「罪と悪」小さな町での友人の死は少年たちに影を落とし、大人になってからも彼らを苦しませる。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「罪と悪」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

14歳の正樹が何者かに殺された。正樹の同級生である春、晃、双子の朔と直哉は、正樹が度々家に遊びに行っていた老人「おんさん」が犯人に違いないと考え、家に押しかけて揉み合いの末に殺してしまう。それから22年後、刑事になった晃が父の死をきっかけに町に帰ってくる。かつての事件と同じように、橋の下で少年の遺体が発見されたことで、3人の運命が動き始める。

というお話です。

 

 

ある町に住む中学生、春、晃、朔、正樹は、同じサッカー部で仲も良かった。春は家が荒れていて、晃は父親が警察官、朔は農家で双子の直哉も一緒にサッカーをしていた。正樹は真面目な性格だった。

 

ある日、正樹の死体が町の中心にある橋の下で発見された。何者かに殺されたらしい。警察は捜査を始めるが、仲の良かった春・晃・朔は、正樹を殺した犯人は正樹が度々家に遊びに行っていた老人「おんさん」だと確信し、老人の家に押しかける。

 

その家から正樹の運動靴が見つかり、3人を襲って来たおんさんに抵抗し、もみ合いになり、一人がスコップを持っておんさんを殴ってしまう。おんさんは亡くなり、一人の少年が罪をかぶって家に火を放ち、事件は幕を閉じたはずだった。



 

時が過ぎ、刑事になった晃は父の死をきっかけに町に戻り、朔と再会する。ほどなく、ある事件に関与していた少年の死体が橋の下で見つかる。20年前と同じように。晃は少年の殺害事件の捜査を始め、もしかしたら正樹を殺したのはおんさんではないのかもしれないと思い始める。

 

晃は少年の関係者だった春と再会し、それぞれが心の奥にしまっていた過去の事件の扉が再び開き始める。今はこの町で大きな建設会社を営む春、農家を継いで実家で働いている朔、そして東京から戻ってきた刑事の晃、昔の記憶を掘り起こし、抜けているピースを埋めていくと、昔とは違う側面が見えてくる。かつての事件の真相は、そして罪と向き合うということとは。後は、映画を観てくださいね。

 

 

面白い映画だったのですが、観ていくうちに、あれ?観たことあるかな?と思い始め、クリント・イーストウッド監督の「ミスティック・リバー」を思い出しました。ストーリーがとても良く似ています。3人の少年がいて、一人が少年の時に変なおじさんにレイプまがいの事をされて、大人になってから、一人は刑事、一人は経営者、一人は労働者となり、事件が起きるというものでした。ミスティック・リバーの日本版という感じかな。

 

キャストは素晴らしい方が揃っているのですが、ストーリーに不可解な部分が残っていて、内容はイマイチでした。犯人は、一応解るけど、スッキリはしません。それに、現代で起きた少年殺人が何の目的だったのか解明されないんです。22年前と同じように殺されたけど、動機が無いんですよ。殺す意味がない。

 

 

この町のヤクザと春の会社が問題を起こして、少年殺人とは別にヤクザとの喧嘩になって殺人が起きますが、こちらは隠ぺいされてしまいます。でも、色々と問題が起きているんだから、何か少年殺人とも繋がるのかなと思ったのですが、全く関わりがありませんでした。ヤクザは何となく出てきただけだったみたいです。

 

それと警察の方も、晃の上司が春の会社と裏で繋がっているようでした。警察内部にも問題があり、東京から来た晃は、警察が裏取引などをやるのは時代遅れだと訴えるのですが、田舎町では常識なんだと言われ、悔しい思いをします。でも、これから変えてやると晃は訴えます。

 

 

小さな町での古いルールは壊して行かなければいけないというのが、この映画の中でも描かれていて、正樹や少年の殺人事件は、その古いモノをぶち壊せという、訴えたい事の中の一つだったのかなと思いました。古い風習というか、頭の堅い老人たちを排除し、新しい未来をこの町でも作って行かなければいけないんです。晃は警察で新しい未来を作り、春はヤクザがルールだったこの町を変えて、子供が安心して暮らせる町を作っていくのでしょう。

 

現代だから解るけど、昔は男の子がレイプされても、”何言ってんだ”という感じで取り合ってくれなかったんだろうと思いました。今なら、現実に少年を餌食にしていたジャニー喜多川のことがあるので、子供を守らなくちゃという気持ちになるけど、知らなかったら男性のレイプ事情なんて隠ぺいされて終わりだったと思います。酷い話です。子供は守らなくちゃ。

 

 

ミスティック・リバーのように、やるせない気持ちになる映画でした。新しい町を作るために、これからも春は色々な悪い事もして行くんだろうけど、それは町のためだから”悪”ではないんです。晃は正しい事をして、警察を変えていくと思うけど、そう簡単にいくかな~という感じでした。きっと春と晃は、別々の道を行き、二人が交わることも無いのでしょう。寂しい結末でしたが仕方ないんです。この辺りも、ミスティック・リバーと同じでしたね。

 

高良さんがカッコ良くて、大東さん、石田さんも良かったなぁ。高良さんが主役なんだろうけど、どちらかというと大東さんの晃の方がストーリーを引っ張っていくので、主役のようでした。大東さんも舞台でバリバリに慣らしてきている人だから、やっぱり上手かったですね。ゲジヒトばりの正しい人でした。(大東さんは舞台プルートゥでゲジヒト役でした。)

 

 

私はこの映画、お薦めしたいと思います。キャストは最高なのですが、ストーリーに穴があり、ちょっと不可解な部分がありましたが、面白い作品でした。うーん、ミスティック・リバーにマジで似ていて、これはリスペクトなのか何とも言えません。でも、面白いので、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「罪と悪」