「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」妻との幸せを続けるために夫が取った行動は正しかったのか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

1920年代、オクラホマ州オーセージ郡。先住民であるオーセージ族は、石油の発掘によって一夜にして莫大な富を得た。その財産に目をつけた白人たちは彼らを巧みに操り、脅し、ついには殺人にまで手を染める。

というお話です。

 

 

1920年代のオクラホマ州オーセージ。地元の有力者である叔父のウィリアム・ヘイルを頼ってオクラホマへと移り住んだアーネスト・バークハート。アーネストは、第一次世界大戦に従軍して、戻ってきたところで、仕事を探していたのだ。

叔父のツテで運転手の仕事を得たアーネストは、ある日、一人のオセージ族の女性モリー・カイルを車に乗せ、彼女に惹かれてしまう。この地域はオセージ族という先住民族の土地で、そこから石油が出たことにより、石油鉱業権を保持し、彼らは高い利益を得ていた。



 

モリーもアーネストを気に入り、2人は恋に落ちて、夫婦となる。オセージ族は先住民族だが、白人でなくて良いのかと聞く叔父に対して、彼女が良いといい、祝福されて結婚することになる。

しかし、その前後から、2人の周囲で不可解な連続殺人事件が起き始める。町が混乱と暴力に包まれる中、ワシントンD.C.から派遣された、元テキサス・レンジャーの特別捜査官トム・ホワイトは、後のFBIとなる捜査局と29歳のジョン・エドガー・フーヴァー長官の下、大規模な捜査を開始する。しかし、この事件の裏には、驚愕の真実が隠されていた。後は、映画を観てくださいね。

 

 

題名は「フラワームーンの殺人者」というサスペンススリラーかな。いやぁ、3時間半近い上映時間なので、途中で寝ちゃうかなぁと思いながら観始めましたが、凄い内容で、寝ている暇はありませんでした。この映画で描かれている時代は、狂騒の20年代と呼ばれ、第一次世界大戦が終わり、社会的変動が始まって、一気に近代化が進んだのですが、1929年にウォール街の暴落により、世界恐慌の時代に突入するんです。たった10年で、世界がひっくり返るほどの変化をした時代でした。

 

そんな時代に、先住民として白人から虐げられていた人々が、突然に石油で大金持ちになり、白人を使用人として使うようになったんです。一部の人間には嫌な顔をされ、一部の人間は金目当てに近づいてという、不思議な状態だったようでした。そんな土地に移住してきたアーネストは、美しいモリーに惹かれます。

 

 

モリーは三姉妹だったのかな。モリーが母親の面倒を見ていて、姉のアナと妹のミニーがいたのですが、アナもミニーも亡くなってしまいます。母親も亡くなり、モリー一人になってしまうんです。そうすると、石油の権利はモリーに渡りますよね。この家族以外にも、一族の人間が、何人も不審死をしており、何故か、警察も詳しくは調べてくれません。不審死なので、解剖もしているのですが、何故か、何も出てこないんです。

 

その不審死は、アーネストがこの地に来る前から続いていたのですが、アーネストがモリーと結婚してからは、頻繁に、周りで死者が出てくるようになってしまうんです。何でかな~、誰かが殺してるんじゃないかなぁ~と思ったモリーは、私立探偵などにも頼むのですが、調査をする前に失踪してしまったり、何かおかしいんです。夫のアーネストに相談して、色々と動くのですが、何も解らないんです。その内に、モリーは持病の糖尿病が悪化して、段々と外にも出れなくなっていきます。

 

 

一方、アーネストは、叔父に色々と吹き込まれ、石油の利権がモリーに集まれば、モリーも子供たちも未来は安泰だと言われ、叔父に言われた通りに、殺人を依頼したり、手下のように弟のバイトンと共に、仕事をしていきます。心のどこかでモリーを裏切っているという気持ちもあったんだろうけど、それ以上に、叔父は怖いし、自分の家族が幸せになるならと思っていたんじゃないかな。

 

アーネストは、どちらかというと、とても弱い人間で、強く言われると従ってしまうような人間なんです。それに、あまり頭も良くない。なので、自分がやることの先に、誰かが死ぬとか、犯罪に繋がるということが、理解出来てなかったんじゃないかな。それに、理解出来ることがあったとしても、断れなかったんだと思うんです。それくらい、優柔不断で、人に左右されてしまう。とても優しくて、愛情深い人なんだけど、弱いんです。モリーも、それが解ったので、主導権をアーネストに握らせなかったんだと思うんです。夫婦はとても仲が良くて、幸せそうに見えたんですけどね。最初の方だけでした。

 

 

そして、この映画の中で描かれているのは、やっぱり差別です。先住民対白人という感じで、先住民がお金持ちになって、白人を雇うということがとても腹立たしかったんじゃないかな。お金を持っているので、表面上は良い顔をしながらも、裏で白人は、”あんな奴らが。”と思っていたんだと思うんです。そういう部分を、少しづつ描いていて、この映画のエッセンスになっていたんじゃないかしら。

 

そうそう、後半で、殺人事件の捜査にやってくる連邦警察が出てくるのですが、この時代は、まだFBIではなかったんですね。特別捜査官トム・ホワイトは、まだ29歳のジョン・エドガー・フーヴァー長官に命令されて、この地に捜査にやってきます。J・エドガー・フーヴァーの名前が出た時、「やだー、フーヴァーもレオ様なのに、アーネストもレオ様で困っちゃうな。」と一人で頭の中で妄想して喜んでいました。私、レオ様の「J・エドガー」も大好きなんです。

 

 

レオナルド・ディカプリオさん、また、凄い演技でした。若い頃、あんなに美しくてアイドル的だったのに、こんなに演技派に変身するとは思いませんでした。今回は、デニーロさんに習って、歯も細工していたんじゃないかな。帰還兵だし、ワザと汚く見せていたように見えました。役者さんって、天性のモノを持っている人と、努力している人がいますが、レオ様は、本当に努力しているように見えました。イケメンだからって、顔だけで主役ばかりやる役者は面白くないですもんね。それって、役者じゃなくて、いつまでもアイドルなんですよ。映画業界に必要ありません。

 

この映画、面白かったなぁ。アーネストは、好きになった人と結婚して、幸せになれると思って、叔父に従っていたら、どんどん悪い方へ悪い方へと導かれてしまう。それは、自分で考えて行動をしようとしていないからなんです。でも、この時代のアメリカは、いきなり好景気になり、一気に恐慌になるという、ジェットコースターのような時代だったので、彼のような、あまり頭が良くない人は、周りについて行くので必死だったのだと思いました。まして、石油の利権争いなんて、彼には大きすぎたんです。周りに振り回されてしまった男の末路、観てください。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。3時間半あるのに、面白くて、一気に真剣に観てしまいました。あっという間とは言わないけど、まったく眠くはなりませんでした。私、今日、朝から晩まで講習会で脳が疲れていたのに、19時からの回を観たら、面白くて、元気になっちゃいました。うーん、スッキリする映画ではないんだけど、でも、良い映画でした。私は好きな映画です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」