「春画先生」只のエロと思ったら大間違い!春画は日本芸術です。その時代の生活が活き活きと描かれます | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「春画先生」

 

を観てきました。フリーマガジン「コモ・レ・バ?」さんで試写会が当選し、行ってきました。

 

ストーリーは、

肉筆や木版画で人間の性的な交わりを描いた「春画」の研究者である「春画先生」こと芳賀一郎は、妻に先立たれて以来、世捨て人のように研究に没頭する日々を過ごしていた。そんな芳賀と出会い、春画鑑賞を学ぶ春野弓子は、春画の魅力にのめり込んでいくと同時に、芳賀に恋心を抱くように。やがて、編集者・辻村や、芳賀の亡き妻の姉である一葉の登場により、大きな波乱が巻き起こる。

というお話です。

 

 

”春画先生”と呼ばれる変わり者で有名な研究者・芳賀一郎は、7年前に妻に先立たれ、世捨て人のように、一人研究に没頭していた。

退屈な日々を過ごしていた春野弓子は、カフェのバイト中に、客であった芳賀から「春画に興味があるなら来なさい。」と名刺を渡される。興味本位で訪ねてみると、芳賀は解りやすく春画についての見解を述べ、その魅力を語ってくれた。春画の奥深い魅力に心を奪われた弓子は、芳賀に春画鑑賞を学びたいと思い、芳賀の家に通うようになっていく。そして、その内に、芳賀に恋心をも抱いていく。



 

そんな弓子の前に、芳賀が執筆している「春画大全」の編集者・辻村が現れ、弓子のおかげで先生も執筆する気になってきたようだと言われ、もしかして先生も私の事…と思っていたのも束の間、何故か辻村と寝ることに。「私、こんな女じゃないんです。」と騒ぐ弓子だが、芳賀に春画を習うと、春画の魅力に惹き込まれ、誰もが大胆な気持ちになってしまうらしいと辻村から教えられる。何か釈然としない弓子。

そんな弓子を春画のイベントなどに連れ回る芳賀だったが、あるイベントで、亡くなった妻の姉・一葉に再会する。不敵な笑みを浮かべる一葉は、芳賀と二人で話があると言って、芳賀を連れて行ってしまう。弓子は居ても立っても居られず、芳賀を手に入れたいという欲望が極限に達して…。後は、映画を観てくださいね。


 

この映画、面白かったです。春画というと、どーもエロとなってしまい、躊躇する方が多いかもしれませんが、この映画、笑えます。真面目に春画を批評したりするんだけど、フフッて笑ってしまうんです。春画って、その昔は”笑い絵”と呼ばれており、みんなで楽しむための絵だったそうですが、西洋文化が入ってきて、SEX描写などは隠すものだという考えが伝えられ、今のように”秘め事”となってしまったようなんです。

 

春画研究の第一人者?という”春画先生”こと芳賀一郎。ピュアな雰囲気で、愛する妻を7年前に亡くし、今も彼女の事を思い、仕事に身が入らないという状態なんです。「春画大全」の執筆も、あと1冊というところで止まってしまっていて、編集者の辻村も、何とか執筆させようと苦労をしていたようでした。


 

そんな彼らの前に現れたのが弓子さん。弓子は、漫然とカフェでバイトをしています。何の目的も無く、退屈な日々を送っていたのですが、芳賀と出会って、春画を知り、その世界にのめり込んでいきます。春画って、直ぐに”局部”に目が行ってしまい、ちょっと恥ずかしくなって目を背けてしまうのですが、実は、その部分以外に、沢山の情報が詰まっているんです。

 

お尻の丸みや、足の指の曲げ具合、手の絡み方、衣服の乱れ方、そして目の表情と、見れば見るほど、艶めかしく、そこに気持ちが現れているんです。その時代の町民たちの生活が、そこに描かれていたんです。そんな魅力を、芳賀に教えて貰っていると、弓子は、どんどんその世界にのめり込み、欲情してしまうんです。

 

 

