「ヨーロッパ新世紀」
を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
出稼ぎ先のドイツで暴力事件を起こし、トランシルバニアの村に帰って来たマティアス。しかし妻との関係は冷えきっており、森で見たモノきっかけに口がきけなくなった息子や衰弱した父との関係も上手くいかない。元恋人シーラに心の安らぎを求めるマティアスだったが、シーラが責任者を務める地元の工場がアジアからの外国人労働者を雇ったことをきっかけに、よそ者を異端視する村人との間に不穏な空気が流れはじめる。
というお話です。
トランシルヴァニア地方の村。出稼ぎ先のドイツで暴力沙汰を起こしたマティアスが、この地に戻ってくる。
しかし妻との関係は冷めきっており、森である事を見てしまった息子は、それ以後口がきけなくなってしまっていた。衰弱した父は家畜の世話もまともに出来ないが、頑固は性格は変わっておらず、マティアスは関係構築に苦労をしていた。
マティアスは、元恋人のシーラを訪ね、今も思っている事を伝え、彼女に安らぎを求める。シーラも最初は終わったと言っていたが、そのうち、マティアスを受け入れるようになっていく。
同じ頃、シーラが責任者を務める地元のパン工場が、アジアからの外国人労働者を迎え入れたことをきっかけに、よそ者を異端視した村人たちとの間に不穏な空気が流れ始める。やがて、そのささいな諍いは村全体を揺るがす激しい対立へと発展していく。そして、マティアスやその家族、シーラの人生をも一変させていくのであった。後は、映画を観てくださいね。
この映画、ちょっと難しかったな。観る方が想像しなければいけない部分が多いので、最終的に正解が出てこないというのが、ちょっと辛かったです。なので、今日の感想は、私の想像で書いて行きますので、もしかしたら、監督の思い通りの正解ではないかもしれません。そして、今回は、少しネタバレになってしまいます。でないと、ちょっと書きようがありません。
ルーマニアのトランシルバニア地方の村で起こった、実際の事件を元に書かれた物語を、映画化しています。トランシルバニアというと、ついドラキュラとか思い出しちゃいますが、今回は、そういうホラー系のお話ではありません。このトランシルバニア地方というのは、昔から、色々な国に併合されたり、占領されたり、国がコロコロと変わっていました。ハンガリーになったり、オーストリアになったり、ドイツ人植民が行われたりで、色々な人種が入り混じり、最終的にルーマニアになったという経緯があります。
なので、言語が沢山使われており、ルーマニア語、ハンガリー語、ドイツ語、英語など、映画の中でも、様々な言葉が使われており、色分けしてあるのですが、はっきり言って、よく解りませんでした。字幕で読んでいたので、問題ありませんけどね。そんな場所なのですが、現在はルーマニア人が8割をしめていて、元はハンガリーだったのに、ハンガリー人は2割ほどになり、ちょっと居心地が悪そうでした。
そんな地域に、ドイツへの出稼ぎから帰ってきたマティアス。自宅へ帰るも、突然に帰ってきてどうしたのかと聞かれ、スマホが壊れて連絡が出来なかったと言いますが、気まずい雰囲気でした。話を聞いていると、マティアスは、村にいる時から浮気をしていたのかな。奥さんが、恋人の所にでも行けばと言っていたので、以前から素行が悪く、夫婦仲は良く無かったようです。
映画の最初で、息子のルディが、森の中であるモノを見てしまい、その時から口が聞けなくなるんです。途中まで、何を見たかは解らないのですが、映画半ばで解っても、森の中に痕跡は無いので、何だったんだろうと思います。そして最後の方で、きっとルディは、この事を見ていたんだろうという事件が起きます。きっと、未来に起こる恐ろしいことを予知で見たのだと思うんです。だから、それが実際に起こり、やっと話し始めます。子供が、もし、話していたら、その未来を止めることが出来たかもしれないけど、運命は変えられないから、子供は話せなくなったんじゃないかな。
でもね、マティアスがもっと気を付けていれば、止められたことなんです。自分の事ばかりで、家族や周りの事に目が行っていなかったのだと思いました。何処までも自己中な男だなとムカつきました。村に戻ってきて、息子が話せないとか、父親が病気だとか、問題があるのに、何故か、面倒を見ずに恋人のところに入り浸るとか、あり得ないでしょ。自分が見なくても、奥さんが見るだろうくらいに思っているのかしら。
