【東京国際映画祭】「タタミ Tatami(コンペティション)」平和の祭典で起こる悪の政治的指示。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

【東京国際映画祭】(7作目)

 

「タタミ Tatami」

 

(コンペティション)

を観ました。

 

ストーリーは、

ジョージアの首都トリビシで開かれている女子柔道選手権に参加しているイラン代表選手レイラは、このまま勝ち抜くとイスラエル代表選手と当たる可能性があるため、負傷を装って棄権しろ、との命令をイラン政府から受ける。命令に背いて出場を続けるレイラを、コーチのマルヤムは命令に従うように説得する。やがて、マルヤムもまた選手時代に同じような状況に巻き込まれ棄権を選んだことが判る。

というお話です。

 

 

イラン初の金メダルを持ち帰ることを目指して、世界柔道選手権に出場するイランの女子柔道家レイラと彼女のコーチのマリアム。

レイラは順調に勝ち進み、今度こそ金メダルに手が届くかもという状況になってきた。そんな中、イスラエルチームも勝ち進んでおり、もしかしたら、レイラが勝ち進んで行くと、イスラエルの選手と対戦しなければならなくなるかもしれない。

イランの柔道協会の理事から連絡があり、直ぐにレイラに怪我ということで、試合を棄権するようにとの連絡が、コーチのマリアムに入る。折角、勝ち進んでいるのに、棄権なんて出来ないと突っ撥ねるレイラだが、イラン最高指導者からの命令となり、外交官まで出て来て、このまま続けるなら家族がどうなるか解っているかとの脅しが入る。

それでも続けるレイラのスマホに、両親が当局に拘束され、父親が”棄権してくれ”といっている動画まで送りつけてきた。

レイラ自身と彼女の家族の自由が危機に瀕してしまい、決断を迫られるも、レイラの信念は変わらず、試合を続行する。マリアムも身の危険を感じていたが、レイラの姿を見て、彼女もまた、レイラの試合を応援する方に周っていく。マリアム自身も、世界大会で政府に棄権を強要され、泣く泣く棄権した過去を持っていたのだ。そして…。後は、映画を観てくださいね。


 

この映画、凄かったです。題名が「タタミ」だったので、何となく、和風の映画かなーなんて、軽く観に行ったら、とんでもない。凄い社会派ドラマで、こんな事が、本当に起こっているのだと知り、驚きました。よく映画に出来ましたね。イランでは、もちろんこの映画は上映禁止だそうですが、素晴らしい出来でした。この作品、ヴェネツィア映画祭で大好評だったそうです。

 

世界女子柔道選手権で、柔道の試合をするのがメインではありますが、問題は柔道ではありません。国同士の戦です。主人公レイラは、イランの代表選手です。国のために戦っていて、金メダルを取りたいと思っているんです。でも、試合にはイスラエルも出場しています。私の考えでは、イスラエル(ユダヤ教)とイラン(イスラム教)が、戦争をするよりも、平和の祭典である、スポーツ大会で戦って、勝ち負けを付ければ良いと思うのですが、彼らの考え方は違います。

 

公の場では、決して戦わない。争わないんです。戦争をするよりも、よっぽど、潔いと思うんだけど、それは彼らの考えではダメなんです。何があっても、勝たなきゃいけないので、試合で負けることがあってはならないんです。だから、試合をしてはいけないんです。

 

でも、選手からしたら、何のために世界選手権に出て来て戦っているのかという事でしょ。世界一になるために出てきているのに、イスラエルと戦ったら困るから、棄権しろなんて、あり得ないでしょ。選手は納得出来ませんよ。当たり前ですよね。

レイラは、コーチに言われても、外交官に言われても従わず、当局は、彼女の親を拘束して、親を抑えつけて”棄権しろ”と言わせているビデオまで送ってくるんです。信じられませんでした。レイラを棄権させられないコーチのマリアムまで脅されて、家族がどうなってもいいのかと言われてしまう。

 

 

日本の感覚だと、ちょっと落ち着こう、スポーツの試合だけなんだから、そんなに家族がどーのこーのなんていう必要無いでしょとなるけど、彼らにとっては、違うんです。国の政策なので、その指示は、国の最高指導者から出ているんです。え?どういうこと?ってなりそうだけど、ビックリするような、本当のお話なんです。家族を拘束して、命令に背くなら、家族の命は無いよってお話なんです。
 

とんでもないでしょ。この映画は、フィクションですけど、沢山の取材を重ねて、実話を基に、脚本を書いたそうです。このままのことがあったとは公には言えませんが、似たような事はたくさんあったようです。でも、平和の祭典と呼ばれるスポーツ大会で、そんな事が起きている事に驚きませんか?この映画、最後は大変なことになりますが、それは、映画で確認してください。

 

たしか、東京オリンピックがあった時、そのまま亡命したいという選手の方がいたような気がしますが、どうだったかしら。亡命を希望して、確か、自分の国じゃなくて、どこか、希望する国に亡命したような覚えがあります。きっと、あまり大事にしないけど、国際大会などがあると、こんな事が何度も起きているのかもしれません。

 

だって、国外に出るのに、夫の許可が必要で、それ以外にも沢山の許可が必要になるようなので、一度出られたなら、亡命したくなりますよ。命の危機を感じることが、何度もあるんだと思うんです。

 

この映画、凄いです。題名に騙されちゃいけない!というか、日本公開してくれるなら、”タタミ”だけじゃなくて、何か良い副題を考えてあげて欲しいです。平和の祭典で何が起こったのか、とか、畳の上の政治、とか、何か無いと、この映画の凄さを伝えられません。この映画は、本当に日本公開して欲しい。こんな事があるという事を、日本人は知らないですから。ぜひ、沢山の人に知って欲しいです。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。ここまで観た映画祭の作品の中で、一番、これが衝撃作でした。これは、素晴らしい作品です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 


「タタミ Tatami」