「唄う六人の女」
を観てきました。
ストーリーは、
父の訃報を受けて帰郷した萱島と、萱島の父が所有していた土地を譲り受ける予定の宇和島は、車で山道を走る途中で事故に遭い気を失ってしまう。目を覚ますと、2人は謎めいた6人の女たちによって森の奥深くの屋敷に監禁されていた。
というお話です。
カメラマンの萱島は、ある日突然、40年以上も会っていない父親の訃報で目を覚ます。まだ萱島が小さい頃に、両親は離婚し、それから父親とは逢っていなかった。僻地の山奥に家があり、離婚後も、ずっとその家に住んでいたようだ。
父が遺した山を売るために生家に戻った萱島は、父の遺体を発見してくれた近所の老女と会い、父親がどんな人間だったのかを聞いてみた。山に固執していたようで、周りの村民が土地を売ると裏切り者と言い、自分だけは売らずに、山の事を調べていたらしい。
萱島は、不動産屋の松根を介して、土地を買いに来た開発業者の下請けの宇和島と会い、契約の手続きを終える。そして帰ろうとすると、松根が駅まで宇和島に送って貰えばと言い、言葉に甘えて、駅まで宇和島と一緒に車で移動する。
人里離れた山道を車で走っている途中に、突然、車の前に日傘をさした和服の女が立っていた。女性を避けて道をそれた宇和島の車は、その先の落石に突っ込んで、大破してしまう。
目を覚ますと、男たちは体を縄で縛られ身動きができない。そんな彼らの前に現われたのは、この森に暮らす美しい六人の女たち。何を聞いても一切答えのない彼女たちは、彼らの前で奇妙な振る舞いを続ける。異様な地に迷い込んでしまった男たちは、この場所からの脱走を図るが…。後は、映画を観てくださいね。
私は好きな映画ですが、これは好き嫌いというか、受け入れられる人とダメな人がいるだろうなぁ。完璧にファンタジー映画なんです。環境問題を題材にしていて、自然の使者が女性たちだという事なんです。一度、自然を壊してしまえば、もう戻ることは無いし、自然破壊は、行く行くは、人間社会の終末も引き起こしてしまうかもしれませんよという警告なんです。
萱島は、父親と疎遠になっていましたが、家に行ってみると、色々と思い出すんです。子供の頃に、そこで暮らしていたので、幼いながらも、印象に残っている事をぽつぽつと思い出すと、森に執着する父親に母親が愛想を尽かして、出て行ったようでした。そして、家の中に隠し部屋があり、森についての調査をしていたことが伺えますが、何を調べていたのか、資料が何も無いんです。
今更、どうしようもないし、この土地を持っていても管理出来ないと考えた萱島は、売る契約をしてしまうんです。そしたら、その帰りに、女たちに捕まってしまう。捕まっているというか、森から出られないんです。最初は、縄で縛られていましたが、解いた後は、自由に動き回れるんですけど、どんなに周っても、森から出られず、女に出会ってしまうんです。
萱島も宇和島も、同じように逃げられず、段々と宇和島の事も判ってくるんです。ネタバレ出来ないので、詳しくは書けませんが、宇和島は悪い奴で、萱島を騙したわけではないですが、土地を手に入れて、どうするのかという説明を一切しなかったんですね。そして、何故、説明をしなかったのかという事が判ってきます。それが、森に関係あるんです。
萱島は理由を知り、契約不履行だからと言うのですが、もう契約しちゃったからダメだと言われ、女とは関係無く、2人の間にも諍いが起こります。まぁ、2人が喧嘩したからって、森から出れる訳では無いし、女たちの”いやがらせ?”的なことが終わるわけでもないんです。
女たちは、それぞれが自然の精霊なので、美しくて純粋なんだけど、狂気も孕んでいて、恐いんです。大人しくいう事を聞いていれば、優しいし、助けてくれるんだけど、反発したり、向かって行ったりすると、殺しに来るんですよ。斧を持ってくる”牙を剥く女”が狂暴でした。”濡れる女”も、水の中に引きずり込まれそうで、恐かったかな。
水川さん演じる、”刺す女”が、最初から最後まで萱島に関わってきて、蝉を食べたり、カブトムシの幼虫みたいなのを食べさせようとしたり、美しくて優しいのに、ゾッとする感じが怖かったです。でも、本当に綺麗だったなぁ。6人の女性たちが、本当に美しいです。精霊という考え方だから、美しいんだろうなぁ。
そんなファンタジー映画なので、好き嫌いがありそうでしょ。私は、こういう映画、大好きで、森の生物たちが人間に訴えかけていたんだろうなぁと思い、「開発はダメ絶対!」、「ソーラーパネルで山をハゲハゲにしちゃダメ絶対!」、「廃棄物施設を森に作るなんて、ダメ絶対!」と思いました。もう、温暖化がこれだけ酷いんだから、そろそろ、みんな、気がつこうよ。森はそのままにして、出来るだけ、都会の木も切らないようにしないと、本当に地球が終わりますよ。
そうそう、萱島の父親役で、大西信満さんが出演されていました。大西さん、素晴らしい役者さんで、もっと観たいんだけど、ほとんど映画しか出演されないんですよねぇ。「キャタピラー」は衝撃でしたもん。もっと観たい役者さんです。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。ホント、この映画は、ハマる人と、全くダメな人と分かれると思うので、ファンタジーを受け入れられる人には、凄くお薦めしたいと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「唄う六人の女」