「DOGMAN ドッグマン」犬に助けられ生きてきたダグラスが語った壮絶な人生とはなんだったのか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「DOGMAN ドッグマン」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

ある夜、1台のトラックが警察に止められる。運転席には負傷した女装男性がおり、荷台には十数匹の犬が乗せられていた。「ドッグマン」と呼ばれるその男は、自らの半生について語り始める。

というお話です。

 

 

ある夜、1台のトラックが警察に止められる。運転席には負傷した女装男性がおり、荷台には十数匹の犬が乗せられていた。「ドッグマン」と呼ばれるその男は、自らの半生について語り始める。

 

犬小屋に入れられ、暴力を浴びて育った少年時代。父親は闘犬を商売とし、いつも母親とダグラスにDVを行っていた。ある日、父親に反抗的な態度を取ったダグラスを犬小屋にいれ、そこで生活をさせるようになる。ダグラスの兄は父親に従順でダグラスをイジメており、母親はダグラスに食料を渡して出て行ってしまう。

 

 

ある事件によって犬小屋から出され施設に入ったダグラスは、足が動かず車椅子生活になっていた。その施設で読書好きということで知り合ったサルマにシェークスピアを教えてもらい、演劇をやるようになる。サルマに恋心を抱くが、サルマは施設を出て演劇界に入ってしまう。

 

孤独なダグラスは成長し、市の犬の保護施設に雇われるが行政の予算削減により施設が閉鎖されることとなる。ダグラスにとって犬は家族同然であり、施設が無くなるからと言って見捨てる訳に行かない。施設を犬を連れて出たダグラスは、ある場所で犬と一緒に暮らし始める。

 

ダグラスは世間になじもうとするも人に裏切られて深く傷つき、生きていくために犬たちとともに犯罪に手を染めるが、「死刑執行人」と呼ばれるギャングに目をつけられてしまう。後は、映画を観てくださいね。

 

 

リュック・ベッソンの新作ですが、最近のベッソンの作品とは違い、昔のニキータとかレオンとかの時代の空気が流れているような内容の映画でした。孤独でハードな生き方をしている主人公のダグラス、傍らには犬が寄り添い彼を守るように行動をする。そして彼の言葉を完璧に理解する犬は彼の家族なんです。ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品作です。

 

雰囲気でいうと主人公のダグラスがマチルダで、彼を守る犬がレオンのような感じかしら。悲しい過去を持つダグラスは、身体が自由にならず、仕事も見つからず、人間の汚い部分を沢山見てきた人物です。それでも犬だけは彼の近くで彼を愛してくれていたんです。子供の頃の彼のストーリーは、本当に可哀想でした。酷い父親と酷い兄が彼を何処までも苦しめていて、よく生きて犬小屋から出られたと思いました。

 

 

そんなダグラスが生きるために犬に協力をして貰い、生きる糧を得ていきます。別にお金が欲しい訳じゃないんだけど、生きるにはお金が必要ですからね。でも、ダグラスはちゃんと働いていたんですよ。ドラァグ・グイーンとして素晴らしいパフォーマンスを見せるんです。

 

ピアフの唄を歌って、あまりの上手さに観客が驚く場面があります。そうやって、自分が生きてきた中で手に入れて来た武器になるモノを使ってお金を稼ぐんです。きっと生活はそのお金だけでも出来たんだろうけど、趣味的な感じかなぁ。犬と一緒に働く姿は面白かったですよ。

 

ダグラスの人生は人に愛されるということがほとんど無いんです。あまりにも悲しい人生なんだけど、犬だけが唯一彼に無償の愛を捧げてくれるんです。彼を信頼して付いてきてくれるんです。そして彼もそれに答えていく。彼にとって、犬は家族であり、神だったんじゃないかな。

 

 

彼が犬小屋に入れられて生活している時に、兄が小屋に聖書の言葉のような垂れ幕を付けていくのですが、それを中から見たダグラスは、GODがDOGに見えるんです。神を信じているということは、犬を信じる事だと思ったんじゃないかな。きっと犬が神に導いてくれると思ったんじゃないかと思うんです。それを大人になっても信じていて、ラストに突き進んで行ったんじゃないかな。彼の行動を見て、そう思いました。