この気持ち解るなぁと思いました。春画って、エロ本やAVを観ているよりも、なんか欲情の盛り上がりが強いような気がするんですよね。簡単に言うと、ごっつい映像や写真を見せられるより、春画の方がエロく見えるんです。それが、春画の魅力なんじゃないかな。昔の絵師の方は、本当に人間の描き方が上手くて、ちょっとした線の流れだけで、艶めかしさを現していたからだと思うんです。

 

欲情して大胆になり、流れで辻村とSEXをしてしまうんです。うーん、軽い女と思われるかもしれませんが、そうじゃありません。春画の世界にのめり込み、芳賀の解説を聞いてしまうと、もう、その世界を体感したくなっちゃうんじゃないかなぁ。そして次の日、あまりにもあっけらかんと”おはよう”と言われてしまい、私はどうして?となるんだけど、それが面白かったなぁ。

 

 

この映画、そういう”秘め事”と呼ばれてきた事が、まるで食事でもするかのように、ハイハイって出てくるので、もう、笑ってしまうんですよ。そして、辻村とのSEXは、ある目的があって、それは映画を観てのお楽しみなんですが、結構、ええ~!っていうような事でして、驚くと思います。みんな変態よね。
 

そうなんです。この映画、みんな変態なんです。弓子は普通だったんだけど、変態の世界へいらっしゃーいという感じで、迎え入れられてしまい、観る方も、弓子と一緒に、その世界を体感出来るという感じなんです。楽しいでしょ。柄本さんなんて、水色のビキパン1枚で、”おはよう”状態だから、吹いちゃいましたよ。もー、やめてーって感じで、大笑いでした。

 

 

芳賀は、完璧な学者で紳士のように見せていて、実は、性癖がごっつい変態です。もぉー内野さぁ~ん、”きのう何食べた”では、オネエをしていたのに、今度は、極変態ですかぁ~。うーん、これも好きだけどね。すごい振り幅でした。ムチでピシィ~は、ちょっとやってみたいかな。怯えた顔がグッでした。

 

そして安達さん演じる一葉。最初に写真を見た時、あー、これは来るなと予想していたら、やっぱり姉の一葉で登場でした。こういう役も上手いですよねぇ。気持ちイイくらい恐いことをしてくれて、うんうん、そういうのが好きだったんだねってことが伝わってきて、笑えました。

 

この芳賀の家も、一葉の家も、由緒ある旧家なのかなと思いました。だから歴史的な遺産も多くて、春画研究を始めて、2人は知り合ったのかなと思いました。どちらの家も大きな家で、まるで大正時代の建物のような雰囲気でしたから。そこら辺も、この映画の見どころかなと思います。

 

 

ああー、辻村の事や、弓子の事も書きたいけど、もう、書き過ぎだわ~!辻村は、普通の変態です。バイセクシャルで、何でもOKみたいでしたね。これは良い役だけど難しいので、柄本さんだからこそ、カラッと出来たのかなと思いました。他の人だと、ねっとり変態に見えちゃいそうですもん。スマホをおでこに張り付けての行為はやめましょう。(笑)

 

最後に弓子は、振る舞わされたけど、自分を見つけて、これからの人生は楽しいんじゃないかな。吹っ切れちゃった人のほうが、人生楽しいですもんね。

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。私は好きです。性的なモノを笑える映画って、あんまりないけど、私はこういう事こそ、笑って観るのが好きだな。洋画だと、結構、SEXを笑える映画ってあるのにね。日本では、どーもねっとりしているのが多くて苦手なんです。なので、この映画は嬉しかったです。

 

 

最後に、日本も、子供のころから性教育をして、ちゃんと性についての知識を誰もが持つようになれば、もっと公に話せるし、子供が性的虐待を受けたら、直ぐに助けを求められるようになるかもしれない。秘め事として隠すのではなく、大切な事として、向き合うべきなんじゃないかなと思いました。春画だって、教育に使えると思うのよ。日本の歴史的芸術だぞ!笑いながらとは言わないけど、そうやって教育するのも大切なんじゃないかなと思いました。

 

この映画、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「春画先生」