【東京国際映画祭】「耳をかたむけて(ワールド・フォーカス)」心の繊細な動きを描いています。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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【東京国際映画祭】(15作目)

 

「耳をかたむけて」

 

(ワールド・フォーカス)

を観ました。

 

ストーリーは、

ウェン・シャンは、弔文を書くことを生業としている。本当は小説や脚本家になりたいと思っていたのだが、上手く行かず、生活のために弔文を書くようになったのだ。この弔文が好評となり、今は、ほとんど、この弔文で生活をしている。

 

弔文を書くには、亡くなった方の周りの人々に話を聞き、生前の姿を思い描けるような、感動的な文章が良いとされ、ウェンは、感動的な文章で家族に喜ばれていたのだった。しかし、本当は脚本を書きたいと思っており、途中で止めてしまった脚本を気にかけながら弔文を書いている。

 

 

ある日、ウェンが書いた弔文を読んだという人物から、逢いたいという連絡が来る。何だろうと思い、逢ってみると、既に葬式を出して何か月か経った人物の弔文が、その人物に合っていないという文句だった。しかし、文句をいう女性は、亡くなった本人には逢ったことが無く、ネット上のみでの知り合いだったらしい。

 

彼女に、亡くなった人物の資料を渡し、見てもらうのだが、両親や周りが見ていた彼と、彼女が見ていた彼には、随分と差があったようだ。一方、ウェンの友人が亡くなり、その葬式で、脚本の学校の先生に再会する。先生に脚本も続けるように促され、それとは別に、先生から自分が亡くなった時の弔文を予約しておくという注文を受ける。

 

ウェンは、弔文を書くことで、人々の人生に触れ、他人を慰め、温もりを文章に与える術を、知らず知らず身に着けていたようです。彼はやっと、自分が書いている途中で辞めていた脚本の続きを書くことにします。後は、映画を観てくださいね。

 

 

上海国際映画祭コンペティションで監督賞を受賞した作品です。

とても静かな映画で、邦画の「おくりびと」のような雰囲気がありました。ウェンは、脚本家を目指して学校へ行き、脚本を書いていたのですが、何度書いても採用されず、アルバイト感覚で弔文の仕事をしていたのですが、そちらが主になってしまったんです。
 

彼の書く弔文は、家族親族の感動を呼び、沢山の方に喜ばれているようで、口コミで広がって、注文がどんどん入るようになっていくんです。でも、ウェンにとっては、苦々しい思いなんです。本当は脚本を書いてやっていきたいのに、それが出来ずに、片手間で始めた弔文が仕事になってしまっている。

 

彼の頭の中には、今まで書いている脚本が残っており、ずーっと引きずっています。いつもその話の先を考えたいと思いながら、全く考えられず、そんな自分をダメな奴だと感じています。なので、どんなに弔文を褒められても、どーも、パッとせずに、暗い雰囲気なんです。そして、知り合いにも逢いたがらず、ちょっと隠れて行動しています。

 

 

それなのに、ある人のお葬式で、久しぶりに先生と逢ってしまい、逢いたくないと思っていながらも、逃げられずに話をするんです。それによって、少しづつ、自分が今までやってきた弔文の仕事も、無駄にはなっていないという事に気が付き始めます。

 

その上、弔文に文句をつけてきた女性との出会いにより、人間というのは、いくつもの顔を持っていて、簡単に表現出来るようなモノではない事に、気が付いて行くんです。なので、きっと、この後には、脚本も書けるようになっていくんじゃないかな。自分でも気が付かない内に、弔文を書くことによって、人の心の深さに気が付いて、豊かな人物が描けるように、なっていたのだと思います。

 

 

とっても良い映画でした。これは、日本で好まれる映画なんじゃないかな。私は好きですし、観た後に、何となく心が温かくなるお話でした。日本だと、ほとんど葬儀社の人が考えちゃうのかしら。弔文を専門の人に頼むなんて無いと思うけど、そういう人がいても良いですよね。

 

そうそう、ウェンと一緒に住んでいる男性がいるのですが、それが誰なのかは、映画を観て確認してください。私は、最初の方で何となく気が付きましたが、解るのは最後の方です。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。優しくて、温かい映画でした。私は好きなタイプですが、静かな映画で、主人公の心の繊細な動きに気が付かないと理解が難しいかな。でも、良い映画でした。心に残ります。日本公開は決まっていないようですが、もし、公開するようでしたが、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 


「耳をかたむけて(ワールド・フォーカス)」