「バーナデット ママは行方不明」誰にでも生き甲斐は必要で、それは人それぞれ違うんです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「バーナデット ママは行方不明」

 

を観ました。ロングライドさんのオンライン試写に当選し、観せて頂きました。

 

ストーリーは、

シアトルに暮らす専業主婦のバーナデットは、夫や愛娘に囲まれ、幸せな毎日を送っているかにみえた。しかし彼女は極度の人間嫌いで、隣人やママ友たちと上手くつきあうことができない。かつて天才建築家として活躍しながらも夢を諦めた過去を持つ彼女は、退屈な日々に息苦しさを募らせていく。やがてある事件をきっかけについに限界を感じたバーナデットは、家族の前からこつ然と姿を消し、南極へと向かう。

というお話です。

 

 

シアトルに暮らす専業主婦のバーナデット。夫のエルジーは一流IT企業に勤め、娘のビーとは親友のような関係で、幸せな毎日を送っているように見えた。

だが、バーナデットは極度の人間嫌いで、隣人やママ友たちとうまく付き合えない。隣人の主婦オードリーは何でも前に出るタイプで、バーナデットの家に対しても口を出してくる。彼女の住んでいる家はボロボロだが、”歴史的建造物”として指定されている建物だ。その家を住みながら直しているのだった。

バーナデットは、かつて天才建築家としてもてはやされたが、夢を諦めた過去があった。依頼された建築物の”白い家”が、最終段階で彼女の意志に反するものとされ、”20マイルハウス”が完成して数時間で取り壊されるという仕打ちを受けたのだ。彼女はそれ以降、建築から遠ざかり、専業主婦となった。



 

そんな壮大な過去を持ちながら、専業主婦として暮らすことになったバーナデット。他の主婦たちと考え方が違うのは当たり前。彼女自身も、無理をして付き合おうとはしないので、上手くいく訳がない。家に引き籠り、オンライン秘書相手に頼み事をする毎日だった。

 

ある日、家に帰ると、夫が精神科医とFBIを連れて待っていた。なんなの?というと、バーナデットが頼んでいたオンライン秘書が詐欺だったらしい。唯一の話相手だったオンライン秘書が偽りで、その上、ご近所やママ友との関係が悪いことで、夫が心配して精神科医を頼んでいたのだ。ショックを受けたバーナデットは、驚きのあまり家を飛び出してしまう。

 

飛び出したはよいが、どこへ行ったらよいのかわからない。そんな時、家族で南極旅行へ行く予定だったことを思い出し、自分がその時用に買った釣り用ベストを着ていることもあり、南極へ向かうことに。そして…。後は、映画を観てくださいね。



 

いやぁ~!このバーナデットの気持ち、解るぅ~!私は、彼女の苦しさが凄く解りました。これ、書いたら怒られそうだけど、私も建築をやっていて、沢山の人間と何十億円という物件を造るので、専業主婦の友人たちと付き合うのがとても辛いです。学生の頃の友人は、専業主婦も多いのですが、全く考え方が違うんです。

 

この映画でも、仲間の集まりは参加するのが当たり前とか、日程や場所はママ友たちのボス的存在が決めるとか、なんだか勝手に決まっているルールみたいのがあり、全く合わないし、価値観が違うんです。娘は可愛いけど、だからって、ママ友に合わせるなんて出来ませんよね。

 

 

私の主婦友の一人は、80代半ばを過ぎた父親が新車を買ったと言って、元気だから大丈夫とか言うんです。おいおい、社会的に行ったら、運転させちゃダメでしょ。友人と食事に行こうかという話になったら、料亭に行きたいと言いながら、好き嫌いが激しくて、肉がダメ、魚もダメ、と言うんです。そんな人間、料亭だって来て欲しくないでしょ。季節の美味しいモノを美味しく出してくれるんだよ。料亭を、ただ高いレストランと思っているんです。他にも、もう耐えられない出来事が沢山あり、ある程度は我慢していましたが、さすがに堪忍袋の緒が切れて、あまりLINEなどに混ざらないようにしました。話が飛んでごめんなさい。

 

