「人生に詰んだ元アイドルは、
赤の他人のおっさんと住む選択をした」
を観てきました。
ストーリーは、
元アイドルの安希子は、ある日の通勤途中、駅で突然動けなくなってしまう。メンタルを病み、仕事もなく、男もなく、手残り残高は10万円という厳しい現実に直面する。そんな時、友人から、一軒家で暮らす56歳のサラリーマンとの同居生活を提案される。ササポンと呼ばれるその中年おじさんとの奇妙な同居生活を始めるが。
というお話です。
元アイドルの安希子は、幸せで充実した人生を歩んでいると自分に言い聞かせていた。ウェブサイトの記事を書くライターとして会社に勤め、元アイドルという肩書でウケない記事を書いている。それでも仕事をタフにこなしているつもりだったが、ある日の通勤途中、駅で足が突然動かなくなってしまう。
友人に病院を紹介されて行ってみると、メンタルが病んでおり、早口でまくし立てる様に話をしてしまっている自分に気が付く。簡単に回復はせず会社を辞めて、在宅で記事を書くライターとなるが、仕事は少ない。飲みに行き、結婚相手でも探そうかと思うが、周りにも引かれてしまう。
結局、安希子は、仕事ナシ、男ナシ、残高10万円の現実にぶちあたる。そんな時、友人から勧められたのが、都内の一軒家で一人暮らしをする56歳のサラリーマン、ササポンとの同居生活。意外な提案に安希子は戸惑いながらも、まさかのおっさんとの奇妙な同居生活をスタートさせる。後は、映画を観てくださいね。
この映画、CMを見た感じだと、面白いかなと思ったのですが、あまり展開は無く、ふーんという感じでした。元アイドルの人が書いた原作があるようですね。最近のアイドルはどうなのか解りませんが、私は、アイドルというと、「10代までで20歳を過ぎたらタダの人」という感覚があります。だから、29歳で”元アイドル”なんて、恥ずかしくて言えないと思っていたのですが、今は言っちゃうんですね。
主人公の安希子は、いつアイドルを辞めたのかは解りませんが、元アイドルとして、ライターをしています。でも、鳴かず飛ばずのようで、1記事千円とか言っていて、そういうもんなんですね。ネット上に氾濫する記事は、そんな風に作られているのかと思うと、信憑性が全くないなぁと思ってしまいました。
プロというなら、取材をして、マトモな記事を書いて欲しいけど、確かに、ヤフーニュースとかを見ていると、はぁ?というとんでもない記事が氾濫していて、どんな人が書いているやらと思ったら、こういう千円とかで書いている人もいるんですよね。そりゃ、取材する費用なんて出ないですよ。ただウェブ上でゴシップを探して、書いているだけなんでしょう。世も末です。
そんな安希子がメンタルをやられてしまい、仕事を無くして、転がり込んだところが、下宿的な感じのシェアハウスで、ササポンというサラリーマンのおっさんとの同居生活。このササポンは全く害が無く、生活に関してはお互いに構わないということで、問題は起きないんです。ただ、時々、余ったおかずを分けるとか、スイカを一緒に食べるとかはあって、そこは、まるで甥っ子姪っ子を面倒見ているおじさんという感じでした。
ササポンは、元アイドルという事も、仕事が無いという事も、メンタルが痛んでいるという事も気にせず、ただの同居人として扱ってくれて、彼と居ると、何のストレスも感じ無いんです。”テキトーに。”という言葉で、こうしなきゃ、ああしなきゃという制限も無く、緩い感じの生活が、段々と安希子を癒して行くんです。
ま、それだけの話なんですよ。なので、これと言って、何が起こる訳ではないのですが、癒されるというか、ちょうど30代に差し掛かる女性は、これからどう生きるべきなのかと悩む時期だと思うので、彼女がメンタルを病む気持ちも解るなぁと思いました。でも、20歳になったところでも悩み、25歳になっても悩み、30歳になっても悩むので、いつまで経っても、それなりに悩みは尽きないんです。
だって、アイドルなんてやっていれば、年齢によって、周りの態度が180度変わるというのを身をもって感じていると思うんです。女性には辛いですよね。だから、勉強すべきなんです。学校の勉強じゃないですよ、学校の勉強は役に立ちませんから。腐るほど本を読んで、目が潰れるほど映画を観て、沢山の経験をする。それが一番です。いつの日か、必ず役に立ちますから。
このササポンの家は、まるで走ってきたマラソンランナーが、給水所で水を飲んでいるような感じなんです。一息ついて、もう一度、コースと自分の体力を確認して、そしてまた走り出すという場所のように見えました。そうそう、ササポンの過去はほとんど解りません。昔、赤いスポーツカーに乗っていたらしいことは解りましたが、何の仕事をしているのか、結婚歴はあるのか、子供はいるのか、故郷はあるのか、何も解りません。でも、イイんです。彼は何も解らないから良いんだと思いました。
きっと、若い人が同居人として入ってきて、暫くすると見失っていた自分を取り戻して、また新しい生活に戻って行くのでしょう。ササポンのお家は、良い場所ですね。ちょっと憧れますが、きっと私には合わないだろうな。
井浦さんのササポンが良かったです。深川さん、元アイドルという役ながら、あまり美人ではないのでピッタリでした。残念なアイドルだったんだろうという予想が出来て、詰んでしまったという姿がしっくりきていました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。何も起きない映画ですが、癒されることと、ちょうど30代くらいの女性だと共感が出来るんじゃないかな。私には、もう懐かしい時代なので、そんなに共感は出来ませんでしたが、男女同権、MeToo!という時代に、まだ若さだけが珍重されるアイドルやタレントという職業が若い人の憧れになっている事に驚きます。傀儡になるより、傀儡使いになる方がよほど面白いし、お金も儲かります。元ジャニーズを見れば解るでしょ。面白い映画ですよ。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」