【東京国際映画祭】(2作目)
「ゴンドラ」(コンペティション)
を観てきました。
ストーリーは、
自らのアイデンティティを探している8歳のアイトール。家族は夏の間、スペインで休暇を過ごすことに。アイトールはココという男の子のあだ名で呼ばれる事に違和感を持ち、ルシアと呼んで欲しいと願う。ミツバチが飛び交う美しい自然の中で家族や友人たちと過ごすうち、次第に本当の自分らしさに目覚めていく。
というお話です。
ジョージアの山岳地帯にあるロープウェイで働くふたりの女性アテンダント。イヴァとニノ。
イヴァは、昔、ここに住んでいたらしいが出て行き、父親が亡くなり戻ってきたようだった。父親の仕事であったロープウェイのアテンダントの仕事をやりたいと思い、面接を受けに行くと、採用される。
ニノは以前から働いており、イヴァを紹介される。ニノは話し相手が責任者しかおらず、不満に思っていたが、新しく来たイヴァを気に入り、彼女と働きながら楽しむことを探しはじめる。
イヴァは、久しぶりの故郷で肩身の狭い思いをしていたが、ニノに明るく接して貰い、段々と緊張がほぐれていく。最初は、チェスをするくらいの楽しみだったが、その内、バイオリンとアルトホルン(だと思う。)でセッションをしたり、交流を深めていく。そして二人には恋愛感情が…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、良かったですよぉ。初日の2作目に、この作品を観れるとは、運が良かったです。凄く気分が良くなりましたもん。コンペティション部門の作品で、ドイツ・ジョージアの作品です。監督はドイツ人で、プロデューサーがジョージア人かな。ジョージアに素敵な古いゴンドラがあって、それで映画を撮りたいと思い、この企画を立ち上げたそうです。低予算で、スタッフ6人ほどで作ったそうですよ。それなのに、こんなに素晴らしい作品になるなんて、やっぱり映画の良し悪しは、人数とか予算じゃありませんね。人の能力なんですね。
ファイト・ヘルマー監督作品で、彼の作品は、ほとんどセリフが無く、進んでいくようなんです。今回もセリフはほとんど無いのですが、目や仕草で会話をしていて、言葉以外の音はふんだんに入っているので、理解が出来るんです。
それに、美しい自然の中で、楽しそうに仕事をするイヴァとニノは、とても表情が良いんです。観ているだけで楽しくなりそうなの。それに、色の使い方も良いです。こんなに観ていて気持ち良くなる映像は、そうありません。私は、邦画の「かもめ食堂」を思い出しました。ただ、そこで生活をしているだけなんだけど、その生活を楽しんでいる人たちが描かれていて、それだけで観ているこちらも幸せな気持ちになるというそういう作品なんです。
イヴァとニノ以外にも、沢山の登場人物が出て来て、それぞれに色々な気持ちを抱いているんだけど、段々と楽しそうな2人に巻き込まれていくんですよ。それに、2人も周りの人を大切に思っているというのが伝わってくるんです。とっても優しいの。
凄く山奥の地域だから、子供だって少ないんです。遊び友達もいなくて、寂しそうな子供二人を、仲良くさせて、楽しくさせたりするんです。他にも、車椅子でゴンドラに乗れず、あまり遠出も出来ない人を、ゴンドラに吊り下げて移動させてあげたりするんです。普通なら、おいおい!危険だから!って禁止することなんだけど、でも、可哀想だからって、色々な事をしちゃうんです。まぁ、もちろん怒られるんだけどね。
そんな二人の姿を、じっくりと描いていて、しあわせだったなぁ。こういう映画、観ていたいなぁと思うようなえいがでした。これ、日本公開してくれないかしら。こういう映画でほっこりして、ギスギスした心を癒して欲しいなぁと思いました。
2人は恋に落ちたのだと思うけど、全くイヤじゃないのよ。本当に恋人と言っても良いけど、親友と思っても良いし、素敵な2人なんです。同性の恋愛とか面倒な事を言わずに、お互いに好きなら素敵じゃないって思える映画なので、あまりLGBTとかを押し出す必要もないかなと思いました。だって、好きなら好きでいいじゃない。一緒にいられて、幸せになれるなら、それが一番です。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。日本公開、して欲しいなぁ。これはみんなに観て欲しい。今って、邦画は、暗い作品が多いじゃないですか。コメディはあっても、優しい映画って無いので、ちょっと疲れるんですよね。社会問題も山盛りだし、明るいことなんてやってられない気持ちも解りますが、せめて映画で優しい気持ちを、みんなに分けてあげて欲しいなぁ。そんな風に思う映画でした。もし、日本公開してくれたら、ぜひ、観に行ってみてください。東京国際映画祭では、あと、2回上映すると思います。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ゴンドラ」