「私たちの声」
を観てきました。
ストーリーは、
この映画はオムニバスでショートストーリー7本で構成されています。
「ペプシとキム」
薬物使用で逮捕されたキムは、重度の薬物中毒を克服するために刑務所内のリハビリを受ける。幼い娘を想い懸命にリハビリに取り組むうちに、キムの壮絶な過去とその過程で生まれた”ペプシ”という、もう一人の人格が露わになっていく。?
薬物依存で刑務所に収監されているキム。娘と逢いたいので更生したいと考えていますが、自分の中のもう一人の自分”ペプシ”が、何をやってもダメだ、とか、無駄な事をやるな、とか、語り掛けてくるんです。自分の中の自分って、誰にでもいますよね。でも、自分を楽にさせようとする自分は消してしまわなければいけません。
私は、まず、こうしようと思ったら、文字にします。頭の中で考えていると、もう一人の自分に負けますから。映画の中のキムも、自分に負けそうになりますが、周りの協力もあり、なんとか立ち直れる道筋が見つけられそうになるのですが、やっぱり最後の最後で、もう一人の自分が出て来てしまい…。どうなるのかはお楽しみです。
「無限の思いやり」
コロナ禍でシャットダウンされたロサンゼルスの町では、ホテルの休業に伴い客室を路上生活者のシェルターに変え感染拡大を防ぐ<プロジェクト・ルームキー>が発足された。プロジェクトの担当医として毎日路上生活者たちの往診をするスーザンは、ゴミを溜めスタッフたちに煙たがられる若い女性ホームレス、ヴァルの世話を頼まれる。
ボランティアって、誰にでも出来そうだけど、難しいですよね。路上生活者の診察に周るのですが、素直な人ばかりじゃなくて、精神疾患を持っていたり、難しい性格の人もいる。そんな人達を平等に診察と言っても、そりゃ、大変だと思います。それでも、根気強く相手をして、清潔に保ち、健康を維持させるという、その仕事ぶりには、頭が下がりました。仕事を解かってはいても、やはり恐怖がありますよね。何をされるか解らないんですから。でも、そこは相手を信頼して、少しづつ距離を縮めるという姿が、凄いなと思いました。考えさせられました。
「帰郷」
ロンドンで売れっ子建築家として活躍するアナは、多忙な仕事の合間を縫ってイタリアへ帰郷する。それは妹の葬儀に参列するためだった。問題を抱えていた家族と長い間音信不通だったアナは、帰郷して初めて妹に幼い娘がいることを知る。
何年も会っていなかった妹が亡くなったというので、故郷に戻り、葬儀に参列するアナ。実家に寄り付かなかったのは、母親も、妹も、精神的な問題があり、一緒にはいられないと感じたアナだけ、逃げるように都会に出たのでした。これ、解りますよね。家族でも、色々な性格があって、被害妄想の強い人や、自分だけが正しいと思う人、自分は特別で全ての人間を下に見る人、等々、付き合っていられません。で、亡くなったというので実家に戻ると、妹の残された幼い娘が待っていたんです。アナは建築家として成功し、子供の面倒など見る気は全くありません。誰かに面倒を見させるか、施設に入れてと考えますが、妹の事を思い出し、家族の事も思い出して、何となく妹の娘と話しをするようになり…。まぁ、こんな家族もいるのかなと思いました。
「私の一週間」
ユキは、アヤとトワという2人の子どもたちを育てるために、毎日休みなく働く。ユキの朝はせわしなく始まる。朝食を作り、洗濯をし、掃除機をかけ、アヤを小学校へ送り出した後にトワを保育園へ送り届け、経営するお弁当屋に。夕方に子どもたちを迎えに、習い事に連れて行く。帰宅すると夕食を作り、風呂、寝かしつけのあと、新しいお弁当のメニューを考え、日が変わった頃に眠りにつくという多忙なルーティンを繰り返す。
シングルマザーで、毎日忙しく暮らしているユキの姿を描いています。子供が2人いて、本当に手がかかるのですが、怒りたいのを我慢して、必死で休みなく動き回ります。本当に大変そうで、頭が下がりますが、そんな姿を、子供たちも、ちゃんと見ているんですよね。何も解っていないと思っていたけど、ある時、子供たちも見てくれているんだということに気が付くんです。うーん、感動作でした。涙出そうになっちゃった。日本のドラマで、杏さんが主演を務めていて、良い作品でした。