 

このお話は、ベッソン監督がフランスで子供を犬小屋に入れていたというニュースを聞いて思いついたお話だそうです。主人公が監督のニキータを彷彿とさせるようなキャラクターで唸りました。男性にはなっていたけど、苦しい生き方をしてきて、犬に助けられて人生を切り開いて行こうともがく姿が、あの時のニキータと同じなんです。

 

今回は下半身が動かず弱そうなキャラクターに見せながらも、犬を使って敵を翻弄し、自分も銃を持って応戦するという、凄い戦いを見せてくれました。もちろん頭脳も長けていて、そこら辺のギャングには負けないでしょうね。

 

 

車に乗っているところを警察に止められて、警察署で精神科医・エヴリンを相手に自分の過去を話し始め、彼の壮絶な過去が解っていくんです。一方的に彼が話すことなので、それが真実かどうかは解りません。でも、話を聞いているエヴリンは彼を目の前にして、それを真実として受け止めているように見えました。彼の迫力がそれを真実だと訴えていたんでしょうね。

 

精神科医のエヴリンですが、シングルマザーで元夫は接近禁止命令が出ているらしいことが電話の会話で解ってきます。彼女も辛い人生を送っている事が描かれ、ダグラスは”君が自分と同じ人種だから話すんだ。”というような内容を言ったと思います。ダグラスは、辛い人生でも誠実に生きている。自分もそうだったんだと言いたかったのかなと思いました。この主人公、めちゃくちゃな戦いをしたりしますが、生き方はとても誠実なんです。欲望を優先せず、生きることだけを願っている、そんなタイプなんです。

 

 

犬の演技が凄かったなぁ。アフタートークでドッグトレーナーが15人くらいついていたみたいだと仰っていました。15人でも足りないんじゃないかと思うほど、犬は完璧に演技が出来ていたので、賢いんだろうなぁと思いました。犬たちにあんな目で見つめられたら、君たちの演技は完璧だから人間が付いて行くよって言ってしまうだろうな。あんなに何十匹もの犬を同時に動かすなんて、どんな教え方をしたんだろう。素晴らしかったです。それ以上にかわいかったです。

 

私、猫派なんだけど、昔は犬も飼っていたので犬も好きなのよね。柴犬を飼っていて、くるっくるの尻尾が大好きだったんだけど、この映画には日本犬はいませんでした。ドーベルマンが可愛くてカッコ良かったな。シェパードも賢そうだったけど、ドーベルマンのシュッとしていて誇り高そうな雰囲気がダグラスに似ていました。

 

 

このダグラス怪我で脊椎が損傷し、少しは立てるんだけど動くと髄液が出てしまうと言っていたと思うので、無理に立って動くと命を縮めることになっていたと思うんです。いつもは車椅子なのに、戦いになったら車椅子なんて乗っていられないから、警察署に来るまでに身体がボロボロになっていたと思うんですよねぇ。ちゃんと身体のケアをしてくれたのかしら。ダグラスは車椅子のダークヒーローでした。

 

私、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズさん好きなんです。”アンチヴァイラル”という映画の主演をした時、ちょっと怖いけど目が離せない演技で、その後に”ニトラム”でも表情が素晴らしかったので、狂気を演じさせたらこの人に並ぶ人はいないだろうなと思いました。今回も素晴らしかったです。

 

音楽が良かったです。エディット・ピアフの唄など、その時代の美しい音楽が流れていて、それプラス、80年代のユーリズミックスのスウィートドリームがイイ場面で流れてイメージ最高でした。あの時代、カッコ良かったもんなぁ~。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。私、昔のベッソン監督の映画がとっても好きで、その雰囲気がやっと戻って来ていたので、嬉しくなりました。どんなに強くてカッコ良くても、過去のトラウマや悲しみに苦しんでいる主人公が、何とも言えずに愛おしく感じる内容が好きなんです。好き嫌いはあるかもしれない映画ですが、私は好きです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「DOGMAN ドッグマン」