「首」武将の首を手に入れトップに上り詰めろ!でも百姓にとっては、首なんてどーでもいいわよね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「首」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

天下統一を目指す織田信長は、毛利軍、武田軍、上杉軍、京都の寺社勢力と激しい攻防を繰り広げていた。そんな中、信長の家臣・荒木村重が謀反を起こして姿を消す。信長は明智光秀や羽柴秀吉ら家臣たちを集め、自身の跡目相続を餌に村重の捜索命令を下す。秀吉は策を練り、村重を探すよう指示。実は秀吉はこの騒動に乗じて信長と光秀を陥れ、自ら天下を獲ろうと狙っていた。

というお話です。

 

 

天下統一を掲げる織田信長は、毛利軍、武田軍、上杉軍、京都の寺社勢力と激しい戦いを繰り広げていたが、その最中、可愛がっていた家臣・荒木村重に反乱を起こされてしまう。直ぐに鎮圧し、村重に追手を放つが逃げられてしまう。、

信長は羽柴秀吉、明智光秀ら家臣を一堂に集め、自身の跡目相続を餌に村重の捜索を命じる。秀吉は、弟・秀長、軍司・黒田官兵衛の策により、村重を捕らえ、信長には引き渡さずに、光秀に引き渡すことに。秀吉には策があったのだ。

光秀は秀吉より託された村重を、何故か殺さず匿う。それもそのはず、2人はただならぬ仲だったのだ。光秀は信長の疑いを逸らすため、村重は家康の領地へ逃げ込んだという噂を流す。

村重の行方が分からず苛立つ信長は、思いもよらない方向へ疑いの目を向け始める。だが、それはすべて仕組まれた罠だった。そして、全てを知り、裏で笑っていたのは誰なのか。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、賛否があるようですが、私は面白かったです。気に入りました。今の日本映画の中で、これだけ予算を出して時代劇を撮影出来るのは、北野監督しかいいないんじゃないですか?時代劇なのに、現代風の言葉使いでと言う方もいますが、じゃぁ、昔の言葉でやったとして、意味が伝わるのかな。場面がバンバン切り替わるというけど、そりゃ、駆け足で歴史を描いているんだから仕方ないんじゃないの?と思うけど、まぁ、場面の切り替わりは、ちょっと私も気になりました。仕方ないとは思いつつ、楽しいからイイかって考えました。

 

歴史的な解釈でいうと、今まではあまり描かれなかったけど、小姓という人間を多くの武将が傍に置いていたのだから、同性愛は一般的に認知されていて、それをおかしいと思う人はいなかったんじゃないかな。だから、明智と荒木がそういう関係でもおかしくないし、織田信長に沢山の人が付いて行ったのも、単に強かったというだけでなく、男として魅力的だったからなんじゃないかなと思うんです。

 

 

誰もがトップに立ちたくて、今のトップにいる奴をどうにかして陥れて、自分が上に行きたいと思うのも道理で、こんな風に心理戦が沢山行われていたのだと思います。その点からいうと、元々、百姓だった秀吉は、下からのし上がってきた口の上手さと、人懐こさがあり、その上、仲間との信頼も厚かったんじゃないかな。武士の家系だと、色々と君主論みたいのを叩き込まれるだろうけど、秀吉は、そんなのが無いから、信じて裏切られ失敗してきたからこそ、人を見る目が養われたのではないかと思います。

 

今回の信長、強烈で素敵でした。ここまでやって下さると、本当に面白いし、楽しめました。あの言葉は尾張弁だそうですね。聞いたことがあまりない言葉だったので、へぇ~と思いました。あの言葉なら、あの信長もあったかもしれないですね。カッコイイ信長ではなく、強烈な信長。私は、とても良かったと思いました。というか、信長って、こんな人だったのかもって思いました。だって、西洋の服を着て、エリザベスカラーを付けてたってくらいだから、変人だったのは確かですよね。

 

 

イジメのやり方も、こんな風だったんじゃないかな。だって、その場では最高権力者でしょ。お饅頭を刀で食べさしたとかっていう逸話があるとなると、もう、変態+サディストだったとしか思えません。そうなると、加瀬さんが演じてくださった、あの怪演は当たりなんじゃないかと思っちゃいました。

 

