「カラーパープル」過酷な人生を背負わされたセリーが荷物を捨てて一人で歩き出す姿は神々しい。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「カラーパープル」

 

を観てきました。ミュージカル版です。Fan’s Voiceさんの、独占試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

横暴な父に虐待され、10代で望まぬ結婚を強いられた女性セリー。唯一の心の支えである妹とも離れ離れになり、不遇な日々を過ごしていた。そんな中、型破りな生き方の女性たちとの出会いや交流を通して自分の価値に目覚めたセリーは、不屈の精神で自らの人生を切り拓いていく。

というお話です。

 

 

優しい母を亡くし横暴な父の言いなりになるしか無かったセリーは、父親にレイプされ2度の妊娠出産をします。子供は産んで直ぐに父親により連れていかれ、行方は解りません。

ある日、父親は地元の農夫で3人の子供を持つアルバート・ミスター・ジョンソンとの結婚を強要します。父親は今度はセリーの妹であるネッティにもレイプをしようとし、ネッティはセリーの家に逃げ込みます。しかしミスターはネッティを追い出してしまい、姉妹は離れ離れになってしまいます。



 

数年後、ネッティからの手紙を待っていたセリーには一行に手紙が届く気配がありません。ミスターの息子ハーポは、自由奔放なソフィアと結婚することにし、水辺に家を建てますが、喧嘩をしてハーポがソフィアに手を上げそうになり、暴力を振るう夫なんてとソフィアはハーポの元を去ってしまいます。

水辺の家が空いてしまい、ハーポはジャズバーを開くことに。この町出身の有名なジャズ・シンガー、シュグ・エイブリーの出演を頼み、オープニングでシュグの歌声が響き渡り大盛況となる。セリーはシュグと仲良くなり、一緒にいて欲しいと懇願するが、有名歌手のシュグは都会へと仕事に行ってしまう。



 

セリーは自立した強い女性ソフィアや歌手になる夢を叶えたシュグと出会い、男の言いなりになっていた自分を変えて行こうと考え始める。そして…。後は、映画を観てくださいね。
 

この映画、1985年の映画のリメイクで、原作は1982年にピューリッツァー賞を貰ったアリス・ウォーカーの同名小説です。私は原作は読んでいませんが、以前のスティーブン・スピルバーグが監督をした映画は観た覚えがあります。映画館ではなくTVで観たのだと思いますが、あまりにも暗くて恐ろしい映画だったような気がしていました。まだ子供だったのかと思うけど、父親にレイプされて妊娠だなんて、信じられなかったような覚えがあります。

 

 

今作は、同じ内容だけどミュージカル仕立てになっているので、それほどドンヨリしている感じは無く、最後の方は、以前観たより幸せな内容になっていたような気がしました。そして、この題名にカラーパープルの意味ですが、以前はその意味をよく理解していませんでした。今回、この映画を観て、解説をして頂いて、神に祝福されない愛にも気がついて欲しい、紫色の花にも目を向けて欲しいという意味だったんだなと理解しました。

 

昔観た時も、女同士でキスしたり何でなんだろうと不思議に思っていたんです。今から40年くらい前ですからね。今のようにジェンダーレスが一般的では無かったし、そういう事が日常の中にあることを知らなかったんです。だから、今になって、やっとこの映画の本当の意味を知ったという感じです。だから、とても感動しました。

 

 

セリーという女性の半生が描かれるのですが、彼女が生きていた時代、黒人のコミュニティの中でも酷い差別があり、女性はモノとして扱われていたんです。セリーが父親の子供を産んで、その子供を連れて行かれちゃう時、”この子は俺のモノだ。”と父親が言うんです。子供はひとりの人間だからモノじゃないよって言いたいけど、有無を言わせず、連れていって売ってきたんだと思うんです。酷いでしょ。

 

もちろん、白人による差別はあるんだけど、住んでいる場所が違っていて、黒人は黒人ばかりが住む村などだから、その中で差別があるんです。とにかく女性に対してのDVの酷さに驚きました。食事が少し遅いだけで、殴る蹴るですよ。食事も抜かれたりして、その上、朝から晩まで働かされて、奴隷の様でした。酷い夫なのに、セリーは口答え出来ないんです。それは、子供の頃から父親に酷い扱いを受けてきて、口答えすると虐待されると刷り込まれてきたからだと思うんです。


 

観ていて、本当に腹が立ったのですが、父親が子供を性的虐待するとか、夫が妻に毎日のようにDVするというのは許されませんよね。こいつら絶対に許さないと思いましたもん。とにかく妻や子供が自由に外に出かけることも制限されているんです。

 

そんな伝統というか、この世界では当たり前のように思われている事をぶち壊したのが、ソフィアです。ハーポが最初に彼女を連れてきた時は衝撃だったのですが、男に対して口答えをするし、文句も言う。夫に対してお茶を入れろと言うし、自由に生きているんです。女も男と同等だと考えていて、喧嘩でも負けません。男をぶん殴るし、お酒も飲む。そんな彼女だけど、この時代、白人に対しても同じような態度をしてはいけませんでした。自分でもすぐに解って失敗したと思ったように見えましたが、大変なことになります。


 

そしてもう一人、シュグ・エイブリーという、ジャズ・シンガーになった女性です。セリーは彼女に惹かれたのですが、魅力的な女性でした。私でも、彼女に恋するかもしれない。それくらい輝いていて、モノを見る目が正しいんです。彼女に何か言われると、誰も何も言えないんじゃないかな。頭が良い女性でした。

 

美しく輝いている女性に出会い、今まで家の中で縮こまっていたセリーは、奮起して立ち上がっていきます。自分の脚で立ち上がるんです。長く抑圧された生活を続けていたけど、やっと解放される日が来るんです。解放されるというより、自分で解放していくのかな。自分で輝き始めたセリーは、美しかったです。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。以前観たスピルバーグの映画よりも、明るい雰囲気になっていて、お話も少し解りやすくなっていたような気がします。ミュージカルになったからかな。音楽も良いし、ジャズやゴスペルが美しかったなぁ。映像も美しくて気持ち良かったです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「カラーパープル」