この村、まだまだ男尊女卑的な部分が残っていて、パン工場に外国人労働者を迎え入れた件も、もし、社長が男性だったら、もう少し違っていたんじゃないかな。平等そうに見えていて、やはり男は優位な立場だと考えているようなんですよね。マティアスも、妻には横柄な言い方をするし、突然に帰って来たくせに、息子の教育に関して文句を言うし、父親も病院には連れて行ったけど、ずっと付き添うことはしていなかったし、なんだか、酷い男でした。
そして、パン工場の人種差別問題です。これ、日本でもあるでしょ。でも、村人の言い分も正しいんですよ。沢山の外国人が来てしまい、彼らが優位になってしまったら、村が乗っ取られるというような事を危惧するんです。日本でも、埼玉の方で、クルド人に乗っ取られている状態のところがあるでしょ。あんなのダメでしょ。郷に入っては郷に従え、日本に来たら、日本のルールに沿った暮らし方が出来ないなら、出て行ってもらわなければダメです。その地域だけ、土葬にするとか、犯罪が横行するとか、路上で飲み食いするとか、それ日本じゃないですからね。
私は、移民が全て悪いとは言いません。でもね、人の国に来たのなら、その国のルールに従うべきです。それが出来ないなら、自国に帰るべきです。クルド人は迫害されているのかと思っていたら、インドは迫害をしていないそうじゃないですか。全部嘘だと知って、驚きました。それでも、日本に住みたいなら、日本のルールを守るから暮らしたいと言うべきです。それが出来ないなら強制送還するしかありません。
日本政府も、もし、難民として受け入れるのなら、日本のルールは厳守で、それが出来ないなら強制送還するという項目を入れた契約書を取り交わすべきなんです。それぞれの人権というけど、日本で勝手にやるということは、日本国民の人権を無視しているという事ですからね。何でも許されると思うなよって事です。日本で生まれたなら、日本の法律に乗っ取った生き方をするべきでしょ。当たり前の事です。
話を戻して、この映画の中でも、それを言っているんです。ただでさえ、仕事が無い村で、男たちは出稼ぎに行き、村人も少ないのに、もし、外国人労働者が増えてしまったら、村人の居場所がなくなり、外国人の好き放題になってしまうのではという事です。パン工場の日当は最低賃金なので、村の人は働きたくないと言い、外国人を雇用したのですが、それなら少し賃金を上げて、村人を雇えば良いと言うんです。賃金を上げるとなると、パンの値段を上げなきゃいけなくて、村人が苦しむことになり、もう、何処まで行っても、堂々巡りなんです。
この外国人に乗っ取られる恐怖は、その昔、この地域が、色々な国に支配され、ハンガリーになったり、オーストリアになったり、ドイツになったりという、困難な歴史があったからこそ、恐怖が大きいのだと思いました。そりゃ、恐いですよね。突然に自分の故郷じゃなくなってしまうなんて、恐いと思いました。
でも、迫害を何処までやるのかという事です。労働者が2人いるだけで、決して悪い人たちではありません。話し合いをして、地域のルールを守るようにと教えて行けば、問題は無かったんじゃないかと思うんです。でも、迫害はエスカレートしてしまい、パン工場の社長は部下に任せっきりです。それじゃ、問題は解決しません。
考える作品だったので、随分と長くなってしまいましたが、この外国人労働者をどう受け入れるかという問題が日本と近かったので、書いてしまいました。差別は良くないけど、かと言って、好き勝手にやらせてはいけません。ルールは作るべきなんです。それを納得して貰って、労働者を迎えるようにしなければ、国は壊れてしまいます。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。評価はとても高いのですが、万人向けとは言えません。でも、とても考えさせられる、深い内容でした。今、日本が直面している問題が、トランシルヴァニアの小さな村として描かれていると考えて観ると、唸るほどです。出来れば観ていただきたいけど、楽しい映画ではないので、何とも難しいです。それでも、ぜひ、観てみて頂けたら嬉しいです。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ヨーロッパ新世紀」