「ファースト・カウ」
を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
西部開拓時代のオレゴン州。アメリカンドリームを求めて未開の地へ移住した料理人クッキーと中国人移民キング・ルーは意気投合し、ある大胆な計画を思いつく。それは、この地に初めてやってきた“富の象徴”である牛からミルクを盗み、ドーナツをつくって一獲千金を狙うというビジネスだった。
というお話です。
1820年代。フィゴウィッツ(クッキー)は料理人だったが、思うように稼げず、心機一転、オレゴン州へと向かい、毛皮を取る猟師たちの一団に加わった。寡黙なクッキーは集団内で孤立しがちだったが、中国からやって来たルーとは打ち解けることができた。
2人は何とかして一財産築こうとしていたが、商売を始める元手を工面することすらできない有り様だった。そんなある日、2人が暮らす村の村長・ファクターが極上のミルクを出すウシを買い付けた。ミルクがあれば焼き菓子が作れるとクッキーが言い、ルーはある計画を思いつく。
夜の闇に紛れてそのウシのミルクを搾り、クッキーにドーナツを作らせようというのである。最初は、誰もが怖がって買わなかったが、一人が食べるとその美味しさに驚き、口コミで噂が広がっていく。クッキーが焼いたドーナツは都会の一級品にも匹敵する美味しさだった。材料を聞かれるが、”中国の秘伝だ”と言って、教えませんでした。
噂が広がり、ある日、村長のファクターがやってくる。一口食べてその味を気に入ったファクターは、家に来てクラフティを作ってくれないかとクッキーに頼む。材料さえあれば出来ますと答えたクッキーは、ルーと共にファクターの屋敷に行くことになる。
ファクターの屋敷でクラフティを作り喜ばれるが、ウシに近づいた時に何故かクッキーに慣れているウシを見られてしまう。危ないと感じたクッキーは、ミルクを盗むのは辞めて、早く何処かへ逃げようと警告するが、ルーはお金がまだ足りないからと言って、その日の夜も、ミルクを盗みにファクターのウシのところへ行ってしまう。そして…。後は、映画を観て下さいね。
西部劇の時代に、ウシのミルクを盗むという、何となくほっこりしたお話なんです。でも、盗みは犯罪ですからね。問題になってくる訳です。大体、ドーナツで稼ごうなんて、ちょっと笑っちゃうのですが、この時代、甘いものが無い時代なので、ミルクと粉を練って油で揚げて、蜂蜜を塗っただけなのに、ご馳走だったのだと思います。
クッキーは、どちらかというと大人しい感じで、あまり自分の意見を言いません。一方、リーは色々と考えて、先に行動をするタイプでした。そんな二人が出会い、色々と考えたあげく、村長の家に来たウシを見て、ドーナツ屋をやろうという考えに至るんです。今では考えられないけど、昔は、そんなもんだったんじゃないかな。
だって、何をやっても既に誰かがやっているし、雇われて稼ぐのでは、いつまで経ってもお金なんて貯まりません。昔ですから、労働者のままでは、一攫千金なんてあり得ないんです。もし、自分の店が持ちたいという夢があるなら、何かを考えて自分で始めなきゃいけない。そんな時に、ウシが目の前に現れ、ミルクがあれば焼き菓子が作れるとクッキーが言い出し、リーがウシのミルクを盗んでドーナツ屋をやろうと言い出します。
でも泥棒だし、捕まったら大変なことになると解っていたけど、リーは、貧乏人は運が良いか、犯罪を犯さないと成功は出来ないと言い、じゃぁ、盗むしかないかということで、ウシからミルクを毎晩盗み出し、ドーナツを作って売るんです。
この夜中にウシの乳搾りをする場面なのですが、西部劇の時代だから防犯センサーがある訳でも防犯カメラがある訳でもないので、簡単に入れるけど、でも、警備の人間が何人かいるんです。だから、ルーが搾って、クッキーが見張りをしているんだけど、なんだか、その姿がとっても間抜けなの。笑えました。
そんなほのぼのした雰囲気だったのに、2人のドーナツが有名になっていくにつれ、注目が集まって、ヤバくなっていきます。なんたって、ファクターがドーナツを気に入ってしまったから大変です。あなたのウシからミルクを盗んでますとは言えないでしょ。でも、どうやって?材料は?となっていくでしょ。状況はマズい方向へ向かって行きます。
開拓時代だから、荒っぽい男性たちばかりが出てきますが、戦いや喧嘩はほとんどありません。全体的に穏やかな場面ばかりなんです。最後の方で、ファクターにミルク泥棒が見つかってしまってからは、荒っぽい逃走劇になりますが、それでも、殴り合いなどはありませんでした。実際はそんなもんだったのかもしれませんね。人間ですからね。
犯罪はいけないけど、この時代だからこその出来事だと思います。日本だって、有線放送は違法で電信柱に電線を引いて商売を始めたと聞いたことがあります。今は、全て合法に変えて成功したけど、最初は無茶なこともしたのだと思います。発展期というのは、誰もが必死だから、仕方なかったんじゃないかな。
なんとなく、最初から最後まで、開拓時代なんだけど、ちょっと温かい雰囲気の流れている映画でした。もちろん、恐い事も沢山あるんだけど、どこか優しい映画で、クッキーとルーは強い友情で結びついていて、きっと、この時代を乗り切って、どこかで成功出来るような気がしました。荒い時代でも、ちゃんと人間は生きていたんです。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。あまり派手な動きとか、出来事はありませんが、この時代に何が何でも未来を掴んでいこう強い気持ちが描かれていて、ちょっと羨ましい気持ちになりました。ウシさんが可愛かったです。ちょっと笑えて温かく、でもドキドキもある映画です。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ファースト・カウ」