「コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話」中絶が違法では苦しむ女性が山積してしまいます。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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「コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話」

 

を観てきました。Fan’s Voiceさんの、独占最速試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

1968年、シカゴ。裕福な主婦ジョイは、2人目の子どもの妊娠時に心臓の病気が悪化してしまう。唯一の治療法は中絶だが、当時の法律で中絶は許されておらず、地元病院の責任者である男性全員から手術を拒否されてしまう。そんな中、ジョイは街で目にした張り紙から、安全な中絶手術をするアンダーグラウンドな団体「ジェーン」にたどり着く。その後ジョイは「ジェーン」の一員となり、中絶が必要な女性たちを救うべく奔走するが。

というお話です。

 

 

1968年、アメリカのシカゴ。裕福な家の主婦として生きるジョイは何不自由ない暮らしを送っていたが、2人目の子供の妊娠によって心臓の病気が悪化してしまう。

唯一の治療は、妊娠をやめることだと担当医に言われ中絶を申し出るが、中絶が法律的に許されていない時代、地元の病院の責任者である男性全員から「中絶は反対だ」と、あっさり拒否されてしまう。自分の命か胎児の命かどちらかの選択肢ではなく、強制的に胎児の命を優先させられてしまうのだ。



 

そんな中、街で偶然「妊娠?助けが必要?ジェーンに電話を」という張り紙を見つけ、違法だが安全な中絶手術を提供するアンダーグラウンドな団体「ジェーン」にたどり着く。そこで中絶手術を受けたジョイは心臓の病気を心配することが無くなった。

「ジェーン」とはそれきりにするつもりだったが、バージニアに出会い、そこで望まぬ妊娠に苦しむ女性が沢山いることを知る。しかし中絶手術は高額であり裕福でないと受けることが出来ない。様々な問題を抱える「ジェーン」の一員となることにしたジョイは苦しむ女性の為に立ち上がる。後は、映画を観てくださいね。

 

 

凄く考えさせられる映画でした。実話ベースの作品です。今から55年位前には、妊娠したらどんな理由であれ中絶出来なかったんですね。恐ろしいです。レイプされて妊娠しても中絶出来ないなんて拷問でしょ。自分のお腹の中でレイプ犯の子供が大きくなっていくなんてゾッとします。そしてこの映画で描かれている団体の運動があり、中絶が合法になったのに、またトランプ政権時代に中絶反対の声が大きくなり、州によっては中絶が出来ない法案が可決されたそうです。

 

アメリカはキリスト教が多いので、宗教的に許されないと思うのでしょう。妊娠した時点で、既に一人の命がお腹に宿っているという考え方なので、殺人となってしまうのだと思います。確かに生物としては発生しているかもしれないけど、まだ細胞分裂途中なのだから命じゃないよね。中絶させないというのは、男性の傲慢な考え方にしか思えません。

 

 

この映画のジョイは、子供がお腹にいたら自分が死ぬと宣告されているんです。中絶は出来ない、だけどそのまま妊娠を続ければ母親の心臓が止まってしまう。これじゃ、1つの命じゃなく2つの命を殺すことになりますよね。医者は人の命を助けることが仕事じゃないの?全く理屈に合わない考え方なんです。

 

この「ジェーン」という団体は、困っている女性に中絶する医者を斡旋するということを行っているんです。あまり詳しい成り立ちについては語られませんでしたが、あまりにも苦しんでいる女性が多いので立ち上がったようでした。この時代には沢山の問題があり、黒人差別やジェンダー差別と色々な問題が山積し、キング牧師もこの頃だったようです。

 

 

中絶を斡旋することは出来るけど、高額な料金は自分で払わなければならず、中絶したくても断念する人が多くいたようです。特に黒人はこの頃貧困だったようで、相談は出来ても手術は出来ない方々が沢山いたようです。そして、少人数だけ無料で出来るような枠を作ってみたり、医者ではない人間でも手術が出来るように勉強をしたりして生きます。

 

映画の中で、ジョイたちが勉強をして堕胎手術を出来るようにしていくという、医者ではない人間による手術の話も出てきます。でも、これはダメですよ。簡単な手術だから出来ると言っていたけど、医者って技術だけじゃないですからね。沢山の知識の上に技術が成り立っているのだから、簡単に一般人がやってはいけません。堕胎手術というと”かき出す”という言葉がよく使われますが、本当にかき出すんです。だから周りが傷ついて感染症を起こす可能性も大きいし、もう二度と妊娠出来なくなる危険も大きい。

 

 

私、子供の頃に祖父母の家に預けられていたと以前に書いたと思いますが、祖父は医者でした。私の部屋のそばに何週目何週目と書いた胎児の標本(ホンモノです。)がまるでマトリューシュカのように並んでいるような環境で、医学書も山ほど置いてありまして、絵だけ見て楽しんでいましたが、医者以外が本を読んだだけで手術をするなんて、あってはいけない事です。器用なら出来たかもしれないけど、手術の技術だけの問題じゃないんです。いくらお金が無いからってダメですよ。

 

映画の中で、医者でない者が沢山の手術をしたが失敗した例は無かったと言っていたけど、手術後に傷が元で子供が出来なくなったり、感染症で亡くなったりはあったかもしれません。それは手術での死亡ではないですからね。だからそのままを信用してはいけないです。何があっても、日本では医者に手術をして貰ってくださいね。

 

 

この「ジェーン」の活動があったからこそ、それがMeToo運動にもつながって行ったのかもしれません。男性に女性が立ち向かうという考え方を抑えつけられてきた年代ですから、この中絶運動があり、女性は一人の人間だから自分の命を優先しても良いという考えが浸透していったのかもしれませんね。

 

良い映画だったんだけど、ちょっと男性が悪く描かれていたかな。無頓着で気がつかず、女性の気持ちを知ろうとはしない男性が多いように見えました。ジョイの夫は、最初優しそうに見えるんだけど、やっぱり妻や娘の気持ちをあまり解っておらず、ジョイが不良(ジェーンの団体に協力し始めた時の事。)になってから、段々と妻を知ろうとして良い夫になっていきます。男性に最初から解れとは言わないけど、女性の気持ちを知ろうという努力はして欲しいかな。

 

 

日本は強い宗教観が無いので、今のように中絶も合法になっているし、女性の身体を守る権利もあります。でも男性の暴力や性的虐待に関しての法律が甘いので、もう少し変えて行って欲しいと思っています。やっぱり性犯罪を犯した人間にはチップを入れるべきだし、繰り返すようならカナダのように去勢も必要だと思います。性被害を繰り返し妊娠させてしまうような苦しみを与えた人間には、それ相応の罰が必要です。

 

この映画、色々と考えさせられました。そしてアメリカ大統領選挙でトランプが勝つようなことになったら、中絶禁止法がまた広がってしまうかもしれません。映画で描かれている時代は、ニクソンが大統領になり中絶禁止に傾いたようなので、同じことが、今行われそうになっているという警告にもとれました。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。重そうなテーマですが、映画は明るくて楽しめる構成になっていて、思っていたよりも軽く観ることが出来ました。映画鑑賞中は楽しく観れて、終わってから考えさせられると思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話」