【東京国際映画祭】「わたくしどもは(コンペティション)」仏の教え入りのファンタジーって感じかな。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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【東京国際映画祭】(6作目)

 

「わたくしどもは」

 

(コンペティション)

を観ました。

 

ストーリーは、

過去の記憶を無くした女が、同じく過去の記憶を持たない男と出会い恋に落ちる。主演は、小松菜奈と松田龍平。この映画は、彷徨える魂の物語である。

というお話です。

 

 

ある男と女が高い舞台から飛び降りて心中をする。

 

佐渡島の金山跡地で目を覚ました女。過去の記憶がない彼女は清掃員の女キイに助けられ、キイがアカとクロという女の子と暮らす家に運ばれる。自分の名前すら思い出せない女はミドリと名付けられ、キイと一緒に清掃員として働き始める。

 

そこで警備員の男と出会ったミドリは、彼もまた過去の記憶がないことを知り、名前を聞くと、名無しだと答える。ミドリは、名前を付けようと言い、彼に”アオ”という名前を付ける。何度も会ううちに、次第に惹かれ合っていくが、何となく見覚えはあっても、何故なのかはわからない。

 

何も解らないが、段々と人が消えていき、不安に駆られた2人は、バイクで死のうとするのですが…。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、とても美しい映画でした。まるで環境映画のようで、観ていて、それだけで気持ちが良くなるような、周りの空気が澄んで行くような気がしました。主演の小松さんと松田さんも、まるでその透明な空気に馴染んで透き通って行くように見えて、美しかったなぁ。

 

ストーリーとしては、好きで好きで、次の世では一緒になろうと言って、心中をした二人が、ふと気が付くと、記憶を失くして、美しい場所にいるんです。そこで、新しく生活を始めていくのですが、何かがおかしい。そんな彼らが居る場所はどこなのか。

 

仏教では、人間は死ぬと、49日間はこの世に残り、その後、あの世へと旅立つと言われています。何処に行くのか裁判で決められ、6道と呼ばれる道へと旅立ちます。6道とは、「天道」「人道」「修羅道」「畜生道」「餓鬼道」「地獄道」です。「人道」に選ばれた魂が、転生して、人間として生まれ変わるようです。

 

この映画で描かれていたのは、そんな6道に導かれる前の、魂の居場所なのかなと思いました。そこでは、記憶を失くし、前世で行った自分の行動により、次に行く場所への裁判が行われているので、その間、その場所で働いているようでした。きっと、誰もがその場所を訪れ、そして旅立っていくのでしょう。

 

そこで出会った二人の男女。以前の事は覚えていないので、自分の事も、相手の事も解りませんが、何故か、見覚えがあるような、何故か惹かれるような気がするんです。

 

この二人は、どんな道に導かれるんでしょうね。今度こそ、2人一緒になれる世界に行って欲しいですが、どうなんでしょうね。仏教では、自殺は罪とは言われてはいないので、その内容によるのかもしれません。キリスト教だと、自殺は罪だとされているので、自殺の場合は教会でお葬式は出せないと言われるのですが、仏教ですからね。

 

 

お釈迦様のお話で、お釈迦様のために、動物たちが自分の出来ることをすると言って、食べ物を取ってきたり色々するのですが、ウサギだけ何も取ってこれず、焚火の中に自ら飛び込んで、食べてくださいと言う自己犠牲が描かれるんです。なので、自殺が罪だとは言ってないんですよ。あ、安心してください、ウサギさんは帝釈天のおかげで死にません。

 

なので、最初に、男女の心中が描かれますが、それが罪という事にはならないんじゃないかなと思いました。でも、一緒に転生出来るかは、解りません。そんな仏教の教えをベースに作られた、この映画の世界は、まるで天国にいるようで、美しい世界でした。

 

ファンタジー映画やSF映画が大好きな私には、この映画もファンタジー映画のように思えて、とても好きな映画でした。現実世界には、色々な制限が多くて、どうしてもそこで生きていけなくなる人もいると思うんです。だから、私は、自殺をする事が罪とは思っていません。どうしても生きづらくて、死を選択してしまっても、それは自分が選んだことなのだから、それが正解だったのだと思ってあげたい。

 

それなら、生まれ変わるなら、その苦しみが無い場所へと転生させてあげたいですよね。もし、次の世界では好きな人と一緒になりたいと思って死んだのなら、出来れば一緒にさせてあげたいし、それは神様だって、同じように思ってくれるんじゃないかな。

 

そんな事を思わせる映画でした。小松さんと松田さんだから、何となく優しい気持ちで映画も観ることが出来たのかもしれません。うーん、良い映画でした。私は、大好きな映画です。これ、でも、好き嫌いが激しい映画だろうなぁ。ファンタジーなどを受け入れない人や、宗教観が相容れない人には、全くダメだと思います。

 

この映画、監督が佐渡の「無宿人の墓」を見て、着想を得たそうです。佐渡金山で働いて、坑内で亡くなった方々のお墓で、無宿人というのは、各都市で治安対策で捕らえられた住所不定の人々がここに送られたそうです。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。但し、全く合わない方もいらっしゃると思いますので、自分に合うかを確認してから観て欲しいかな。来年に公開予定です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 


「わたくしどもは」