「窓ぎわのトットちゃん」
を観てきました。
ストーリーは、
好奇心旺盛でお話好きな小学1年生のトットちゃんは、落ち着きがないことを理由に学校を退学させられてしまう。東京・自由が丘にあるトモエ学園に通うことになったトットちゃんは、恩師となる小林校長先生と出会い、子どもの自主性を大切にする自由でユニークな校風のもとでのびのびと成長していく。
というお話です。
トットちゃんは、小学1年生。落ち着きが無く活発すぎて、通っていた小学校を退学になっていました。そして母親がなんとか探し出したトモエ学園に転入することになったのです。トモエ学園は、電車の車両を教室に使っているというユニークな学校。全校生徒は約50人、1年生は9人です。
校長先生の名は、小林宗作。初めて学園を訪れたトットちゃんは、お話が沢山あるのと校長先生に言います。すると校長先生は全部話してごらんとトットちゃんの話を4時間もかけて最後まで聞き、やっと話が終わった時に、「これで、君は、この学校の生徒だよ」と告げました。前の学校で問題児扱いされていたトットちゃんは、生まれてはじめて本当に好きな先生に会えたと思いました。
トモエ学園の授業は、子どもたちの興味や個性を尊重したユニークなもので、席も時間割も自由です。その日の気分で好きな席に座り、おのおののペースで勉強しました。斬新で自由すぎる教育方針に、トットちゃんの両親さえ心配に思うこともありましたが、本人は友達とともにのびのびと元気よく育っていったのです。
その一方、世間では戦争が進んでいました。トットちゃんの周りでも戦争色が色濃くなり、学校は休校。トットちゃんも東北へ疎開することになり、大きな家は取り壊されてしまいました。それでも、トットちゃんは、きっとトモエ学園に戻ってきて校長先生に再会出来ると信じて、お母さんと汽車に乗りました。後は、映画を観てくださいね。
良い映画でした。随分昔に「窓ぎわのトットちゃん」を母親から渡されて読んだ覚えがあるのですが、あまり覚えていなくて、映画で観たら、とても新鮮に感じて楽しめました。トモエ学園って、まるで夢の学校ですね。教育方針は、今でいう”モンテッソーリ教育”のような感じかしら。自由だけど個性を大切にして、集中力を養ったり、思いやりを育てたりしているように見えました。
トットちゃんの様子を見ていると、今でいうADHD(注意欠陥多動性障害)と診断されるんじゃないかしら。机を何度もパタパタしたり、授業中にでもチンドン屋さんを呼んでしまう様子など、うーん、これは多動性障害だなぁ~と思いました。でも、昔は落ち着きのない子と言うだけで、親に何とかしてくださいと言うだけだったんですよね。私は、それでいいと思うんです。何でも病気だからと言って、理由付けをして守ろうとしていたら、自分でどうにかしようと考える力が養われないでしょ。最後は自分で適応して行かなければいけないんだから、守り過ぎるのはどうなのかなと最近思っています。
そんなトットちゃんを受け入れてくれたトモエ学園。この時代に、こんなに進化した学校があったんですね。驚きました。自由が丘にあった学校だというので、それこそ上流階級の方々が、海外で色々と学んできて、それを実践し始めた学校なのかもしれません。あの時代、自由が丘とか田園調布は、経営者や国家公務員、元華族の方が住んでいた地域だと思うので、ハイカラだったんだと思います。
トットちゃんがトモエ学園で知り合う”やすあきちゃん”という小児麻痺の子がいました。トットちゃんは、不思議に感じたことをそのまま言葉にするので、やすあきちゃんにも歩き方がおかしいことをストレートに聞くんです。今の子だと、”人の障害などを指摘してはいけません”と教えられるので、きっと聞かないと思いますが、トットちゃんは聞くんですよ。そして、やすあきちゃんは”小児麻痺”なんだと話します。
私は障害の事を聞いて良いと思うんです。いつもオブラートに包むようにして見ない振りをするより、聞いてしまって、受け入れていく方が、よっぽどスッキリするし、病気の事も解れば、助けてあげられるし、良いことって沢山あると思うんだけど、どーも綺麗ごとだけの人々が多くて、嫌な気分になります。
誰もがトットちゃんのように聞くことが出来たら、もっと障がい者は、社会に溶け込めるし、一緒に生きることが出来ると思うんですよね。いつも特別扱いして腫物に触るようにしていると、そこにどうしても壁が出来ちゃって、いつまでも分かり合えないし、友達になれないと思うのよ。もう少し考え方を変えていけないのかなと思いました。
後半には戦争が始まるんですが、トットちゃん目線なので、そんなに戦争が始まったら大変だということが解らないんです。でも、トットちゃんの目にも、片足が無い人が歩いていたり、戦争に行く人をバンザイして送っていたり、華美な服装は慎めと言う警察官がいたり、世界が以前とは変わってきている事は理解出来ていたようなんです。
そして学校もお休みになり、自由が丘のお家も取り壊されてしまうんです。この時代、個人の家もあんな風に取り壊されていたんですね。個人の持ち物なのに、おかしいなぁと思いました。土地の権利などは取られなかったのかしら。戦争時代って不思議ですね。理屈に通らないことが、平気で行われていて、なんだか不思議でした。
トットちゃんは戦争のせいで途中で学校に行けなくなったけど、少しでもトモエ学園で学べたことは良かったんじゃないかな。落ち着きがないと言われたトットちゃんだけど、話すことが無くなるまで話を聞いてくれた校長先生がいたからこそ、あの黒柳さんのガンガントークがある訳だし、発想力の豊かさがおいくつになられても誰にも負けていないのは、自由な校風で過ごしたおかげだと思います。
黒柳さんはユニセフなどで親善大使をしていらして、何処へ行っても子供に触れ合っていて、病気の子どもにも分け隔てなく優しい言葉をかけていて、本当に素晴らしい方だなと思います。その上、動物にも話しかけていて、ビックリしちゃうほど仲良くなっちゃったりして、すんごい人だなと思います。こんな人、二度と出てこないんだろうなぁ。素敵な人だなぁ。尊敬しています。
この映画、素晴らしい映画でした。アニメも可愛かったし、トットちゃんを囲む人たちもよく描かれていました。この原作の「窓ぎわのトットちゃん」の続編を黒柳さんが書かれたようで、映画の記事を読んでいて知って、読まなくちゃと思いました。戦争~戦後の事も書かれているようで、今、読むべき本なんだろうと思いました。
私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。満点をあげたい作品でした。いつ観ても、誰が観ても、考えさせられるし、未来の事を考えてしまう作品です。人が人らしく生きていた時代の、優しい人々を描いています。現代人が持っていない優しさを教えてくれる作品だと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「窓ぎわのトットちゃん」