「声なきサイン」
獣医として忙しい毎日を過ごすダイアナは、プライベートの予定をいつも忘れがち。ある日の夜勤、娘と映画を見る約束を忘れてしまい落ち込んでいたダイアナのもとに、足を負傷した犬が運ばれてくる。応急処置を施すダイアナは犬の飼い主である夫婦の様子がおかしいことに気付く。
獣医のダイアナは、娘との約束も忘れてしまうほど忙しく仕事をしていて、今日も予定を忘れていて謝っています。早く帰ると言って、病院を出ようとすると、飛び込みで怪我をした犬を連れてきた夫婦が。次の医師に任せようかと思うのですが、気になり、犬の治療に当たります。犬の治療をしていると、飼い主の妻がおかしな行動をするんです。でも、質問をしても答えるのは夫だけで妻は話しません。何かおかしいと感じたダイアナは、目で合図をすると、妻が身体についた痣を見せて、助けを求めている事に気が付くんです。
DV被害って、外に訴えることが出来ない人が多いですよね。性被害も一緒だけど、訴えてくれないと助けられないけど、でも、訴える手段を潰されてしまっている人も多いのだと思います。何かのきっかけで、助けることが出来るなら、助けてあげたいし、もし、苦しんでいる人がいるなら、何か、手段を見つけて、外に伝えて欲しいです。少し勇気を出して、伝えて欲しいですね。
「シェアライド」
完璧主義のディヴィヤは美容外科医として成功を収め、順風満帆な日々を送る。ある夜ディヴィヤはきらびやかな服を着たトランスジェンダーの女性とタクシーに同乗することになるが、自分とは住む世界の違う人間への差別的な視線を向けタクシーを下りてしまう。翌日、その⼥性が昼間は警官として働いていることを知る。
美容外科医のディヴィヤは、完璧な世界に住んでいるんだけど、ある夜、トランスジェンダーの女性(男性)と出会い、自分の中に違和感を感じるんです。自分は完璧だと思っていたけど、自分の意志を貫いて生きている彼女(彼)を見て、見た目だけを重視して生きている自分は違う気がするんです。そして、ある夜、そのトランスジェンダーの彼女を探しに、一人で出かけて、怪しげな街を彷徨うんです。見た目の美しさより、自分に正直に生きている彼女の方が、美しいのだということに気が付いたのかな。良い作品でした。
「アリア」
黒くて小さな生物・アリアは狭く暗い部屋の中で毎日女性としての振る舞いを学んでいる。当たり前のように女性として行動するアリアだが、それによってなぜだかいつもアリアは疲れきっていた。凡庸な日々を繰り返していると突然部屋の壁に穴が空き、そこから差し込む暖かな光によって、アリアの自我が目を覚ましていく。
アニメーション作品なのですが、ちょっと解り難かったかな。丸っこい人間のような生物は、女性としての行動を、見て学んでいるんです。そして、自分も女性として生活するのですが、ため息ばかり。そんな時に、壁に穴が開いて、解放されて自由になるという感じでした。人間などをしっかり解るように描くのではなく、何となく象徴的に描いているんです。
きっと、女性が押し付けられた価値観から解放されることを描いているんだろうなと感じましたが、解るんだけど、イマイチ、もっとはっきりと描いて欲しかった感じがしました。女性って、押し付けられた価値観が強くて、その価値観を絶対だと思っている女性もいるので、同じ女性でも、意見が対立しますよね。でも、同じ女性なんだから、好きに生きればいいじゃないですか。でも、男性に依存する生き方は、そろそろ卒業する時じゃないかなと思いますけどね。
この映画、私は、お薦めしたいと思います。女性を応援する映画でした。でも、このオムニバス映画というのは、好みがあるので、あまり観に行く人はいないかな。WOWOWが提供なので、その内、TVや配信でやると思います。世界の有名監督、俳優さんが集まっている映画なので、ぜひ、観て欲しいです。
ぜひ、楽しんでくださいね。
「私たちの声」