【東京国際映画祭】(10作目)
「ロングショット」
(コンペティション)
を観ました。
ストーリーは、
90年代半ば、中国東北部の工業地帯は、国を席巻している経済不況により、大きな打撃を受けている。国営工場は民営化プロセスに巻き込まれ、従業員の給料が払われなくなり、工場内の盗難が横行していた。
そんな会社で、警備課だけは給料が払われており、元射撃選手だったグーは、工場で真面目に働いていた。しかし、給料は減らされており、同じ仲間でも、工場内の物品を盗んで売るという事をしている人間もいました。生活の為には仕方がないのですが、グーは、許せませんでした。
ある日、若者たちが工場に盗みに入り、仲間が一人を捕まえる。シャオジュンという青年だが、グーに嘘をついてその場から逃げてしまう。後日、飲食店の店員の仲の良い女性と町で会い、その息子が、あの時に盗みを働いた青年シャオジュンだと気が付く。
母親には黙っていたのだが、もう悪いことはするなと言い聞かせる。しかし、そう簡単に辞める訳がない。何とか盗みを辞めさせようと、シャオジュンを見張るグーだったが、工場の経営は圧迫され、警備課にも給料が入らなくなる。そして、大きな事件が…。後は、映画を観てくださいね。
主人公のグーは、射撃選手として素晴らしかったらしいのですが、耳が聞こえづらくなり、そうなると三半規管の問題なのでバランスが悪くなり、射撃選手としてはダメだということで、選手から外されてしまうんです。そして、今の国営工場の警備員として働き始めたようでした。一人で暮らしていて、孤独な感じなのですが、食事をする定食屋の女性と仲良くなり、とりあえず、充実した日々を過ごしているんです。
でも、工場経営は日に日に悪くなり、給料は出ず、工場の部品を横流しする者がいたり、外から盗みに入る人間もいたりと、警備は大変なんです。一応、警備課のみは、給料が全額ではないにせよ、出ていたのでした。
そして、ある日、工場に入った泥棒を捕まえると、その青年が、グーの仲の良い定食屋の女性の息子でした。そこら辺から、話が動いて行くんです。独身のグーが、好きな女性の息子を気にし始め、正しいことを教えようとしますが、周りはみんな悪いことをしていて、見て見ぬふりをしているんです。それじゃ、良い教育なんて出来ませんよね。
自分は、正しいことをと思っているグーだけど、周りの考え方や、工場長など上司の命令には従わなければならず、厳しい立場になって行きます。子供には、カッコいい自分を見せたいけど、上司に逆らえば、クビになってしまうかもしれず、経済的に苦しくなってしまう。どちらを取るかですよね。苦しい選択だと思います。
国営工場なのに潰れるっていうのが、まず、理解出来ませんよね。給料を払わないのって、共産主義でおかしくないですか?だって、全国民が多少の差はあっても、同じようにお金を貰えるんじゃないの?もし、工場経営がピンチだとしても、国営なんだから関係無さそうなんだけど。どーも、その経済の周り方が理解出来ませんでした。
共産主義国家でも、税金を徴収するのかしら。国からお金を貰って国に税金を還すのは無駄な動きですよね。そこら辺も、よく解りません。でも、人により収入が違うようだったので、国内での等級のようなものがあるのかな。私、ホント、こういうことが解りません。お恥ずかしいです。
でも、まぁ、工場が潰れそうで、給料が払われないので、工場の機械や部品を盗んで、売りにいくのが横行しているようでした。警備課の人たちが、一応、見回って、泥棒を捕まえていましたが、自分たちだって、給料が貰えないんだから、やってられないでしょ。そんな所でも、グーは、仕事を真面目にしているんです。正直者はバカを見るということわざ通りですね。でも、そんな真面目なグーの姿を見て、シャオジュンは、尊敬し始めるんです。
グーとシャオジュンの関係が良くなり、工場はダメかもしれないけど、人間関係では、上手く行くのかなーと思い始めると、大きな事件が立て続けに起きるんです。そして、ピンチになったグーが、最後に射撃選手だった時の力を使う場面がくるんです。カッコ良かったなぁ。でも、あれでブレずに銃が撃てるとは思えないんだけど、やはり、最高の選手だった人だから、出来たのかしら。
感動的な最後でした。でも、よく考えると、誰が悪い訳でもない、国が悪いんです。工場で働かせているのに、給料を払わないという国が悪いのに、そのツケを国民が払わなくてはならないということでした。もし、国民が選挙で、国の中枢を変えることが出来るのなら、国民が変えないのが悪いとなりますが、共産主義国家って、国民投票も嘘ばっかなんでしょ。まぁ、日本でも同じようなもんですけどね。日本は、変えたくても、マトモな政治家がいないというのが、問題なんですけどね。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。面白い映画でしたが、私が共産主義国家の仕組みの理解がよく出来ていないので、国営工場が潰れる?とか、その辺りが変だなぁと思って、疑問が残ってしまいました。なので、理解出来る方は、本当に楽しめるのかもしれません。日本公開は決まっていないようですが、もし、公開されるようでしたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ロングショット(コンペティション)」