「一月の声に歓びを刻め」3作のオムニバス映画です。心に深い傷を負った人々がもがくお話です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「一月の声に歓びを刻め」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

洞爺湖の近くに住むマキの家に家族が集まり、彼女が作ったおせち料理を囲む。マキはかつて次女れいこを亡くしており、一家団らんの場に喪失の雰囲気が漂う。
八丈島に暮らす牛飼いの誠のもとに娘の海が5年ぶりに帰省する。海は妊娠しており、結婚さえ知らずにいた誠は複雑な思いを抱く。
元恋人の葬儀に参列するため故郷の堂島を訪れたれいこは、レンタル彼氏をしている男トト・モレッティと一晩過ごすことを決意する。

というお話です。

 

 

北海道・洞爺湖。お正月を迎え、一人暮らしのマキの家に家族が集まった。マキが丁寧に作った御節料理を囲んだ一家団欒のひとときに、そこはかとなく喪失の気が漂う。マキはかつて次女のれいこを亡くしていたのだった。それ以降女性として生きてきた“父”のマキを、長女の美砂子は完全には受け入れていない。家族が帰り静まり返ると、マキの忘れ難い過去の記憶が蘇りはじめる。


東京・⼋丈島。⼤昔に罪⼈が流されたという島に暮らす⽜飼いの誠。妊娠した娘の海が、5年ぶりに帰省する。誠はかつて交通事故で妻を亡くし、男手一つで娘を育ててきた。何も話そうとしない海に⼼中穏やかでないが聞くことも出来ずモヤモヤしており、海のいない部屋に⼊った誠は、そこで⼿紙に同封された離婚届を発⾒してしまう。結婚も聞いていないのに離婚届とはどういうことなのか。



 

⼤阪・堂島。れいこはほんの数⽇前まで電話で話していた元恋⼈の葬儀に駆け付けるため、故郷を訪れた。茫然⾃失のまま歩いていると、橋から⾶び降り⾃殺しようとする⼥性と出くわす。そのとき、「トト・モレッティ」というレンタル彼⽒をしている男がれいこに声をかけた。過去のトラウマから誰にも触れることができなかったれいこは、そんな⾃分を変えるため、その男と⼀晩過ごすことを決意する。やがてそれぞれの声なき声が呼応し交錯していく。後は、映画を観てくださいね。

 

3つのお話のオムニバス映画と考えて良いのかなと思います。それぞれの話が繋がっている訳ではなく、関係性も無いので気にせずにショートフィルムとして観れば良いんじゃないかなと思います。

 

 

3作の内、2作は性被害にあった女性の苦しみを描いていて、あまり気持ちの良いものではありません。でも、”そうそう、そうなるのよ”って思うような場面もあり、考えさせられました。性被害は殺されたも同じですから、一生心の傷が消えることはありません。どんなに時間が経っても、ふと思い出されて恐怖と嫌悪感が襲ってくることがあります。そんな気持ちがよく描かれていたと思います。

 

最初のお話は北海道の雪深い洞爺湖湖畔の家。マキという女性が一人住んでいます。彼女は元男性で2人の娘がいたのですが、次女が亡くなり、それから女性に変わったのではと思わせる描写がありました。あまり詳しくは書けませんが、マキは娘の死がショックで、そこから立ち直れないでいるんです。

 

 

長女はいつまでも次女の事ばかりを思っている父親に苛立ちを覚えています。娘は私もいるのにと思っていると思いました。私はひとりっ子なので姉妹間の嫉妬のようなものが解りませんが、親がいつまでも死んだ妹の事ばかりを思っていたら、生きている姉は怒りますよね。私はあなたの何なんですかって言いたくなると思いました。でも、いくら言っても無駄だと解ったようで、長女はもう来ないとマキに言い放ちます。性被害に苦しめられて家族の形が壊れてしまうという悲しいお話でした。

 

次に八丈島のお話でしたが、この話は娘を思う父親の一人合点のお話でした。娘が帰ってきて、ふと見ると妊娠をしているとなったら驚くでしょ。でも、お父さんは聞けないんです。そんなちょっとコメディチックなお話でした。これはよくあるお話で、そんなに感じる部分は無かったかな。ふーんって感じでした。なんか、ハードなお話の合間の休憩のような、そんな感じですかね。

 

 

最後に堂島のお話です。これは、ストレートに主人公が子供の頃に性暴力を受けて、そのトラウマで男性と上手く接することが出来ないというお話でした。一度怖くなってしまうと、克服するのは大変ですよね。まして子供の頃だと、それこそ消えないと思います。だから旧ジャニーズの問題は根が深いんです。どんなに償ったって償えるものじゃありません。一生、その人の面倒をみなくてはいけないくらいの罪だと思います。自分の意に添わないことを無理やりやられる訳ですから、心が壊れてしまいます。

 

そんな苦しい胸の内を、よく描いていました。前田さん、やっぱり上手いなぁ。観ていて、本当にこうなるよなぁというのがよく解りましたもん。子供の頃に性被害を受けると、どうしてもこんな風に”ぎゃー!”ってなるんですよ。どうしようもなく自分が汚くなったような気持ちになって、自分を壊したくなるんです。手を洗っても洗っても綺麗にならないと思ってしまう精神疾患と同じように、自分の身体に我慢が出来なくなる。きっと、少しでも経験のある方は解ると思います。これはどうしようもないですよね。

 

 

性暴力によって被害を受けた者、受けた人を助けられなかった者、傷つけてしまった者という3作だそうですが、八丈島の傷つけてしまった者というのが私には解りませんでした。娘が妊娠したから傷付けられたっていうことなのかな。でも、この話はハッピーエンドになるんだと思うんだけど。レイプ被害ではないので、父親が慌ててそう思ったということなのかな?うーん、よく解りませんでした。

 

 

1作目の助けられなかった者、3作目の被害を受けた者に関しては、よく解りました。良かったと思います。いつも被害にあうのは弱い人間で、卑怯な人間は弱い人間を狙うんですよね。本当に許せないと思います。私は、一度でも性加害者となったら、身体にチップを埋め込んで、誰でもそのチップを確認出来るようにして、再犯したら今度は、カナダのように去勢をするべきだと思うんです。別に切らなくても薬でその機能を失わせるということが出来るようなので、それが必要でしょ。こんなにも酷い事件が起こっているのに、何もしない政府は何なんですか?憲法改正より先に、性被害やDV被害を受けた人を助ける法案を作るべきでしょ。加害者にも重い刑を科すべきなんです。


 

そんな事を思った作品でした。私はこの映画、お薦めしたいと思います。凄く面白い作品とは言えないけど、とても考えさせられると思います。特に前田さんとカルーセル真紀さんが良かったと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「一月の声に歓びを刻め」