「瞳をとじて」
を観てきました。Fan’s Voiceさんの、独占最速試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
映画監督ミゲルがメガホンをとる映画「別れのまなざし」の撮影中に、主演俳優フリオ・アレナスが突然の失踪を遂げた。それから22年が過ぎたある日、ミゲルのもとに、人気俳優失踪事件の謎を追うテレビ番組から出演依頼が舞い込む。取材への協力をしたミゲルは、番組終了後、フリオに似た男が海辺の施設にいるとの情報が寄せられる。
というお話です。
映画『別れのまなざし』は、1947年の秋のフランスから始まります。余命少ない男が、生き別れた娘に会いたいから探して欲しいとある探偵の男に頼むところから始まります。頼まれた男は気乗りしないようでしたが、その理由を聞き、引き受けることにします。
このプロローグを撮影した後、主演のフリオ・アレナスが失踪してしまい、制作は突然中断されます。撮影中に失踪し、警察が捜査を続けますが、崖に靴が揃えられていたことから自殺と思われたが遺体は上がりませんでした。映画監督のミゲルは、親友でもあったフリオ・アレナスが失踪し、あまりのショックで映画製作が出来なくなってしまい、22年も経ってしまいます。
元映画監督でありフリオの親友でもあったミゲルは、かつての人気俳優失踪事件の謎を追うTV番組から証言者として出演依頼を受けます。取材協力するミゲルだったが、その放送は少し観て止めてしまう。よくある放送内容で観る価値が無いと判断したからだ。
ミゲルは番組終了後、次第にフリオと過ごした青春時代を、そして自らの半生を追想していく。映画に打ち込んでいたあの時代はフィルム撮影で、その時代の記憶はすべてフィルムの中に残っている。今も懐かしく戻りたい世界だが、今の自分には遠い世界だ。
そんな時、思わぬ情報が寄せられた。”海辺の施設でフリオによく似た男を知っている”というのだ。まさかと思い、写真を送って貰うと、そこにはあのフリオ・アレナスが映っていた。驚いたミゲルはすぐにその施設に向かう。自分の目で確かめに行ったのだ。そして彼を見るなりフリオだと確信する。しかし、彼は記憶を失っているらしい。直ぐに娘のアナに連絡をするのだが…。後は、映画を観てくださいね。
私、ビクトル・エリゼ監督作品を初めて観ました。長い映画だったけど、何とも言えない深みと空気感があり、最後にジーンとしました。以前のエリゼ監督作品の「ミツバチのささやき」や「エル・スール」と内容が続くものがあると解説でお話してくださっていたのですが、なんたって「ミツバチのささやき」は1973年の映画らしく私は観ていません。日本公開はされたのかな?この古い映画をこの映画の上映記念として再上映してくださるようなので、観に行きたいと思っています。配信だと映画館より高いし、Blu-rayも高いので、まず映画館で観てみたいかな。
今回の映画は、劇中劇といいますか、映画の中で映画を撮影していて、主演俳優が失踪するというお話なので、なんとなくエリゼ監督ご自身に重なる部分があるのかなと思いました。監督のミゲルは、フリオが失踪してしまい全く見つからず、それ以来、映画の仕事をする意欲が無くなってしまったようでした。
キャンピングカーで海に近い場所に住み着き、何人かの人々と共同で暮らしています。そこの住人と一緒に漁に出て魚を取ったり、みんなで食事をしたり、歌を歌ったり、穏やかに暮らしているように見えましたが、どこか物悲しそうな顔をしていました。きっと大好きな映画から離れたことを悲しく思っているのだと思います。でも、フリオの一件からはどうしても映画が作れなくなったみたいなんです。
そんなミゲルに連絡が入り、フリオらしき人物が見つかったと言われ、ミゲルは居ても立っても居られなくなり、その施設に飛んでいきます。本当に飛んでいくという感じでした。そりゃそうですよね、22年間も探していたんですから。
きっとミゲルは、フリオが居なくなったのは自分のせいもあるんじゃないかと思っていたんだと思うんです。だからフリオが失踪した事件の妄想をしていた時、彼が靴を脱いで、自分の意志で失踪したのだと考えて、責任を感じていたんだと思うんです。突然にいなくなり見つからなければ、そう思いますよね。だって映画の一部を撮影しただけで居なくなったんですから、責任を感じますよね。
そしてフリオらしき人がいるという施設に行き、彼が施設に来た経緯や医者の話を聞いて、衝撃を受けるんです。自分が勝手に思っていた22年間は何だったのかということが解ってきて、彼を取り戻したいと思うのですが、どうなるのかは映画を観てください。フリオの娘役でミツバチのささやきのアナさんが、またアナという名前で出演しています。
フリオが記憶を失くしていることを医者から伝えられたミゲルは、記憶が無いのなら今までの彼の歴史が無くなってしまうと考えたのか、彼の出演した未完の映画をもう一度、彼に見せようと思います。映画も記録だから、彼の失った記憶を補填出来ると思ったのだと思います。フィルム映画はデジタルのように加工は出来ないので、記録=記憶と同じなんじゃないかな。
22年前のフィルムを探して編集しているミゲルは、とても幸せそうで、本当に映画が好きなんだろうなぁと思いました。こんなに好きなのに、どうしても作ることが出来なかったのは可愛そうだったなと思います。でも、フリオに再開できて、たとえ彼の記憶が戻らなくても、きっとこれからのフリオとの記憶の中で、新しい映画を作れるんじゃないかな。ミゲルも、失くしていた自分の歴史を、また始めることになったのだと思いました。
私は、きっとフリオも記憶を少しづつ取り戻せるんじゃないかなと期待しました。失った22年間なんてすぐに取り戻せるし、二人の絆はこれから永遠になるのだと思います。そんな未来を感じる内容だったように思えました。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。3時間近くあるので途中でちょっと眠くなるけど、最後には感動出来ると思います。ちょっとした場面がミゲルの気持ちを表しており、フリオと再会してからも二人がどんなに信じあっていた親友だったのかということが伝わってきました。人の心をここまで繊細に描かれてしまったら感動しない訳がありません。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「瞳をとじて」