「GHOST WORLD」
を観てきました。
ストーリーは、
幼なじみで親友のイーニドとレベッカは高校を卒業したものの、進学も就職もせずに気ままな毎日を過ごしていた。そんなある日、2人は悪戯心から、新聞の出会い広告欄に載っていた中年男シーモアを呼び出して尾行する。イーニドは冴えないシーモアになぜか興味を抱き、レベッカはカフェで働き始め、イーニドとレベッカは次第にすれ違うようになっていく。
というお話です。
1990年代アメリカ、都市郊外の名もなき町。高校の卒業式を迎えた、幼なじみで親友のイーニドとレベッカ。バカな同級生たちともいよいよお別れ。しかし、高校を卒業したからといって、退屈な街で心が満たされることはないし、気持ちわるい大人たちの仲間入りもお断り。二人は進路も決めず、あてもなく町をぶらついては面白いことを探して過ごしている。
ある日、お気に入りの50年代風ダイナーに入り浸っていた二人は、新聞の出会い系広告を見つける。いたずらで広告主を呼び出してみると、現れたのはいかにもモテなさそうなダサい中年男・シーモア。しばらく待ちぼうけを食らっていた彼は、やがて自分が騙されたことに気づくと怒って店を出て行ってしまうが、すかさず二人は男を尾行して自宅を突き止める。
後日、ふたたび男の家を訪れると、ガレージセールを行っているシーモアの姿があった。彼はブルース・レコードのコレクターで、ブルースについて喋り出すと止まらなくなるのだった。孤独でも自分の世界に生きるシーモアに関心を持ったイーニドは、彼の”理解者”として交流を深め、奇妙な友情関係を築いていく。
一方、アパートを借りるために地元のコーヒーショップに就職し、社会と折り合いをつけて自立しようとするレベッカは仕事中心の生活になっていく。同居を計画していた二人の間には次第に距離が生まれ、連絡も取らずに疎遠になっていく。そして。後は、映画を観てくださいね。
2001年の映画なのですが、今、再上映されていまして、私は初めて観ることが出来ました。なんたって、スカーレット・ヨハンソンが若い!顔がそれほど変わらないことに驚きますが、やっぱり若くて綺麗ですね。ソーラ・バーチも若いです。だって、20歳前後だったんじゃないかな。その頃に、この映画を撮影したのだと思うと、若い頃から演技が上手かったんだなぁと改めて思いました。
高校を卒業して、定職に就かずにふらふらしているイーニド。仕事を探していない訳じゃないのですが、彼女は何をやってもうまくいかないんです。なんていうのかなぁ、一般的な常識が一切理解出来ておらず、身についてもいないので、どの仕事に行っても”何やってんの?”と言われてしまうほど常識が無い。簡単に言えば、挨拶も出来ないし、決まり事も守れない、時間も適当で勤務時間でも出かけてしまったりと、そりゃ、解雇されますよ。
イーニドは、芸術的な方面の人間なんだろうと思うけど、だからっておかしなことをしていても良い事は訳ではありません。人は社会の中で生きているので、どんなに生きづらくても、折り合いをつけて生きていくしかないんです。それが出来ない、したくないのなら、社会で生きるのを諦めるしかない。そんな映画だったように思います。
少し前に、邦画で「正欲」という映画があったでしょ。イーニドは、あの映画に描かれている一般人とは違う欲望を持つ人物だったのではないかと思います。そして自分が人と違う考え方なのだと、ほとんど気が付いていなかったんじゃないかな。というか自分が興味を持つ人間以外のことは、眼中になかったんだと思うんです。
そんなイーニドが興味を持ったのがシーモアというオッサン。その人に執着して付いて回るようになったイーニドは周りが見えなくなり、友人のレベッカも呆れちゃって離れていき、イーニドはどんどん孤独になっていくんです。確かに、こんな子が友達にいたら、面倒臭くなっちゃうかなと思いました。迷惑ごとばかり起こすし、面倒を見ていられません。
イーニドとしては、好きな人を自分の感覚で必死で追いかけているということだけなんですけどね。個性的で片づけられれば良いけど、周りが迷惑しちゃっている以上、そのまま続けることは出来ないでしょ。周りから総スカンされて、心を許せる人がいなくなり、それに気が付いてしまったら、私なら自分を許せなくなるかもしれないな。
人と違うことは悪い事じゃないけど、それによって自分が孤独になることは覚悟しなきゃいけないですよね。だって、本当の自分を理解出来る人がいないんですから。「正欲」では、同じ”違う”を持つ二人が契約結婚をする内容があったけど、通常は違っている自分を理解出来る人は現れないので、孤独を覚悟しなくちゃ。そして適当に社会と折り合いをつけて、愛想笑いをしたり、人に気を遣うようにして、何とか生きるしかない。
でもね、このイーニドはそういうことが出来ないような子で、まぁ、結末が来るのですが、それは映画を観て、観た人が解釈するような作り方がしてありました。私は感動でした。うん、この終わり方は、色々な解釈が出来るけど、自分を貫こうとすれば、こうなるしかなかったような気がしました。だって、誰も助けることは出来ないですよ。彼女のけじめなんですから。きっと、私が彼女なら、同じような決着をつけると思いました。
何故、今、再上映なのかなと思いましたが、今の時代だと、共感出来る人が増えているんじゃないかな。こんなにも人がバラバラになった世界で、個人を尊重とかアイデンティティとか騒がれて、じゃぁそうしましょうとなったけど、誰もが孤独を感じ始めているんじゃないかな。もっと温かい世界なら、人の孤独に寄り添ったりとなるんだろうけど、そんな余裕がある人がいない世界だからねぇ。そろそろ世界を変えていかないと、日本人全員がレミングスのように一緒に自殺をするような世界になっちゃう気がして怖いです。
私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。とても考えさせられる映画でした。人と違うことは悪い事じゃないけど、生き難さはいつまでも変わらないので、どう生きることが楽になれるのか、そんな事を考える映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「GHOST WORLD」