【東京国際映画祭】(20作目)
「野獣のゴスペル」
(コンペティション)
を観ました。
ストーリーは、
父親が失踪し、家族の為に働きながら学校へ行っているマテオ。その貧しさから、同級生に嫌がらせをされ、勝負をすることにする。水泳をして、勝った方がいう事を聞くと決めるが、実は、マテオはマトモに泳ぎをしたことが無い。しかし約束をしてしまったために、勝負に挑むが、勝てる訳がない。散々、お前の負けだと言われ、つい、カッとなって同級生の頭を石で殴ってしまう。
川で頭から血を流して倒れている同級生。恐くなったマテオは、そのまま放置して逃げてしまう。後日、同級生の死体が川に上がり、警察は事故死と判断するが、彼の母親は殺人だと訴えている。
マテオは恐怖で学校に行けなくなり、父の失踪後、面倒を見てくれている叔父に頼み、家を出て、叔父のところに身を寄せるようになる。そして、叔父の仕事を手伝うようになる。
叔父はある組織で働いており、フィリピン社会の裏の汚い仕事を請け負っていた。マテオは、次々と凄惨な現場を見せられ、部下たちは驚くことも無く、仕事を片付けて行く。新しい世界を目の当たりにして、驚く反面、自分はこのままここにいても、良いのかと考え始めるのだが…。後は、映画を観てくださいね。
うーん、フィリピンの闇を見たような気がしました。まだまだ、こういう事って、あるのでしょうね。マテオは、中学生か高校生くらいなんだけど、父親が失踪して、家庭が不安定なんです。精神的にも弱っていて、元気が無い彼に、同級生の男子がいちゃもんを付けてくるんです。
見ようによっては、友達なのかなと思うんだけど、どこかトゲがあって、マテオにとっては、嫌がらせをされていると感じていたのだと思います。集団での虐めではないので、本当は、ただ、友達とじゃれ合いたかっただけなのかもしれないけど、マテオは敵視をしていて、勝負となるんです。でも、川での水泳で勝負なんて、かわいいですよね。きっと、勝負なんて言っていても、遊びだったんだと思うんです。
でも、同級生の言葉が心に刺さって、つい、殴ってしまったんじゃないかな。この年齢の頃って、それだけは許せないと、突然にキレてしまう事もあるのだと思います。でも、もし、やり過ぎたと思って、直ぐに人を呼んでいれば、大事にならなかったのにね。
友人を殺してしまったことで、精神的に耐えられなくなってしまったマテオ。父親が失踪したことでも、心配と不安でいっぱいだったのに、その上、殺人なんて、もう、崩壊寸前なんです。そして、叔父の家に行くことにするんです。
でも、良い人だと思っていた叔父さんが、犯罪をして稼いでいると知って、衝撃を受けますが、マテオにはどうすることも出来ません。まだまだ、幼いんですから。そして、実は、もっと衝撃的なことも解かってしまうのですが、それを知っても、やはりマテオはどうしようもありません。ただ、驚いて仕方がないと諦めるしかないんです。
色々な事を知り、真っ当な生き方に戻るか、それとも裏の仕事を続けるかの選択を迫られます。マテオは、どちらを選択するんでしょうね。それは、映画を観てください。これが、現実の厳しさなのだと思いました。でも、叔父さんも複雑な表情をしていましたね。ここら辺は、とても上手いと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。とても暗い映画で、うーん、あまり好きなタイプではありませんが、衝撃作なのは確かです。日本公開は決まっていませんが、もし、観る機会があったら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「野獣のゴスペル(コンペティション)」