「ぼくは君たちを憎まないことにした」テロ事件により愛する妻を亡くした男が犯人に宛てた手紙です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「ぼくは君たちを憎まないことにした」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

2015年11月13日の朝、ジャーナリストのアントワーヌと幼い息子メルヴィルは、仕事へ急ぐ妻エレーヌを送り出す。しかしその夜、パリで多数の犠牲者を出すテロ事件が発生し、エレーヌも命を落としてしまう。アントワーヌは妻の命を奪ったテロリストへ向けてメッセージを書きはじめる。ひと晩で20万人以上がシェアした彼の「憎しみを贈らない」宣言は、動揺していたパリの人々を落ち着かせ、テロに屈しない団結力を生み出していく。

というお話です。

 

 

2015年11月13日金曜日の朝。ジャーナリストのアントワーヌ・レリスは、息子のメルヴィルと一緒に、仕事に急ぐ妻のエレーヌを送り出した。息子のために健康的な朝食を手作りして体調管理に気を配り、活き活きと仕事を楽しんでいる。メイクの仕事をしており、メジャーになれることを夢見て、家族との旅行の約束を仕事の為にキャンセルするほど打ち込んでいた。

 

その夜、エレーヌは仕事から帰って、楽しみにしていたライブに出かけていく。アントワーヌはメルヴィルとお留守番。エレーヌは、家族ぐるみで仲の良い男性と、楽しんでくると手を振って出て行った。それから数時間後、TVが騒がしくなり、コンサートホールバタクランで無差別襲撃事件があったことが伝えられる。

 

 

バタクランでのライブに言ったエレーヌの無事を祈りながら、警察に問い合わせるが何も解らず、現場は封鎖状態。病院を周ってみるが、妻の姿は無い。一緒に行った友人に連絡をしても、スマホは繋がらない。結局、何も解らないまま時は過ぎ、エレーヌの訃報の知らせが届く。

 

最高の母であり、逢い合いの妻が、突然、天国へ行ってしまった。唖然とするアントワーヌだが、そんな時でも息子はお腹を空かせ、砂で遊び、絵本の読み聞かせをねだる。泣くことも出来ず、誰とも悲しみを共有できない苦しみ、これから続く育児への不安をはねのけるように、アントワーヌは手紙を書き始めた。

 

 

妻の命を奪ったテロリストへの手紙は、息子と二人でも「今まで通りの生活を続ける」との決意表明であり、亡き妻への誓いのメッセージ。一晩で20万人以上がシェアし、新聞の一面を飾ったアントワーヌの「憎しみを贈らない」詩的な宣言は、動揺するパリの人々をクールダウンさせ、テロに屈しない団結力を芽生えさせていくのだった。後は、映画を観てくださいね。

 

2015年11月に、実際に起きたテロリストによる無差別襲撃事件。3人のテロリストが、コンサートホール:バタクランを襲撃し、89人を殺害し、99人に重症を負わせました。襲撃犯はその後、自爆をして死にましたが、このパリ連続襲撃事件には、何人もの人物が関わっており、捕まったそうです。ジハードだと言っていたようですが、神はそんな襲撃を許す訳が無い。頭が悪いとしか言えません。

 

 

この映画は、テロ事件の後、遺族の方が書いた、2週間の出来事を小説にしたものを映画化しました。あらすじに書いた通り、それ以上のことはありません。でも、このテロリストに突然、妻を奪われ、母を奪われ、一体、どうやって生きて行けばよいのかと不安になりますよね。テロリストは憎いし、復讐してやりたいと思うと思うんです。でも、そこで、報復をしてしまったら、相手と同じで、暴力での解決になってしまう。だから、憎まないことにしたという手紙を書いたんです。

 

手紙を書いた時は、不安と悲しみで一杯で、それでも、小さな子供を育てなければいけないという使命から、虚勢を張って、その手紙を書いたんです。だって、本当は憎んでいるんですから。綺麗ごとを言ったって、相手が憎くて憎くて、たまらないんですから。それでも、自分を抑えるために、この手紙を一心不乱に書くんです。

 

 

書いた後、息子の世話をしていて、ママはどこ?と聞かれても、遠くに行ったとしか言えず、観ていて、本当に苦しくなりました。こんなに小さな子供なのに、母親を亡くして、それがまだ理解出来ないんですから。お父さんは頑張ってくれているけど、我慢しすぎて、時々、キレてしまったりして、誰か助けてあげて~!って思いました。
 

まぁ、突然に亡くなっても、病気で亡くなっても、悲しみは同じなんですけど、それでも、昨日まで隣にいて、夜ご飯どうする?とか言っていた相手が、突然に永遠に居なくなるなんて、思いませんもんね。それに、何か理由があってというなら、理解も出来ますが、無差別殺人テロで亡くなるというのは、全く理解が出来ないと思います。

 

 

エレーヌがいなくなった世界で、アントワーヌとメルヴィルは生きて行くのですが、アントワーヌは、もう魂が抜かれたようにぼんやりしてしまっているんです。かと思うと、突然に葬式は延期するとか言い出して、エレーヌのお母さんや、アントワーヌの姉に驚かれてしまいます。こんな悲劇が起きたのですから、混乱するのは仕方ありませんが、葬式を延期とか、それは困りますよね。

 

テロリストたちを憎まないと決意し、必死で怒りを抑えているアントワーヌの姿が、とても痛々しいです。でも、相手の誘いに乗ってしまったのでは、相手の思う壺ですからね。何があっても、日常生活を平然と続けている姿を見せなければいけません。自分で手紙を書いておきながら、アントワーヌは、本当に苦しみます。これが現実なんだろうと思いました。

 

 

アントワーヌは、苦しみながらもメルヴィルと生活を続けて、それが彼を少しづつ癒していたのだと思います。簡単には悲しみは終わらないけど、色々な事実を受け止めていく姿が、人間の逞しさのようなモノを感じさせました。

 

アントワーヌ役のピエール・ドゥラドンシャンは、ちょっと神経質そうだけど、優しくて努力家のように見えました。アントワーヌ役にピッタリだったと思います。そして、メルヴィル役のゾーエ・イオリオちゃん、可愛かったなぁ~。まだ、本当に小っちゃいんですよ。これで子役とかいうのかなと感じるほど、小さくて、まだよく話せないんです。でも、この子のおかげで、苦しい状況を抜け出すことが出来るという様子が、よく描かれたと思います。意識してやっているのか解らないけど、上手かった。(笑)

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。とても良い映画で、いつ自分にも降りかかるかもしれない災害で、家族を亡くしたらどうしたら良いのか、考えさせてくれました。気持ちを描いている映画なので、変化は無いし、波も無いんです。なので、単館系映画に慣れている人には、良いかもしれません。派手なアクションとかが好きだと、ちょっと退屈かもしれません。でも、心に沁みますよ。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ぼくは君たちを憎まないことにした」