「アンブッシュ」イエメン内戦問題を当事者のUAEが描く力強い作品です。これは逸品だと思います。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「アンブッシュ」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

2018年、イエメン南部に駐在するUAE軍の兵士は、帰国が迫るなか通常任務にあたっていた。彼らは装甲車に乗って戦闘地帯の住民に支援物資を運びながらパトロールしていたが、待ち伏せされてしまう。ゲリラ戦を得意とする敵は、渓谷に身を隠しながらロケット弾や地雷で総攻撃を仕掛け、UAE軍は徐々に追い詰められていく。負傷して完全に孤立してしまった3人を救い出すため、総力を結集して敵陣へ突入するUAE軍だったが。

というお話です。

 

 

イエメンの内戦は悪化していた。いわゆる「アラブの春」で独裁政権が崩壊したイエメンは、サウジアラビアをバックに持つハディ政権とイランをバックに持つフーシ派との間で内戦が起こった。フーシ派が首都を制圧し、サウジやUAEが軍事介入を始めて内戦は泥沼化してしまう。

2018年、イエメン南部に駐在しているUAE軍のアリ、ビラル、ヒンダシの3人は帰国が迫るなか通常の任務に就いていた。彼らが乗った装甲車は戦闘地帯の住民へ支援物資を運びながら、渓谷部をパトロールしていたが、敵に待ち伏せされ、突然襲われてしまう。

敵は得意のゲリラ戦に持ち込み、渓谷に隠れながらRPG(ロケット弾)や地雷での攻撃、離れた場所からの狙撃をしてくる。最新兵器で武装したUAE軍の装甲車でさえも次第に孤立させ追いつめられてしまう。



 

3人は負傷し、武器も残り僅かに。攻撃を受けたことを何とか連絡したものの、いつ助けが来るか判らない中、何とか持ち応えようとしていた。

UAE本部はパトロールの3人が襲われたことに気が付き、直ぐに救出部隊を送るが、敵は待ち伏せしており、簡単には近づけない。通信機器も使えない仲間を救うため、装甲車、ドローン、ヘリコプター、戦闘機、と総力を挙げて戦地に向かうUAE軍だが、彼らを無事に助け出すのは容易ではない。そして。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、私は凄く面白かったです。映画を作っているのがアラブ首長国連邦(UAE)なんですよ。なので政権側ですよね。一応、サウジアラビアやUAEが政権側の援助をしており、国連も政権側の援助を支援しているようなのですが、フーシ派はバックにイランが付いています。なので、もし、イラン側が映画を作ったら、立場が全く逆転してしまう訳ですよね。

 

内戦というのは、どちらが悪いとは言えない所に問題がありますが、この映画はUAE側が襲われて、必死で仲間を助けるという完全懲悪として描かれているので、フーシ派は悪役となっています。まぁ、考えてみればUAEは他人の国なんだけど軍を派遣して助けてあげているのだから、ヒーローなのだけど、でも、そこには利権が絡んでいますからね。何とも言えません。

 

 

この映画の凄いところは、政権側とフーシ派の関係を、一応、最初に説明してくれるところ。アメリカとかだと、自分たちは正義だと主張する為に、相手は悪い奴としか描かないけど、この映画は、一応、こんな風に分かれて戦っているということを説明してくれるんです。私も少ない知識の中から引っ張り出して、必死で考えながら観てしまいましたよ。

 

だって、日本で言えば、関東と関西がアメリカとロシアのバックアップの元で戦っているようなもんでしょ。同じ人種なのに、なんで戦争しなきゃいけないのって感じで、住民たちはみんな被害者ですよね。でも、止めることは出来ない。だって、どちらの地域にもバックがいて、いくらでも武器弾薬を供給してくれちゃうから。なんか、酷い話ですよね。

 

映画の内容に戻りますが、UAEから派遣されてきた軍の人たちが住民たちに食料などを供給しながらパトロールをしてあげているんですけど、そこにフーシ派のゲリラが奇襲をかけるんです。雰囲気は、スターウォーズのタトウィーンでタスケン・レイダーたちがR2-D2たちを襲った感じのビジュアルかしら。もっと凄い渓谷で、敵は慣れているから岩場に隠れながら襲ってくるんです。

 

 

UAE軍の3人は、装甲車に乗っているので、ロケット弾に被弾してもなんとか怪我くらいで持ちこたえていて、中に籠っているんです。外に出て捕まってしまったら、人質として酷い扱いを受けることになるので、絶対に捕まらないようにしているんです。

 

仲間も直ぐに助けに向かってくるのですが、渓谷で何度も足止めを喰らってしまうんです。ロケット弾や迫撃砲を受けて、あと少しでパトロール隊のところに着けそうなのに進めないんです。そして、道には地雷を埋められていて、下から爆破されると車がひっくり返ったりしてしまうんです。驚くほど連携が取れていて、ゲリラにしては凄い攻撃でした。

 

もちろんUAE軍も黙ってはおらず、応戦をするのですが、相手はその場所での戦いに慣れているし、準備も十分にされていたようなんです。なので、1台を助けに6台くらいの装甲車が向かうのですが、負けそうになるんです。これは作戦勝ちって感じかしら。

 

 

そしてUAE軍は、ドローンで相手を監視し、アパッチで敵の攻撃地点を破壊していくのですが、いくつもあるし、ヘリに向かってロケット弾を発射してくるので、結構、危険な戦いになっていました。パイロットが女性でカッコ良かったですよ。そして、アパッチでは攻撃しきれなくなり、救助部隊も危険になってきて、奥の手を出します。まぁ、それは映画を観てください。

 

それにしても、この映画、実話を元に作っているとのことで、恐いなぁと思いました。だって、ご飯を届に行って攻撃されちゃうなんて、酷いですよね。一般市民が暮らしている場所で、いきなり戦争を始めちゃうんですから、ほっんと酷い話だなと思いました。

 

でも、この映画は政権側から描かれているので、きっとフーシ派から言えば、何かちゃんとした理由があるのでしょう。彼らだって、自分の国を良くするために戦っているという名目なのでしょうから、言い分はあるはずなんです。

 

 

今まで、あまり内戦を内戦をやっている人たちが描くという映画が無かったので、この映画は面白いと思いました。よくあるのはハリウッド目線で、完璧なヒーローが悪を倒すという映画だったでしょ。でも、この映画は、政権側が自分たちの主張を前面に出して描いているので、ちょっと外の人間が描くのとは違う気持ちがしました。

 

私、この映画で、イエメンやサウジ、UAE、イランの関係が少し理解出来てきました。今まで、何となくふわふわと覚えていただけで、こんな風に内戦が起きていて、お隣の軍が戦ってくれているというのは知りませんでした。いやぁ、世界情勢をあまり理解していなくて、お恥ずかしいです。でも、勉強になったなぁ。

 

映画としても面白かったですよ。イエメンがこんな場所なんだってことも知ることが出来ました。こんなに面白いし、世界の情勢が理解出来る映画なので、もっと宣伝すれば良かったのに。もっと沢山の人に観てもらって、中東の情勢を知って欲しいです。こんなに良い映画なのに、勿体ないですよ。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。映画の迫力もあったし、面白かったけど、それ以上に中東の知識が増えて、理解しやすかったです。映画で世界情勢を知り、もちろん観た後に自分で考えて、内戦にはどちらが良い悪いは無いということも認識しなければいけません。難しい問題です。簡単に白黒はつかないので、これから見て行かなければいけないニュースだと思っています。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんでくださいね。カメ

 

 

「アンブッシュ」