学に取りつかれるとホント天才とバカは紙一重という言葉が頭に浮かんできます。

 

フィボナッチ数列や円周率、黄金比、そして螺旋とくれば、もうSFファンタジーの世界ですね。どこまで行っても終わらない、数字の魔力に取りつかれていく。それがとても面白く描かれていました。映像も美しかったし、なんだかすごい集中して観てしまいました。

 

 

この映画の中でも色々なモノが螺旋状になって、マックスの思考を巻き込んでいきます。どこまでも続く螺旋はマックスをどこに連れていくんでしょう。最後は衝撃でした。私もマックスのように数字で全ては計算出来ると思っています。偶然などなくて、ある確率で奇跡は起きるし、すべてが解明されてしまったら神の存在など無いに等しくなっちゃいますよね。

 

でも、そんなのをずーっともぐもぐ計算しているより、感を頼りに何でもやっちゃったほうが楽しいし、当たった時の喜びも大きいでしょ。人間はすべてを知る必要なんて無いんですよ。あるがままで生きればよい、それだけなんです。きっと、そんなことを言いたかったんじゃないかな。

 

 

私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。本当に面白かったし、数学がちょこっと好きな私は嬉しくなりました。数字は美しいですもんね。あの黄金比を観た時は衝撃でしたもん。だから数字に取りつかれた男のお話は私には大好物でした。面白いですよ。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「Π パイ」