「ティル」知識が無かった故に惨殺されてしまった青年。もう二度とこんな事は起こしてはいけない。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ティル」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

1955年、イリノイ州シカゴ。夫を戦争で亡くしたメイミー・ティルは、空軍で唯一の黒人女性職員として働きながら、14歳の息子エメットと平穏に暮らしていた。ある日、エメットは初めてミシシッピ州マネーの親戚宅を訪れる。そこで彼は雑貨店で白人女性キャロリンに向けて口笛を吹いたことで白人の怒りを買い、8月28日、白人集団に拉致されてリンチの末に殺されてしまう。息子の変わり果てた姿と対面したメイミーは、この陰惨な事件を世間に知らしめるべく、ある大胆な行動を起こす。

というお話です。

 

 

1955年、イリノイ州シカゴ。夫が戦死して以来、空軍で唯⼀の⿊⼈⼥性職員として働くメイミー・ティルは、⼀⼈息⼦で14歳のエメットと平穏に暮らしていた。 ある日、エメットは親戚を訪ねるためにミシシッピ州に行く準備をしていた。初めてのミシシッピ州マネーへ行くエメットは、母親に幾つかの注意をされていた。南部は北部とは違い黒人にとって危険な場所であること。行動には気をつけて、何か白人とのトラブルになるようなら、決して反抗的な態度をとったり、言い返したりせず、許しを請うようにと。

ミシシッピに着いたエメットは、綿花積みの手伝いに文句を言いながらもミシシッピを楽しんでいた。エメットは従兄弟たちと一緒に町の雑貨店を訪れ、店番をしていた白人女性キャロリン・ブライアントに女優みたいだと話しかけると、彼女は変な顔をしてエメットを睨んでいる。エメットは彼女に構って欲しくて、店を出た所で彼女に対して口笛を吹いてしまう。



 

外にいた従兄弟は慌ててエメットを車に乗せると、キャロリンが銃を持って彼らを追いかけて来た。何が起こったのか解らないエメットだったが、従兄弟は恐怖で引きつっていた。黒人が白人に対して挑発的な行為を行うなどミシシッピでは許されない行為なのだ。それから3日が過ぎ、大叔父一家が寝静まっていた夜、激しくドアを叩く音が響いた。キャロリンの夫と弟がエメットを出せと怒鳴りこんできたのだ。

大叔父も叔母も抵抗するが、銃を向けられどうしようもない。抵抗も出来ずにエメットは車に乗せられ連れ去られてしまう。エイミーは息子が誘拐されたことを知らされ、すぐさまミシシッピに行こうとするが止められる。そして弁護士のレイフィールド・ムーティに話をつけてもらい、NAACP(全米黒人地位向上協会)の協力を取り付ける。



 

ミシシッピ州の新聞社に働きかけ事件を報道。シシッピ州警察も動きだすが、ここはミシシッピ州だ。黒いモノも白人が白といえば白になってしまう。しかし、届いた報せはエメットの遺体が発見されたという最悪のものだった。遺体は川に捨てられていたという。変わり果てた息子の姿を見て、メイミーは立ち向かう決意をする。間違った世の中に抵抗することに決めたのだ。後は、映画を観てくださいね。

 

人種問題を加速させることになった事件が、このエメットの殺人事件で、「エメット・ティル殺害事件」として世に知られています。アメリカ南部では、1950年代になっても、まだ黒人差別が強く残っており、「グリーンブック」という映画でも描かれていますが、どんなに有名人になっても、白人と一緒に食事をすることも出来ないし、入れる店も決められていて、本当に変な時代なんですよね。肌の色だけで、どうしてここまで憎めるのだろうと不思議に思います。

 

 

この事件、本当に酷い話なんだけど、もし私がこの時の口笛を吹かれた白人女性だったらどうだろうと考えると、夫に同じように復讐をしてと言っていたかもしれません。それくらい、白人は黒人を奴隷として見ていた時代だと思います。家畜と一緒に思っていたんじゃないかな。だから、こんな事が起きてしまったんです。

 

その意識改革をする為に公民権運動が生まれたし、キング牧師や沢山の活動家の方々が頑張って、やっと今、随分と意識が変わって来たんじゃないかな。でも、時々、恐い事件が起きますよね。特に、白人警官が黒人に対する時の態度などが問題になっていますよね。

 

 

実際にはどうなんでしょう。本当に白人警官が悪いのか、黒人の態度が悪かったということは無いのか、真実は解りません。アメリカではすぐに銃が出てくるし、甘く見ていたら自分の身が危ないんですから、厳しくなるのは当たり前だと思うんです。だから、この問題は冷静にみなくてはいけませんよね。

 

エメットの事件に戻りますが、母親と暮らしていた地域は人種差別が少ない地域だったので、そこから、あまり知識も無く南部に行ってしまったというのが問題ですよね。母親に随分と注意されてはいたけど、楽しい旅行に行く気持ちが先に立ってしまって、頭に入っていなかったんじゃないかと思うんです。だから簡単に白人に話しかけてしまったし、口笛を吹いてしまった。これは準備不足だったのだと思いました。

 

 

それに、今、女性に口笛を吹いたら、セクハラですって訴えられるんじゃないの?凄く下品な行為ですよね。女性の立場からすれば、凄くバカにされたような気になるし、自分が軽い女だと見られたような気がして気分が悪いと思います。時代によって、難しいですよね。もうこれは人種差別じゃなくて、ハラスメント問題に変わっちゃうんです。

 

まぁ、口笛を吹いたことで、エメットは殺されてしまうのですが、やっぱり酷い話です。ただ、殺したのではなく、リンチをして川に投げ捨てたというのですから、やることが残酷です。メイミーは、腫れ上がった顔に、川で水を含んで膨らんでしまったエメットの姿を見て驚きます。見た目はエメットだって解らなかったんじゃないかな。今のようにDNA鑑定なんて無い時代ですから。
 

そんな遺体を晒してお葬式をするメイミー。凄い怒りからの行動だと思いました。その怒りが沢山の人を動かすことになり、時代が変わって行ったのだと思いました。いやぁ、でも、この犯人は捕まっているのに、結局、無罪にされちゃうっていうことが理解出来ませんでした。というか、殺したんだから、罪悪感というのが無いのかしら。

 

 

だって、発端となったキャロリン・ブライアントなんて母親ですよ。人の息子を殺しておいて、何も感じないなんて驚いてしまいます。この騒ぎを知っていただろうに、平気で暮らしていたらしいのですから、人の心が無いのかなと思ってしまいます。いくら家畜を殺したと思っていたとしても、殺すという行為を促したのだから、自分の責任だと思わないのかな。

 

この事件、初めて映画化されたようです。「大統領の執事の涙」で少し描かれていましたが、エメット・ティルの話として映画化されたのは初めてのようでした。私は、恥ずかしながらこの事件を全く知らず、のほほんと生きてきてしまいました。人種差別はこんな事件がいくつもあり、その度に立ち上がる人々がいて、意識が変わってきたんですね。人々の力を感じました。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。良い映画でした。私の感想はあまり良く書けてないけど、映画は素晴らしいです。とっても真面目な映画なので、楽しめるというと怒られそうだけど、考えさせられるし、人間は誰しも平等なのだと力強く言いたくなる作品でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ティル」