【東京国際映画祭】(9作目)
「犯罪者たち」
(ワールド・フォーカス)
を観ました。
ストーリーは、
ブエノスアイレスの銀行で働く平凡な銀行員モランは、ある日、自分の生涯収入の倍に当たる金額を銀行から盗み出す。モランは、同僚のロマンに会い、金を盗んだことを告げ、自分は自主するので、刑期が終わるまで金を預かってくれれば分け前を渡すと言って、大金の入ったバッグを預ける。
ロマンは同意し、金を自分のアパートの棚に隠す。しばらくして、秘密を抱えていることに耐えられなくなったロマンは、刑務所にいるモランに面会に行く。そこでロマンは、モランが別のバッグを山の中に隠している事を知らされる。そして、ロマンの家に隠している金も、その山に隠すようにと指示します。そして…。
というお話です。
この映画、銀行員が自分の銀行から大金を盗むんだけど、銀行はあまり大事になると、銀行の信用失墜になるので、警察には届けるんだけど、強盗事件としての立件じゃなかったんじゃないかなぁ。銀行自体は、保険でお金の補填が出来るので、そんなに苦しくないというような事を言っていたようだけど、元々経営が苦しかったみたいでした。
モランは自主をしたので、警察に捕まって、刑務所に入る事になりますが、お金の行方は解らないんです。言わなかったんだと思います。で、同僚のロマンに、警察や銀行の調査員が、どこにお金があるか言いなさいと言うんだけど、ロマンも決して話しません。
でも、ロマンは、自宅にお金を隠していたから、奥さんに嘘をついていなくちゃいけなくて、辛くなってしまうんです。それに、盗まれたらどうしようとか、そんな恐怖ばかりを感じて、耐えられなくなって、モランに会いにいくんです。そこで、どうしようどうしようと相談すると、山の中に隠して来いと言われます。モランは、盗んだ半分のお金を、既に山の中に隠してきていたんです。
モランは銀行から大金を盗みますが、その後の行動を見ていると、お金が欲しかったというよりも、銀行に復讐したかったんじゃないかな。銀行の経営者やその周りの人間のやり方が汚いんです。どう見てもハラスメントだと訴えることが出来るほどの状態なんだけど、それが出来ないので、お金を盗んだんじゃないかなと思いました。
ロマンも、モランと同じように、銀行の理不尽な経営態度にイラついていて、モランに協力したのだと思います。でも、ロマンはモランほどの覚悟がなかったので、途中で怖くなっちゃったりという事になるんです。いやぁ、でも、大金を盗んだら、恐くなっちゃいますよね。
今では大金を持って行くなんて無いけど、その昔、私が建築を始めた頃は、現金で1千万円を紙袋で持ってくるお客さんとかいて、まだまだひよっこだった私は、ドキドキしたものです。クラブのママさんとかが、家の建設費とかを、そんな風に持ってきて、大人の世界って怖いなぁと思ったもんです。表に出せないお金だったんでしょうね。
話を戻して、モランとロマン、大金を手に入れたけど、あまりしあわせそうには見えませんでした。精神的疲労が大きかったんじゃないかな。お金よりも、地味に働いて、静かに生活をしている方が、よっぽどしあわせだったし、精神的疲労が無い分、長生きも出来るんじゃないかしら。お金は、あればあった方が良いけど、悪いことをして手に入れても、あまりしあわせにはなれないのかなと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。日本公開は、どうなるのかしら。地味な映画ですし、上映時間が189分あるので、どうかなぁ。出来れば、公開して欲しいけど、もしかしたら、特別上映とかでは観れるかもしれません。もし、観れる機会があれば、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「犯罪者たち(ワールド・フォーカス)」