「サタデー・フィクション」
を観てきました。
ストーリーは、
日中欧の諜報員が暗躍する魔都・上海。真珠湾攻撃7日前の1941年12月1日、人気女優ユー・ジンは新作舞台「サタデー・フィクション」に主演するため上海を訪れる。彼女は、女優であると同時に諜報員という裏の顔をもっていた。ユー・ジンの到着から2日後、日本の暗号通信の専門家である海軍少佐・古谷三郎が上海にやって来る。彼女は古谷から太平洋戦争開戦の奇襲情報を得るため諜報活動を開始する。
というお話です。
1941年 日本占領後、上海は連合国と枢軸国の戦時中の諜報戦場となった。そんな中、人気女優のユー・ジンは、表向きは、かつての恋人が演出をする演劇「サタデー・フィクション」に出演するため、上海を訪れる。
しかし、本当の狙いは、まだ解らない。日本軍に拘束された元夫を解放するためなのか、それとも情報収集のためか、養父の情報戦の手助けをするためか、恋人と共に戦争から逃れるためか。
ユー・ジンの到着から2日後、日本の暗号通信の専門家である海軍少佐・古谷三郎が新しい暗号を伝えるために上海へやってくる。彼の暗号により、太平洋戦争開戦の奇襲情報が伝達されるのだ。古谷の亡き妻は、実はユー・ジンによく似ており、古谷から情報を聞き出すために、ヒューバートが彼女を上海へ呼んだのだ。
ユー・ジンはその昔、フランス諜報員ヒューバートに孤児院から貰われ、諜報部員として訓練を受けた過去があり、銃器の扱いに長けた「女スパイ」という裏の顔があった。
連合国は、奇襲する場所の情報を何としてでも手に入れようとしていたのだ。彼らは古谷から情報を手に入れる作戦を「マジックミラー作戦」と呼び、ユー・ジンを使って古谷を誘惑し、情報を手に入れようとする。しかし…。後は、映画を観てくださいね。
うーん、何と言ったらよいのか、映像はモノクロでとても美しいのですが、内容にちょっと無理があるというか、そんなことをしなくても、日本の情報は手に入ったんじゃないの?って感じがしました。
ユー・ジンは、フランス人に養子として引き取られてスパイにされたんですけど、きっと不幸だったんじゃないかな。通常だと養子として引き取られれば幸せになれると思うけど、彼女は道具として貰われただけで、愛情も何も与えられなかったんだと思うんです。なので、ヒューバートの命令には従っていたけど、彼を心から信頼していた訳ではなかったのでしょう。
それでもスパイとして活動し、重要な任務に就いていたんです。日本の情報機関がある上海に来て舞台出演をするという名目ですが、実は日本軍に捕まっていた元夫を助けるためなのではないかと言われていました。でも、本当はもっと重要な任務を請け負っていたんです。
彼女は日本軍諜報機関の暗号スペシャリストに近づいていきます。どうも、彼女がその暗号スペシャリストの亡くなった妻にそっくりだったからのようです。ここら辺が無理やりっぽくて、見ていてちょっとイラッとしました。結構、この映画の内容って、無理やりが多いんです。観ていてスッキリしないんです。色々なことが起こる度に一度立ち止まるような感じがあり、そこからまた始めるので今までの話とどうつながるのか解らなくなっちゃう感じがありました。
ユー・ジンという女性スパイの話を作るなら、もう少し他のやり方があったと思うんだけど、無理やり日本軍の古谷の妻に似ているとか、養子になって中国人なのにフランス軍のスパイとして働かなければいけなかったり、無理な設定が多いんです。もっとストレートにスパイ活動をしてくれる設定なら、シンプルで分かりやすくて、違和感もなかったんですけどね。
その上、有名な女優さんで上海に恋人がいるとかって、やりすぎですよね。ここまでやられちゃうと、もう、何がやりたかったのか、何をメインに描きたかったのか、よく解らなくなってしまいました。
日本軍が上海で色々な活動を行っていて、第二次世界大戦の引き金を引いてしまったことは事実だけど、戦争をしなければいけないように仕向けられていったことも事実だし、結局、負けたことも事実です。だから、日本が悪く描かれるのは仕方がないと思いますが、まるで日本が間抜けだから女スパイを送り込んだよって感じのストーリーには、ちょっとムカつきました。
でも、日本軍として出演していたのがオダギリジョーさんと中島歩さんだったので、日本人役に日本人を使っていたのは良かったなと思いました。変な中国人役者を使われるよりもマシです。そこは、評価できると思いました。
私は、この映画、あまりお薦めしたくないなぁと思いました。中国の名匠ロウ・イエ監督の作品だそうですが、私は有名な監督だから良い映画とは考えていません。面白いとか感動するとかで薦めたいかどうかを決めるので、今回はお薦めしたいと思いませんでした。モノクロ映像は美しいけれど、それ以上感動は出来ませんでした。それでも日本人俳優が出演しているので、彼らを観るために観たい方がいらしたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「サタデー・フィクション」