「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」
を観てきました。
ストーリーは、
昭和31年。鬼太郎の父であるかつての目玉おやじは、行方不明の妻を捜して哭倉村へやって来る。その村は、日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族が支配していた。血液銀行に勤める水木は、一族の当主の死の弔いを建前に密命を背負って村を訪れ、鬼太郎の父と出会う。当主の後継をめぐって醜い争いが繰り広げられる中、村の神社で一族の者が惨殺される事件が発生。それは恐ろしい怪奇の連鎖の始まりだった。
というお話です。
廃墟となっているかつての哭倉村に足を踏み入れた鬼太郎と目玉おやじ。目玉おやじは、70年前にこの村で起こった出来事を想い出していた。あの男との出会い、そして二人が立ち向かった運命について。
昭和31年、龍賀一族の当主である時貞が亡くなったとの情報が、血液銀行に入る。龍賀時貞の跡目を継ぐ争いが起こると考えた血液銀行のトップは、時貞の長女の入り婿である克典と親交のある水木が、哭倉村に行ってきますと申し出たのを幸いと、彼を行かせて克典が跡目を継いだ場合に銀行に有利になるように計らうように申し付ける。
日本の政財界を裏で牛耳ると言われる龍賀一族によって支配されていた哭倉村。よそ者はほとんど村へは入れないようにしており、どこか不気味な村だった。水木は哭倉村へ向かい、克典の知り合いとして龍賀家へ滞在させてもらうことになる。水木は当主・時貞の死の弔いを建前に野心を漲らせていた。上手く克典が継げば、銀行との繋がりも強くなり、水木も昇進出来ることになる。
そんな水木の前に、ある男が現れる。妻を探しに、この村へ来たという男は、村長たちに拘束されていた。何故なら、少し前に村の神社にて、一族の一人が惨殺されたのだ。その容疑者として捕まった男を助けようとした水木は、何故か、その男の監視役として、同じ小屋に泊るようにされてしまう。
後継ぎの醜い争いは続き、怪奇の連鎖が始まる。この村には、何があるのか。後は、映画を観てくださいね。
ゲゲゲの鬼太郎の劇場版かぁ~と思っていたのですが、あまりにも前評判が良いので、初日に観に行きました。はい、評判通り、よく出来ていました。鬼太郎の誕生に関しては、シリーズの中で、時々話が出て来て、墓場鬼太郎でも少し話があったと思いますが、私も、鬼太郎シリーズを全部観ている訳ではなく、原作も全て読んでいる訳ではないので、今回のお話は感動でした。こんな悲しい歴史があったんですね。
お話がよく出来ているんです。昭和31年、戦後10年あまり、水木も戦争帰りの人間でした。日本は復興し、既に社会生活を普通に営むようになっていて、水木も銀行員となっています。戦争を生き抜いた水木は、生存競争を勝ち残るために、野心を漲らせているんです。そんな水木が、出世街道を登るために、哭倉村を訪ねます。
この哭倉村には、日本を裏で操ると言われている龍賀家があり、そこから排出される「血液製剤M」というものが、一体どういうモノなのかを探りに行ったんです。その「M」とは、食べなくても眠らなくても活動し続けられるという薬で、一種の覚醒剤的なモノの様でした。この時代、戦争でも使われて、それ以後、日本の復興にも密かに使われているようでした。
哭倉村はおかしな村で、よそ者を嫌って、外から入ってくる人間を、常に監視しているんです。その村で、水木はある男と出会います。水木はゲゲ郎という呼び名を付け、その名前で呼び始めます。水木とゲゲ郎は、龍賀一族の跡目争いに巻き込まれ、深い恨みの連鎖にやられそうになるというお話なんだけど、龍賀一族は、どーも狂骨を操れるようでした。
狂骨は、京極先生の小説にあるけど、日本の妖怪伝説としては、あまり詳しくは書かれていないんですよね。井戸に捨てられた死人の怨念が妖怪となったものらしいんですが、この龍賀一族が、何故狂骨を操れるようになったのかは、謎でした。何か、髑髏のようなモノに念を入れて、それで操っていたようでしたね。酷い一族でした。
映画の最初で、亡くなったとされた龍賀時貞が、この村を作ったようでしたが、この老人が人間だけど妖怪みたいでした。だって、ネタバレ出来ないけど、一族に酷いルールを作って、それにより、孫たちの運命は酷く捻じ曲げられたものになってしまうんです。あまりにも可哀想で、悲劇でした。一体、この時貞という人物は、何故、こんな事が出来たのか、どこで妖怪族や、狂骨の術式などを知ったのか、それは謎でしたね。映画でも、解明されませんでした。
それにしても、ゲゲ郎=鬼太郎の父は、こんな辛い過去を背負っていながら、まだ鬼太郎を助けるために、目玉だけになっても、一緒に生き続けているというのが、愛だなと思いました。映画の中でも、全てをかけて妻と子供を助けるために行動をする人でしたが、その後、現代でも、息子を助けるため、人を助けるために、頑張ってくれているんです。うーん、父、凄い!
この映画、表面だけ見れば、鬼太郎の誕生秘話なのですが、内容を考え始めると、日本が戦争で戦う以上に、国民に科した拷問のような精神的なストレスがあり、自由な言動も許されず、ただ、上から言われるがままに行動するしか無かった現実が見えてくるんです。
この哭倉村で生きるしか無かった可哀想な沙代や時弥、そんな子供に平然と残酷な事をした時貞とその子供たち、それを見て見ぬ振りをしていた村人たち。狭い村だけど、日本全体が、同じような事をしていたと思うんです。軍の言うことは全てに優先されていたんでしょ。許せないでしょ。そんな現実に立ち向かったのが、ゲゲ郎と水木だけだったというのが、悲しいですね。でも、そのおかげで、今も、鬼太郎が人々を守ってくれていると思うと、それも良かったのかもしれません。
なんか、とても考えてしまって、深い映画だなぁと感動しました。もう、新しい時代なのだから、狂骨に成仏して貰って、誰かに従わなければいけないなんていう世の中は変えて行かなければいけません。誰もが自由に、言いたいことが言える世の中でなければいけないし、人の悪口を言って気持ち良くなろうなんて言う外道は、成敗されるべきです。SNSで悪口を書いて、人の命を奪うなんて、決してあってはいけない事です。きっと、亡くなった方は、狂骨となってその人の元に行くのでしょう。人殺しは罰を受けるんです。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。私は、もう一回観てこようかな。細かい部分を、もう少し良く観たいので、少し空いたころに行こうかと思います。この映画は、鬼太郎を知らなくても、この映画を初めとして観ても良いと思います。内容が大人のアニメなので、子供には、ちょっと難しいかもしれません。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」