【東京国際映画祭】(21作目)
「湖の紛れもなき事実」
(ワールド・フォーカス)
を観ました。
ストーリーは、
パパウラン警部補は、ドゥテルテ大統領のフィリピン麻薬戦争での超法規的措置に直面し、正義とは何だと警察の仲間と何度も話し合っている。今の政府の方針は間違っていると思いながらも、従わざるを得ない状態を哀しんでいた。
そして、ある女性の失踪事件が気になり、どうしても忘れられずに何年も捜査を続けている。上司に、その事件の捜査は打ち切りだと言われても、自分だけで捜査を続けていた。女性が失踪したのは、火山噴火した山の近くの湖畔でのことだった。灰ばかりになった村に家を借り、彼女を探し続ける。
誰に聞いても、噂で聞いたことはあるが知らないという返事ばかり。一人の女性が消えても、誰も気にしない。直ぐに忘れてしまうのだ。もう15年も前の事件だし、無理なのかと思い始めた時、その地域の祭りのようなモノに出会い、あまりにも沢山の女性がその地域に居ることを知り…。後は、映画を観てくださいね。
不思議な映画でした。215分もある映画で、途中に休憩も無く、結構、しんどい映画でした。あまり内容に波も無く、淡々と、ずーっと進んでいくので、寝てしまうにも、どこで寝に入って良いのかもわからず、なんだか、何を言いたいんだか分らず、うーん、という感じでした。
ドゥテルテ大統領と言えば、麻薬戦争で犯人を射殺しても良いとなって、警察だけではなく、一般市民でも、もし見つけたら殺しても罪を問わなくて、確か賞金が出るんじゃなかったかしら。徹底した撲滅運動を展開して、批判を浴びていましたよね。だって、何千人と殺したんでしょ。
主人公のパパウラン警部補は、優秀な警察官なんだけど、市民を殺す警察官は間違っていると思っているんです。なので、警察上層部などに煙たがられているようでしたが、自分の上司が、同期の女性警察官で、彼女によって、守られているようでした。でも、失踪事件に関して、あまりにも強引な聞き込みをするので、警察からストップがかかります。
この時点で、その女性の失踪事件が、何に関係しているのか全く解らなくて、なんで、その事件に入れ込んでいるのかもわからないんです。そして、きっと、最後までに解明するんだろうなーと思っているのですが、結局、何も解らない、というのが結論でした。
この映画は一体何だったんだろーと考えてみるのですが、やっぱり良く解りませんでした。で、想像を膨らませて、私の勝手な解釈をしてみますね。
今のドゥテルテ政権下で、自由も無く、いつも自分の周りの他人を探っているような状態で、フィリピンの空気は最悪です。そんな社会の中で、好きに生きていた女性が失踪し、全く見つからず、死んだのか、生きているのかも判らない。
でも、それは見ているようで見ていないのかもしれないし、そこら辺の女性が彼女かもしれない。誰が死んでも、居なくなっても、誰も気にしていないんだから。酷い政権下だからこそ、周りを気にしないのが一番だと、誰もが考えているのではないかということ。見ないのが一番だと考えているのかなと思いました。それなのに、わざわざ見つけようとするパパウラン警部補は、迷惑がられているのかもしれません。
そんな風に、私は解釈しました。でも、見て見ないのは犯罪だと思うんです。やっぱり、悪いことは言わないとと思うのですが、周りの空気が違うと、やっぱり出来ない事もあるのかしら。難しいですよね。探した方が良いのか、探さない方が良いのか。何とも言えませんでした。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。でも、上映時間が微妙ですし、日本公開は難しいかなぁ。だって、内容も難しいですもん。これ、誰かに解説して貰わないと、無理ですよ。もし、私の解釈通りなら、色々と考えさせられましたが、私の考えが正解かどうかも分からないので、何とも言えません。もし、観る機会があったら、観てみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「湖の紛れもなき事実(ワールド・フォーカス)」