「パスト ライブス 再会」12年ごとに再会する二人はそれぞれに成長しそれぞれに愛を持ち続ける。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「パスト ライブス 再会」

 

を観てきました。Fan’s Voiceさんの、独占最速試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

韓国・ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソンは、互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。12年後、24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいた2人は、オンラインで再会を果たすが、再びすれ違ってしまう。そして12年後の36歳、ノラは作家のアーサーと結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れ、2人はやっとめぐり合うのだが。

というお話です。

 

 

韓国のソウルに暮らす、12歳のナヨンとヘソン。お互いに淡い恋心を抱いていたが、ナヨンの家族がカナダ・トロントに移住してしまい、2人は連絡が取れなくなってしまう。

ナヨンはカナダでの名前をレオノーラに変え、ノラという通名となる。それから12年後の2012年、ヘソンは兵役を終え、ノラはニューヨークに引っ越した。ある日、ノラはフェイスブックで、ヘソンがナヨンを探している事を知り、二人はビデオ通話で再会する。

二人は逢いたいと思うのだが、ノラはアーティスト招聘プログラムに参加する予定があり、ヘソンは仕事で中国に行かなければならず、お互いに訊ねられない。恋しくてソウル行の便をつい検索してしまうノラは、このままではと思い、ヘソンに、執筆に集中したいので、しばらく話すのをやめようと告げる。

それから12年後、2024年。ノラは12年前のプログラムで出会ったアーサーと7年前に結婚し、ニューヨークに住んでいた。ヘソンもある女性と付き合っていたが最近別れ、休暇でニューヨークに行くことにする。ノラと再会したヘソンだが、お互いに年を取りそれぞれのイニョン(縁)について考える。ノラと夫アーサー、そしてヘソンの事を…。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、最後に泣けました。号泣とかじゃなくて、知らないうちに涙が静かに流れている感じ。そんな映画なんです。ストーリーを書いてしまえば、よくありそうな恋愛ドラマで、どんなに思い合っていても一緒になれないという、昔で言えば”冬ソナ”のような話に思えるけど、観てみると全く違うんです。とても現代的で、人の心の奥を描いているんです。

 

小学校の頃に幼馴染で仲の良かったナヨンとヘソン。どちらも勉強が出来て、クラスの成績はいつも競っていたようなんです。そんな2人は、お互いに恋心を抱いていたのですが、ナヨンは突然にカナダに移住してしまうんです。父親が映画監督で母親が画家という家庭で、韓国では自由が無かったのかもしれません。

 

子供だったヘヨンはどうすることも出来ず、それから12年。24歳になっていたヘソンはFacebookで、ナヨンというカナダに移住した女性を探している事を書き込みます。それにナヨンが気がつきます。ナヨンは、カナダ・トロントで名前をレオノーラと変え、トロントからニューヨークに引っ越しをしていたんです。

 

ノラは執筆を始めていて、戯曲を書いているようでした。移民なので苦労をしていて、ヘソンと久しぶりにビデオ電話で再会し、懐かしくて恋しくて、直ぐにでも逢いたいと思ったハズなんです。でもお互いに未来の為にやることが山積しており、どうしてもそれを捨てて逢う訳にいかず、ノラは一度、連絡を絶つことを提案します。でないと自分が全てを諦めて彼の元に行ってしまいそうだったからじゃないかと思うんです。それくらい、好きだったんじゃないかな。

 

 

そしてまた12年後に再会するんです。彼らは12歳、24歳、36歳という間隔で会う事になります。この12という数字は、時間や月日に使われていて、干支も12支、キリストの弟子も12人、月は1年で地球を12周するそうです。全てに対して美しい12という数字、その数字で再会する二人。人間も時計と同じで、12という数字で何度も繰り返し成長しているということかなと感じました。

 

36歳の再会は、ヘソンがニューヨークに訊ねていくところから始まります。ヘソンは、ノラが結婚している事を知っていて逢いにいくのですが、どんな気持ちだったんでしょう。今でもお互いに好きな気持ちは変わりないと思うのですが、既にノラは結婚しているし、ヘソンは、駆け落ちなんて出来る性格ではありません。ノラは結構、勢いのある性格だとは思うんですけどね。

 

ノラの夫であるアーサーはとても優しい人で、彼女が幼馴染で初恋の人に逢いにいくと言っても止めませんし、彼が訪ねてくると言えば、一緒に逢ってくれます。それは、本当にノラを愛しているからだと思うんです。そしてノラも、アーサーの事を愛しており、心から信頼していると思いました。でも、ヘソンの事は違うんです。この夫婦の愛とは違うんだと思うんですよ。

 

ノラが夫に言ったセリフで、私は韓国気質ではなくアメリカの気質なので男より仕事を選ぶというんです。そしてヘソンは生粋の韓国人なので、自分とは違うと言うんです。これ、人種の違いがよく解るんだけど、アメリカなどは個人主義でしょ。自分の仕事は徹底的にやるけど、人の仕事は手伝わないけど、韓国や日本もそうだけど、自分の仕事よりもみんなで一緒にやる仕事みたいな感覚があるじゃないですか。個人は別にして、まず共同作業みたいな。ノラはそういう気質ではないけど、ヘソンは完全に韓国風気質なんです。

 

 

この違い、解かるなぁと思いました。私もどちらかと言うと、個人主義的な考え方で、仕事も頼まれれば手伝う事もあるけど、自分の仕事があればそちらを優先します。きっと、ノラは移住して、移民として頑張ってきた中でそういうことを学んできた訳で、もし、韓国に残っていたら、ヘソンと同じような考え方だったかもしれないんです。

 

だから、このタイトルにある「パスト ライブス」=前世ということが効いてくると思うんだけど、ノラが少女時代に韓国で過ごした時間は前世で、カナダに移住した時から、新しい人生になったと思うんです。ヘソンは前世の恋人で、今も同じように愛しているけれど、今の人生では縁が交わることが無いんだと思います。

 

ノラがヘソンに、あなたは12歳のナヨンを今も愛しているんだと言う場面がありますが、本当にそれだと思いました。お互いに愛し合っているけど、愛し合っている時間軸が違うのだということだと思いました。今の時間軸では、ノラはアーサーと、ヘソンは韓国で新しい人物と出会うのでしょう。

 

このお互いに深く愛しているのが解るんだけど、一緒には居られないという理由も解り、悲しいやら、理解出来るやら、もう、頭の中がうわ~ってなって、涙が溢れてしまいました。こういう相手に巡り合う事もあるでしょ。例えば、どんなに愛していても相手が既婚者だから一緒になることは無いとか、国が違うから一緒になれないとか、色々な理由で、どんなに愛していても結ばれない出来事ってあると思うんです。それが、この映画に集約されていて、もう、心にドーンと響いてしまい、頭がボンッでした。

 

素敵な映画だったなぁ。そこら辺の恋愛映画なんて相手にならないと思いました。好きだ嫌いだなんて言っているより、数段上を行っているんです。キスもSEXも無いのに、どんなラブストーリーよりも濃厚で、ドキドキハラハラして、涙が溢れるような映画でした。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。素晴らしい大人のラブストーリーです。これ、デートで観に行くと、愛が深まりそうな気がしたなぁ。絆が強まりそうな気がしました。自分のしている恋愛が陳腐に見えるほど、大人で上品な恋愛です。ベルリン映画祭、ゴールデングローブ賞、サンダンス映画祭、そしてアカデミー賞にもノミネートされている作品です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「パスト ライブス 再会」