「枯れ葉」現代に生きるアナログな人々の豊かさを感じながら、ジラされる苦しみを楽しみました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「枯れ葉」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

フィンランドの首都ヘルシンキ。理不尽な理由で失業したアンサと、酒に溺れながらも工事現場で働くホラッパは、カラオケバーで出会い、互いの名前も知らないままひかれ合う。しかし不運な偶然と過酷な現実が、2人をささやかな幸福から遠ざけてしまう。

というお話です。

 

 

フィンランドの首都ヘルシンキのスーパーマーケットで働くアンサ。友人とカラオケバーに飲みに気、そこで工場で働くホラッパと同僚のフオタリと出会います。ホラッパとアンサは目が合い、お互いに気になりますが見つめ合うだけで話はしません。一方、フオタリの方は、アンサの友人・リーサと話が弾んでいます。

ある日、アンサは賞味期限切れの廃棄食品を持ち帰ったとしてクビを言い渡されます。確かに就業規則では廃棄食品は廃棄するように言われていますが、注意も何も無くいきなりの解雇というやり方に怒り、リーサも一緒に辞めます。



 

次の仕事を探しパブの皿洗いの仕事を得ますが、給料日にオーナーが麻薬の密売で警察に逮捕され、呆然とするアンサの前にホラッパが現れます。二人はカフェでお茶をして映画を観に行きます。別れ際にホラッパはまた逢いたいと言い、アンサは電話番号をメモに書いて渡し、キスをして去ります。

偶然の再会で告白出来たホラッパは有頂天になりますが、タバコを吸おうと取り出した時に彼女の電話番号の目もを落としてしまいます。彼女に連絡出来なくなったホラッパは途方に暮れ、飲酒も増えて仕事をクビになってしまいます。

二人は再会することが出来るのか。またも偶然を待つしか無くなり、そして…。後は、映画を観てくださいね。


 

最初の方のお話を観ていて、どこかで聞いたことがあるような話だなぁと思ったら、「君の名は」という日本の昭和の実写映画のお話が、確か偶然に出会って名前も告げずに別れるというお話で、それと似ているなと思いました。その後の展開は違うけど、この出会いの感じが似てるなって思いました。

 

時代は現代なのだと思います。ロシアがウクライナ侵攻をしたというニュースが流れていたりするので今だと思うけど、何故か電話番号をメモに書いて渡したり、名前を言わなかったり、なんだかちょっとレトロな人たちなんです。ニュースは現代だけど、街の雰囲気も古いような気がしました。

 

 

だって、スーパーマーケットで何の注意もせず事前の告知もせず、解雇するなんて酷いですよね。残業代も出ていなかったみたいで、体の良い人員削減だったのかなと思いました。こういう時に訴えたら勝てると思うんだけど、結局泣き寝入りで辞めてしまったアンサ。彼女は独身で家族もいないので仕事が必要です。パブで働き始めますが、そこもろくな場所じゃなくて困ったことに。

 

でも、そのパブでホラッパと再会出来たので運命だったのかな。この辺りは、二人は上手く行きそうだなーという感じなんだけど、その後、どんなに頑張ってもすれ違ってしまいます。そして出会えても、思いがすれ違ってしまうんです。どこまでも上手く噛み合わない二人を観ていて、どこまでジラすんだよと思いました。

 

 

なんだか、いつまで経っても上手く行かない二人なんです。ほっんと神様が彼らがくっつくのを無理やり阻止しているようにしか思えないほど、逢おうと思うと逢えなくなるんですよ。ちょっとどういうこと?と映画に向かって文句を言いたくなるほどジラすんです。途中からは犬までも巻き込んでいくのよ。
 

AIやSNSなどが復旧している現代において、まだアナログ的な2人が恋愛をしようとすると、こんなにも大変なんだろうかと思ってしまいました。だってね、スマホで登録し合えば名前も解かるし、連絡も直ぐに取れるし、どこかで待ち合わせなんてする必要ないじゃないですか。それでも二人はアナログのままなんです。

 

そんな旧式の生活を送りながらも、アンサはしっかりとモノを言う女性で、女だからと言うような事はありません。独り立ちしている立派な女性です。フィンランドでは男女同等という教育がしっかりしているのかしら。酷いことにはしっかりと文句を言っていましたし、素敵な独身女性でした。

 

 

ホラッパは、どちらかというと弱い逃げてしまいたいと思うような男性なのかな。実は酒に溺れていてアル中っぽいんです。どうしてもアルコールを辞められず、仕事中にもこっそり飲んでしまうほどで、それが見つかり解雇されてしまうんです。お酒に逃げるのは一番良くない方法なんですけど。ホラッパの部屋は殺風景で寂しがりだったのかな。とても良い人なんだけど、弱い部分が見えていました。

 

そんな人の弱い部分を描きながら、何とかなるさと言っているように偶然が重なって二人は何度も出会う事になります。一人では寂しいし、弱くなることもあるけど、二人になればもしかしたら乗り越えられるかもしれない。その上、犬も一緒にいれば、無敵になれるのかもしれない。そんな事を思わせるような映画でした。

 

なんとなく、とっても優しい映画で何処までもジラす映画なんだけど、それが出会った時の喜びに変わり、笑えるコメディにもなり、未来を夢見られる作品のなるのだと思いました。私はほっこりしたかな。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。現代を描きながらも、とってもレトロな映画であり、最短時間で済ます現代とは違う色の濃さがありました。人物の思いが強く描かれているんだけど、極端にセリフが少なくて、表情や演技で見せる場面が多かったです。素敵でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「枯れ葉」