言いたくないけど、生活レベルというのがあり、同じレベルの人達なら良いけど、一度、高いレベルを知ってしまうと、常識が違ってきてしまうんです。この映画でも、隣人オードリーはバーナデットの敷地に業者を連れて勝手に入り、草を刈って欲しいと言うんです。人の敷地に入ったら不法侵入。草木が酷い状況なら、家を訪ねて、困っている事を訴えるのが先でしょ。バーナデットがイライラするのが、とても理解出来ました。こういうご近所や、ママ友と付き合うのは無理ですよ。

 

 

バーナデットは、夢だった建築の仕事を途中で辞めざるを得なくなり、専業主婦になったので、そのイライラも募って行ったのだと思います。私も、彼女のような事があれば、落ち込んで、次の建築は出来ないと思います。建築家って2種類あって、建物が好きでオタク的に仕事をしている人と、仕事としてお金が貰えれば何でもよい人、この2種類です。私は、バーナデットと同じオタクタイプの建築家ですが、通常、会社勤めで建築をしている人はオタクではありません。

 

オタク建築家だと、好きで作っているので、入れ込み過ぎちゃうんです。人の建物なのに愛着が湧いてしまい、妥協が出来なくなるんです。予算があるので妥協点を見つけなければいけませんが、我慢出来ないことを強要されたり、造ったのに直ぐに壊されたりしたら、もうメンタルはボロボロ。立ち直れません。それに、何度も流産をしたと話していましたが、現場に頻繁に行って、高い所に登ったりするので、自分では感じていなくても、凄いストレスがかかるんです。だから、建築家は子供を産むのが難しいです。私も同じでしたから。

 

 

私、言われたんです。一級建築士の試験を受ける前に、試験に受かったら男と同じように扱われるので、生理休暇は取れないし、残業だって深夜までになると。昔は建築業界はそういうところでした。女がやるもんじゃないと言われていたんです。今は変わりましたけどね。良い時代になりました。

 

話を戻して、彼女は素直に、夫に辛い事を話せば良かったのに、平気だと言っているから溜まりに溜まって、爆発するんです。夫は、精神状態が悪いと言っていたけど、ご近所と付き合えないのは精神病では無いし、やり過ぎはあったかもしれないけど、でも、理解する人がいれば、大丈夫だったと思うんです。家族が一緒にいれば、オンライン秘書を頼まなくて良かっただろうし、ストレスも減っただろうに。夫が仕事ばかりで家に帰ってこないのが一番ダメですね。

 

バーナデットは、自分でも解っていたと思うんです。自分の好きな建築が出来ないことが、今の自分を壊し始めているという事を。でも、どうしたら良いのか解らず、夫も家に帰ってこず、周りからは、普通の主婦のような事をワイワイ言われ、しんどかっただろうと思いました。

 

 

何か夢中になれる趣味でもあれば、良かったのだろうと思うけど、旅行も嫌、人と逢いたくない、話したくない、というので、どうしようもないですよね。マジな建築オタクなんだろうなぁ。そこに土地があったら、勝手に頭の中で設計しちゃうタイプ。とっても理解出来るけど、それを続けていると、本当に壊れるので、家族が何とかしてあげないとね。何とか出来なかったから、バーナデットは飛び出しちゃったんです。

 

飛び出して南極へ向かうんだけど、そこで何が起きるのかは、映画で楽しんでくださいね。良い展開だったなぁ。ペンギンさん、可愛かった。初めて知ったけど、カヌーで流氷の近くまで行けるんですね。ビックリでした。自然が綺麗だったな。それと、建築物の設計プランが出てくるのですが、これが美しいです。実際に建っているらしいのですが、よく考えられているなぁと。こういう仕事が出来たら面白いだろうな。

 

 

さすがだったのは、好きな事を見つけた時のバーナデットの表情。ケイト・ブランシェットさんなので、さすがでした。それまでの表情とは一変するんです。素晴らしい女優さんです。他のキャストの方々も良かったです。カメオ的に、ローレンス・フィッシュバーンや、スティーブ・ザーンなども出演していました。

 

この映画、とっても面白いのですが、前半の話がちょっと長いので、後半の南極の話が短いなと感じました。もう少し、後半のバーナデットの気持ちの変化を描いて欲しかったかな。盛り上がるのですが、もう少し、南極での話が観たかったです。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。ケイトさんが、美しくて賢いのに、どこか抜けている雰囲気を醸し出していて、楽しいんです。コメディも上手いですね。とても満足出来る作品でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「バーナデット ママは行方不明」