それぞれのキャストも良かったです。一番マトモに見える明智光秀、西島さん、ピッタリでしたね。他の人物は、みーんな癖が強くて、おいおいって感じでしたもん。ちょっと残念だったのは、甲賀の里にいた”ジャパザハット”にそっくりの入道って言ってたかしら。あの人、もうちょっと使って欲しかったな。何かしてくれそうだったのにぃ。

 

あと、毛利軍の二人、最高でした。清水が切腹してるのにざわざわしていて、清水の”えっ?!”という表情でズパッと首が落とされるんですけど、もう、この表情、荒川さんならではでしょ。マジでツッコミを入れたくなりました。面白かったなぁ。キャスティングが神です。

 

 

もう、誰もかれも、面白いのよ。家康は飄々としていて、臆病でずる賢いんです。家康をいつも守っている服部半蔵が、穏やかな表情で暗殺者を片付けていって、その雰囲気も良かったです。小林さんの家康を見ていると、これなら徳川家で将軍を続けていけるのも頷けるかなという感じでした。用意周到で、情に流されない雰囲気でしたもん。

 

そして秀吉と秀長と官兵衛の3人。まるでコントのようなやり取りで、ホント、笑ってしまいました。秀吉は武士としての基本が無いから、こんな風になっちゃうんでしょうね。官兵衛が仕切って、武士はこうしなければいけませんと教えてくれていて、秀吉と秀長で、”そうなんだー。”みたいな感じが、とっても家族的で笑っちゃうんです。実際に身についてないんだから、仕方ないんですけど、ちょっとかわいいでしょ。

 

 

光秀と荒木村重の恋愛的な関係は、あってもおかしく無かったと思うんです。だって、この時代、女は子供を産む道具であり、子孫を残すために必要だっただけで、武将と女性との恋愛って結びつかないんですよ。武将同士なら、同じ戦場で戦う同志となる訳でしょ。そこに友情も生まれるし、助け合い生きて帰ろうという目的も生まれ、愛も同時に生まれても不思議じゃないですよね。戦場での助け合いというと、もう”吊橋効果”と言って良いんじゃないかな。ま、いつの時代も、好きになったらそれはそれでいいんじゃないの?性別なんて関係無いじゃん。

 

私は、王道の時代劇をあまり知りませんが、北野監督の時代劇は楽しく観れました。それに、日本の武将ってこんな感じよねって事を、強烈にアピールしているのは、海外向けだからじゃないかな。切腹や斬首は、やっぱり日本を現しているし、そこを協調しないと海外ではウケませんからね。

 

 

映画はお金目的じゃないと言う人がいるけど、エンタメだから、儲からなきゃ意味がないでしょ。何のためのエンタメなの?客が入って、利益が上がってなんぼでしょ。芸術だからというけど、芸術は博物館で展示されて、ちゃんとお金を生んでますよ。

 

いつも思うんだけど、日本の映画評論家って、日本人の感覚だけで評論するでしょ。視野がとても狭いんです。でも、世界を相手にしている北野作品なんだから、もっと広い視点で観ないと、全く海外の評価と違ってくるんですよ。それに映画評論でお金を貰ってるなら、映画の良い部分を見つけて、みんなに観てもらえるように後押しするのが仕事じゃないですか?

 

 

是枝監督作品や濱口監督作品は、最初、日本の評論家って、あまり推してなかったくせに、海外で賞を取り始めたら、褒めるようになりましたよね。映画界に限らず、日本って、教科書通りにやろうとするから全く新しいモノが生まれないし、ハズれた人たちを潰そうとする勢力が強いから、見ていてえげつないです。

 

そうそう、北野監督が、この映画のギャラが12億とか、ホントか嘘か知らないけど、たった12億ですよ。それも監督も主演も編集も、全部やってるんでしょ。宣伝までしていて、それで、たった12億ですよ。ハリウッドの人たちが見たら、笑っちゃいますよ。それくらいで騒ぐなって値段です。お安くやって下さったんじゃないの?日本のマスゴミは、あまりにもお金に関して知識がないので嫌になります。記事を書くなら、勉強しようよ。

 

 

話を映画に戻して、私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。エンタメ作品としては、本当に面白いと思いました。時代的な解釈も、突拍子もないような解釈ではなく、言われてみると、そうだったのかもしれないなと思えるような内容で、見識の深さを感じました。素晴らしい作品です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「首」